臨床皮膚科 67巻13号 (2013年12月)

連載 Clinical Exercise・76

Q考えられる疾患は何か? 吉成 康
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症例

患 者:54歳,男性

主 訴:四肢,臀部の皮疹

家族歴:特記すべき事項なし.

既往歴:気管支喘息(41歳時),深部静脈血栓症・肺塞栓(42歳時)

現病歴:初診の約3か月前から四肢,臀部に暗赤色の丘疹,結節が出現した.放置していたところ,徐々にその数を増してきた.

現 症:四肢伸側,臀部に暗赤色の丘疹,結節が散発していた(図1).個疹は白色の鱗屑を伴い,内部に硬い角質を触れた.掻痒はなかったが,物に接触した際に疼痛があった.

マイオピニオン

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 私は皮膚科専門医制度に試験が導入される前に専門医を取得した最後の世代である.講習会を受講し,学会発表,論文発表を行い一定の点数を満たせば専門医資格をいただけた.しかし,専門医を持っていたからといって給料が上がるわけでもなく,役には立たないが持っていないと恥ずかしいもの,という程度の認識しかなかった.その自分が皮膚科専門医制度の仕組み作りに関わるようになるとは予想しえなかったが,2017年から開始される第三者機関による新しい専門医認定制度全体の方向性を知るに至り,専門医制度が皮膚科全体に与える影響を憂慮するようになった.新制度の大枠は基本診療科18科に総合診療専門医を加えた19領域を基本領域専門医とし,「専門知識と技術を備え社会から信頼され,患者さんに安全で標準的な医療を提供できる」専門医を育成することが詠われている.そのために,主研修施設と関連研修施設が一体となって専門医研修プログラムを策定し,カリキュラムを終了したものが試験を受け,専門医を取得する仕組みとなる.研修プログラムも専門医試験も第三者機構が認定することとなるが,実際の運用は皮膚科学会が行うことになるので,実質的にはそれほど大きな制度の変化はないように思える.しかし,研修プログラムには専攻医(専門医取得を目指す医師の正式名称)の募集定員を記載することが義務づけられる.そしてプログラムは第三者機関が認定する.これはすなわち皮膚科専門医を日本で何人作るか,第三者機構が最終的に認定する権限を握るものであり,皮膚科を含めすべての科はこの部分で首輪をはめられることとなる.国民に必要とされる専門医をどのように作り,皮膚科医の必要性を訴えてゆくか,真剣に考える必要がある.

 皮膚科専門医は一定の診療レベルを担保し,専門医としてのidentityを維持することが必要であることは言うまでもない.しかし,専門医の認定レベルをどこに設定するかは,非常に難しい問題である.レベルを高くし,人数を絞れば専門家としてのニーズは間違いなく高まる.しかし,頭数が減ることにより,病院内や医師会,社会への発信力は弱まるであろう.また,診断困難症例や重症例,難治症例は少人数の専門医に集まるにもかかわらず,診療報酬が非専門医のそれと同じでは疲弊するばかりである.一方,専門医認定レベルをどんどん下げれば頭数は増えるが,皮膚科専門医のニーズも反比例して下がることとなる.ニーズが下がれば専門医数を削れ,となるのは当然の流れであろう.総合診療医等の非皮膚科専門医との差別化を明確にし,高いレベルの診療を維持することにより,皮膚科医のニーズを高め,かつ,数を維持することが重要である.

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要約 45歳,女性.出生時より右側頭部に常色顆粒状局面が存在し,2か月前から同部位より腫瘤が出現し,2010年11月初診した.右側頭部に約8×8cm大の常色顆粒状局面が存在し,その内部に径約3cm大の淡紅色ドーム状皮膚腫瘤を認めた.病理組織学的に,真皮全層にびまん性に母斑細胞の増生を認め,ドーム状腫瘤の部位に一致して,真皮内に異型細胞からなる腫瘍塊を認めた.腫瘍細胞内に,メラニン顆粒はほとんどみられなかった.免疫組織化学的に,HMB-45は腫瘍細胞と,一部の母斑細胞が陽性を示した.S100蛋白,メランAは腫瘍細胞,母斑細胞ともに陽性であった.全身検索で,遠隔転移はなく,中型先天性色素細胞母斑から発生した無色素性悪性黒色腫Stage ⅢAと診断した.大型先天性色素細胞母斑だけでなく,中型先天性色素細胞母斑も悪性黒色腫の発生母地として注意すべきである.また,先天性色素細胞母斑から無色素性悪性黒色腫の発生は稀である.

