特集 EBPから実装へ2 実装科学と社会への普及
実装科学の理論と研究デザイン
実装科学の研究デザイン
寺田 万莉奈
1
,
島津 太一
2
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻博士課程
2国立がん研究センターがん対策研究所行動科学研究部実装科学研究室
pp.219-229
発行日 2024年6月15日
Published Date 2024/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681202203
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はじめに
本稿では,実装科学でよく用いられる研究デザインについて述べる。そのほとんどは,実験,準実験,観察研究,混合研究法等,他分野で発展した様々な研究デザインを実装科学に適用させたものである(Brown et al., 2017)。ただし,後述するハイブリッドデザインは実装科学に特有のデザインである。本稿では,現在の実装科学でよく使用されている代表的な研究デザインを,実際の研究事例をまじえながら紹介していく。
実装科学では,エビデンスに基づく介入(Evidence-based Intervention:以下EBI)を,実装戦略を使って日常のプラクティスとして根づかせるというモデルを一貫して用いる。したがって本稿では,EBIまたはEBIの候補となるものを「介入」,介入を実装するための追加の介入を「実装戦略」と整理して解説する。実装戦略の例としては,プロバイダーのトレーニング,監査とフィードバック,金銭的なインセンティブの導入,制度・基盤を変えるなどがある。
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