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はじめに
概念は理論を組み立てるレンガであり(Hardy, 1974),このレンガを生み出す概念の構築は,理論構築において鍵となる重要なステップである。概念構築のプロセスには,①概念探究(Concept Exploration)(Norris, 1985),②概念の明確化(Concept Clarification)(Norris, 1982;Kramer, 1993),③概念分析(Concept Analysis)(方法の詳細は後述)(Wilson, 1963/1969;Schwartz-Barcott, & Kim, 2000),そしてMeleis(2012)が提唱している概念構築に至る経緯や,その後の吟味も含めた④概念構築の統合的アプローチ(Integrated Approach to Concept Development)の4つの主要な戦略がある。Meleisは,同僚や学生とともに,長年にわたって概念構築のための統合的アプローチを用い,概念,ナラティブや理論的命題を開発してきた。既存の方法では,①文脈を捉えることに限界があり,医療が組み込まれている社会構造に存在する偏見(性差別,政治主義,人種差別)を抑制できないこと,②臨床実践の視点や臨床実践家の経験から概念を構築するガイドラインとして限界があること,③概念構築の過程を一連の構成要素,手順,段階に帰着させるようなアプローチをとること,という3つの理由から,Meleisは新たな方法として,統合的なアプローチを開発した。そこで本連載第5回は,Meleisの概念構築の統合的アプローチを参考に,理論構築に向けた概念構築のステップ(表1)について概説していく。理解を深めるために,Meleisの開発した統合的アプローチの方法に基づいて,医療資源の不足するアフリカでフィールドワークを行ない,「Village Health Worlker(VHW)」という概念を構築したBenskin(2012)の論文「A concept development of the village health worlker」を例に,概念構築のプロセスを,適宜図や囲みの中で引用もまじえて示しながら,それぞれのステップをみていこうと思う。
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