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要約 27歳,女性.双極性障害に対してラモトリギン(ラミクタール®)25mg/日連日内服3週間後から,咽頭痛,発熱が出現し,その後紅斑と肝機能障害をきたした.軽快後,発症約3週間後に,顔および頭皮に膿疱が出現した.発症約1か月後に施行したラモトリギンの薬剤誘発性リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)は偽陽性であったため2か月後,6か月後に再検しともに陰性であったが,約8か月後に陽性となり,同薬剤による薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)と診断した.DIHSにおけるDLSTは,急性期には陰性でも,2か月以降には陽性となるとされているが,陰性であっても疑わしい場合は半年以上あけて再検する必要がある.

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要約 60歳,男性.38歳から急性感音難聴を繰り返し,聴力は変動しながらも低下し,約3年後に完全に難聴になった.45歳時,掌蹠に膿疱性皮疹が出現し,難治であった.55歳時,抜歯を契機に下顎骨に硬化性骨髄炎を発症した.当科初診時には,両側掌蹠に膿疱,鱗屑を伴う紅斑を認め,掌蹠膿疱症と診断した.皮疹,骨病変,難聴を併せて,synovitis, acne, pustulosis, hyperostosis, and osteitis(SAPHO)症候群に基づく病態と考えた.自験例では難聴を伴った点が特徴的であり,難聴合併既報告4症例について文献的考察を行った.日常診療において,掌蹠膿疱症を経験することは多いが,自験例で合併した難聴も含めて,SAPHO症候群として包括される種々の合併症を常に念頭に置き,広範囲の視点から診察する必要がある.

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要約 1歳,男児.2010年6月頃より,背部および間擦部に膿疱を伴う紅斑が出現した.2週間程度の経過で寛解,増悪を繰り返しながら皮疹は遠心性に拡大し,8月に当科を受診した.初診時,前胸部,腰背部に辺縁に小膿疱を伴った環状の紅斑を認め,一部は辺縁に襟飾り状の鱗屑を伴っていた.病理組織像で角層下に好中球を主体とする膿疱を認めた,蛍光抗体直接法でIgG,IgM,IgA,C3のいずれも沈着はしていなかった.細菌培養では起炎菌は検出されず,角層下膿疱症と診断した.IgA骨髄腫,潰瘍性大腸炎の合併は認めなかった.2~3週間ごとに新たな膿疱の再燃を繰り返したが,4か月を経過した頃より消退し,その後,皮疹の再燃は現在までない.角層下膿疱症と膿疱性乾癬との異同には議論がある.自験例では発熱などの全身症状を認めないこと,外用ステロイドと抗ヒスタミン薬のみで軽快したことから,角層下膿疱症と考えた.

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要約 42歳,女性.尋常性乾癬をインフリキシマブ(IFX)で治療し皮疹は著明に改善していたが,IFX開始から22週頃(IFX 5回目)に乾癬性関節炎が出現し,30週頃より皮疹が増悪した.IFX 6回目の投与(31週目)から4週後,両側頰部と鼻背部に紅斑,右前腕に緊満性水疱が出現し,水疱は両前腕に拡大した.また乾癬の皮疹はさらに増悪し,体幹に周囲が堤防状に隆起する環状紅斑を認め,小膿疱を伴った.抗IFX抗体は陽性であった.病理組織学的所見では角層下に海綿状膿疱と表皮下水疱を認めた.IFX治療中に乾癬性関節炎が出現し,乾癬が膿疱性乾癬へ進展し,水疱を伴ったと考えた.また水疱形成時の血中のvascular endothelial growth factor(VEGF)値は897pg/ml(血清値)と高値を示し,水疱消退後に低下した.VEGF値は中等症から重症の乾癬で上昇し病変の範囲と相関するという報告があるが,本症例ではVEGFによる血管透過性亢進が水疱形成の原因となったと考えられた.

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要約 33歳,女性.約15年にわたり連日飲酒している.半年前より食事量が減り,同時期より飲酒量が増えた.当科初診の約2か月前より手指,足趾,口囲に紫紅色の紅斑が出現した.1週間前,日光曝露後により症状が増悪したため,当科を紹介受診した.口囲,手背,手指,足背,足縁に紫紅色の紅斑・腫脹・鱗屑がみられ,手指・手背には水疱も散見された.露光部とサンダルによる摩擦部では皮膚症状は強く認められた.手足には灼熱感としびれも伴っていた.病理組織学的所見では,表皮細胞に空胞変性,好酸性壊死がみられた.また,表皮真皮境界部に液状変性があり,有棘層に裂隙を形成していた.以上より自験例をペラグラと診断しニコチン酸内服を開始したところ,皮疹は急速に軽快し約2週間で略治した.ペラグラは近年稀な疾患となりつつあるが,アルコール依存症などの背景を有する患者が光線過敏様症状を呈した場合,鑑別の1つとして挙げる必要がある.

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要約 64歳,女性.出生時より左大腿から足底にかけて,Blaschko線に沿った掻痒を伴わない黄褐色から暗褐色の疣贅様小丘疹が線状に集簇し,一部は癒合していた.5年程前より掻痒が出現し,足底部の角質が増殖した.組織所見では著明な角質増生がみられ,表皮突起の延長,リンパ球の表皮内浸潤と海綿状態がみられ,真皮上層に血管周囲性リンパ球浸潤が観察された.以上より自験例を炎症性線状疣贅状表皮母斑(inflammatory linear verrucous epidermal nevus;ILVEN)と診断した.本邦のILVENにおける過去28年間の報告26例では,13例が5歳以下に発生,男女比は1:1で右下肢が多く,外用療法が奏効したのは自験例を含め2例だった.自験例ではビタミンD3軟膏やステロイド軟膏の単純塗布および密封包帯法(occlusive dressing technique:ODT)は無効であった.両者の等量混合剤によるODTを実施したところ,掻痒や過角化は著明に改善した.種々の治療に抵抗性のILVENでは,ビタミンD3軟膏とステロイド軟膏の混合剤によるODTが治療の選択肢になりうると考えた.

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要約 86歳,女性.1年前から左頰部に常色の硬い結節が出現した.自覚症状はなく,半年前から急激に拡大した.初診時,左頰部に基部径1cm,高さ19cmのバナナ状に彎曲した灰黒~黄色調を呈する皮角を認めた.病理組織像では,皮角基部では表皮の外方性増殖と偽角質囊腫と有棘細胞の著明な増生を認めた.異型細胞はなかった.先端部は角質の著明な増生のみを認めた.以上から角質増生型脂漏性角化症による皮角と診断した.高さ3cm以上の巨大皮角のうち,19cmもの巨大皮角を形成した脂漏性角化症は本邦では今までに報告がなく今回報告した.自験例では病理組織像では悪性所見は認めなかったが,巨大皮角では悪性腫瘍が高率に生じるとの報告があり,早期外科切除や悪性所見の否定が重要である.

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要約 症例1:64歳,男性.約20年前より右下腿前面に結節を認めていた.約2年前に近医を受診し,生検病理組織像より基底細胞癌と診断されたが放置していた.腫瘍は徐々に増大し,当科を紹介され,右下腿前面に50×25×15mmの腫瘤を認め,生検病理組織像から汗孔腫と診断し,腫瘍の全切除を施行した.症例2:72歳,男性.約15年前から左踵に腫瘤が出現し,徐々に増大してきたため当科を紹介され,左足踵に65×65mmの有茎性腫瘤を認めた.生検病理組織像から汗孔腫と診断し,腫瘍を全切除した.2例ともに細胞に異型性はなくエクリン汗孔腫と診断した.エクリン汗孔腫は一般的に2cm以下のものが多く,自験例のように巨大なものは比較的稀であるが,短期間で巨大化する例や悪性化する例もあり,早期の切除が望ましいと考えた.

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要約 37歳,女性.4か月前より右上背部の結節を自覚し,圧痛を伴ったため受診した.約2cmで境界明瞭,表面平滑,弾性硬の皮下結節を認め,局所麻酔下に筋層内に存在する腫瘍を摘出した.病理組織学的所見にて線維の増生を伴い増殖する腫瘍細胞を認め,腫瘍細胞は細胞質に好酸性の顆粒を伴った.特殊染色で,腫瘍細胞はS100蛋白陽性,細胞質の顆粒はPAS染色陽性であり,顆粒細胞腫(granular cell tumor:GCT)と診断した.追加切除せず観察し,術後18か月の時点で再発はない.過去5年間の本邦報告例をまとめたところ,皮膚・皮下発生は全体の約40%を占め最多であった.皮下腫瘍として報告されたものは触診上ほとんどが弾性硬であり,深さは自験例のような筋層内のものも散見された.GCTは不完全切除にて再発するとされており,本症がどこにでも発生しうることを念頭に置き鑑別に挙げることができれば,マージンをつけた切除を考慮できると考えた.

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要約 68歳,男性.左腋窩に30年前から自覚する皮疹が2か月前より増大してきたため受診した.母指頭大のやや硬い紅色結節で,粉瘤などを疑い切除した.病理組織像は真皮から脂肪織にかけて増生した膠原線維間に,非常に小さな腫瘍巣が分け入るように存在し,一部はIndian fileを示して増殖していた.腫瘍細胞は好酸性の細胞質に富み,空胞とジアスターゼ抵抗性PAS陽性顆粒を伴い,GCDFP-15陽性であった.管腔形成や断頭分泌はみられなかった.全身検索にて他臓器腺癌はなく皮膚原発のアポクリン腺癌と診断した.拡大切除し,術後3年経過した現在,再発転移は認めない.アポクリン腺癌は数か月~数十年の間,大きさの変わらない状態のことがあり,この時期の臨床像や病理組織像に関する具体的な報告は乏しい.自験例は特異な病理組織像であったために診断に苦慮した.

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要約 腎細胞癌発見の契機となった頭部転移性皮膚癌を2例経験した.症例1:91歳女性,3か月前より頭部2か所に急速に増大する弾性軟,径15mm大の有茎性紅色腫瘤を認めた.症例2:63歳,男性,2年前に頭部の紅色腫瘤を近医で切除され,脂腺腺腫と診断された.その後同部に腫瘤が再発し,近傍にも径25mm大の弾性軟紅色腫瘤を生じた.いずれも病理組織所見上,真皮内に大型で淡明な細胞質を持つ腫瘍細胞が胞巣状に増生していた.全身症状の訴えはなかったが,CT検査で腎細胞癌の多臓器転移を認め,生検病理組織像と併せて淡明細胞型腎細胞癌の皮膚転移と診断した.一般に転移性皮膚癌は硬く触れる皮膚・皮下腫瘤の形態をとることが多い.しかし,腎癌の皮膚転移は弾性軟で,むしろ血管腫や毛細血管拡張性肉芽腫などの皮膚原発性腫瘍を想起させる形状を呈する.今回の2症例も前医からは良性腫瘍の臨床診断で紹介されており,過小診断とならないように注意が必要である.

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要約 48歳,男性.血液透析中.直径10mm大の黒色腫瘤を左肩に認めた.病理学的診断は悪性黒色腫であり,核小体明瞭で大型の異型細胞と紡錘形細胞が充実性に増殖し,メラニンを含有していた.RIシンチグラフィでは,左側鎖骨上窩リンパ節にのみ取り込みを認めた.原発巣切除術に加えて,左側鎖骨上窩センチネルリンパ節生検(RI・色素・蛍光法を併用)を施行したところ,転移を認めた.CT・FDG-PETで遠隔・リンパ節転移を疑う集積はなかった.原発巣の追加切除や左側頸部選択的リンパ節郭清術では,腫瘍細胞はなかった.術後補助療法は,インターフェロンβの局所注射(300万IU/日を5日間連続投与)を施行した.現時点では,局所再発・遠隔転移を認めていない.センチネルリンパ節を同定するためには,シンチグラフィーやマッピングを組み合わせることが必要である.また頸部にセンチネルリンパ節を認める症例では,選択的頸部リンパ節郭清術を検討してもよいと思われる.

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要約 31歳,男性.初診2か月前から右上腕に無症候性皮疹が出現した.初診時に直径2cmと5mmの隣接する紅色の結節および丘疹を認めた.皮膚生検では,Grenz zoneを伴い,真皮全層に稠密に細胞が浸潤しており,一部に濾胞様構造を形成していた.腫瘍細胞はB細胞性の小型リンパ球様細胞が主体で,形質細胞様の細胞も混在していた.免疫グロブリン軽鎖はκ鎖のみが陽性だった.PET-CTで全身に有意な集積像を認めず,皮膚原発marginal zone B-cell lymphomaと診断した.皮膚腫瘍を3cmマージンで切除し遊離植皮術で再建した.術後1年8か月現在まで再発はない.皮膚原発marginal zone B-cell lymphomaは皮膚原発悪性リンパ腫の7%を占めるのみであり,比較的稀な疾患である.限局性の病変では手術もしくは放射線療法が第一選択とされているが,切除マージンなどのコンセンサスはいまだなく,今後の症例の蓄積が待たれる.

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 1. ISA is a young powerful academy!

 2013年7月21日から26日にかけて,ミュンヘンで「3rd Munich International Summer Academy of Practical Dermatology(ISA)」が開催されました.この学会はミュンヘン大学の主催のもと,2007年,2011年に引き続き,今回が3回目の開催となります.今回の会場は,Rosenheimer platz駅に近接したHolyday Inn Munich-City Centreがメイン会場となっており,一部のプログラムがミュンヘン大学で行われました.ミュンヘン市内の交通網の中心地でありながらも,美しいドイツの街並みに囲まれており,会場の移動の際にはMarien広場を歩くことができ,ミュンヘンの新旧市庁舎や中世の城門,聖Peter教会など歴史的な建造物を堪能することもできました.今回のISAには世界69か国から約800人が参加し,前回は日本からは数名のみの参加でしたが,今回は千葉大学から1名,杏林大学から2名,静岡がんセンターから1名,名古屋市立大学から1名,岡山大学から2名,高知大学から1名,熊本大学から4名,ドイツに留学中の先生方が4名,フランスに留学中の先生が1名と,freshmanから教授まで幅広い世代の計17名が参加しました.私は現在大学院3年生で,昨年徳島で開催された日独皮膚科学会への参加をきっかけに,ぜひISAに参加させていただきたいと熱望し,周囲の皆様の寛大なご配慮により夢が実現致しました.初めての海外の学会のため不安もありましたが,ミュンヘン大学に留学されている荒川明子先生,上田喬士先生のご厚意により,前日から現地入りした日本のメンバーで集まり,かの有名なNeuschwanstein城の観光を通じて,すぐに打ち解けることができました.

 この学会の主旨は,若い世代の医師に対する,皮膚科のさまざまな分野における実践的な診断・治療からtopicsなどについての教育となっています.参加者の多くはresidentや若い世代の医師が中心で,そこへ教育者として各分野のexpertの先生方が世界中から集まるという非常に贅沢な環境で,主催されたThomas Ruzicka教授や他のミュンヘン大学の先生方の温かい心配りにより,会場は毎日明るく,活気に満ちた雰囲気でした.

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欧文目次

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 MART-1やgp100などのメラノサイト抗原に特異的なT細胞受容体(T-cell receptor:TCR)を強制発現させた細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte:CTL)を投与する養子免疫療法(adoptive cell transfer:ACT)に大量化学療法とIL-2を併用したT細胞免疫療法は転移性悪性黒色腫に対し,良好な奏効率が得られているが,再発することも少なくない.筆者らは,マウスにgp100に対するT細胞免疫療法を導入し,ヒト同様に腫瘍の退縮・寛解・再発を再現する実験系の構築に成功した.そしてこの系を用いて,T細胞免疫療法に対し悪性黒色腫がどのように耐性を獲得するか研究した.

 再発した悪性黒色腫では,gp100の発現が減少し,TNF-α,IL-1β,IL-6などの炎症性サイトカインが高発現していた.病理組織像では,CTLに加え,著明なCD11b陽性細胞の浸潤を認めた.

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 疫学研究の方法を解説した,「楽しい研究」シリーズ第一弾『基礎から学ぶ楽しい疫学』は,「黄色い本」として辞書代わりに活用している人も多い.第二弾として今回出版された「青い本」では,研究の発表方法を一から学べるようになっており,やはり長く使い続けることになるであろう.疫学や公衆衛生学をリードしてきた研究者であり,医学生や保健医療者の研究指導をしてきた教育者でもある著者が,長年蓄積してきた学会発表や論文執筆の方法を惜しげもなく伝授してくれている.さらに,学術誌の編集委員長を務めてきた経験から,査読者の視点や意識まで解説してくれている.2年間に及ぶ連載をまとめただけあって,ノウハウが詰まった濃い一冊である.

 この本はコメディカルや大学院生など研究の初学者向けに執筆した,と著者は書いている.発表する学会の選び方や抄録の書き方,口演での話し方からポスター用紙の種類まで,至れり尽くせりで効果的な学会発表のノウハウが示されており,確かに初学者が「基礎から」学べるようになっている.しかしこの本は,キャリアのある臨床家や研究者が,よりインパクトのある発表をしたり,より採択されやすい論文を執筆したりするためにも,十分に適している.「基礎から,かなり高度なレベルまで」学べるようになっているのである.

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 血管炎・血管障害の診断は皮膚所見が糸口になることが多い.経験を積んだ皮膚科医であれば,臨床像からその病変の病理組織反応を考え,いくつかの鑑別診断を想起できるが,確定診断には病理組織所見が不可欠である.本書は,臨床の視点から皮膚血管炎・血管障害を体系的に解説した専門書で,豊富な臨床像と病理組織所見を掲載した構成になっている.Chapel-Hill分類や診療ガイドラインの解説書ではない.

 本書の内容は,大きく総論と各論に分かれている.総論では基本的な血管の組織学的解説と疾患概念を明確に示し,多方面からの血管炎の成因についての考え方を示している.最新の研究を追いかけるのではなく,臨床医の視点でいかに診断し,病態を把握するかという原点に立ち戻った記載が印象的である.血管炎の診断の基本は,動脈炎と静脈炎の鑑別であるが,実はこれが意外に難しい.著者はかなりの頁を割いて,多数の病理組織所見を提示しながら,両者の鑑別点を解説している.各論では,一次性血管炎,二次性血管炎や多様な血管障害を紹介しており,臨床の場で遭遇する血管炎・血管病変のほとんどを網羅している.Chapel-Hill分類や既存の血管炎分類をはるかに超えた,詳細にして明解な内容で,かつ,成書の皮膚血管炎の病理的解釈に物申す気概を感じる.

投稿規定

次号予告

あとがき 渡辺 晋一
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 日本の治療は欧米ばかりでなく,東南アジアより劣っている(渡辺晋一:日本の皮膚科治療―世界標準治療との違い.皮膚臨床 54:963-971, 2012).これを是正すべき各学会は厚労省に働きかけているし,厚生労働省自らも,日本医学会を通じて各学会に新薬の要望書の提出を求めている.しかし日本皮膚科学会は,何もしていない.私が所属する日本化学療法学会などでは新規の薬剤の申請を学会主導で行い,いくつかの薬剤の保険適用拡大や剤形追加が治験なしで認められている.しかし日本皮膚科学会は,自分の懐にお金が入らない治験には全く関心がない.他の多くの学会が日本の医療向上のために動いているのにもかかわらず,なぜ日本皮膚科学会は何もしないのであろうか.むしろ乾癬治療では,世界標準薬であるメトトレキサートの保険適用を阻止し,海外ではほとんど使われることがないシクロスポリンを守っている.それは日本皮膚科学会が,患者のためではなく,利権団体になっているためかもしれない.実際,日本皮膚科学会の教育講演では,世界標準治療ではなく,利益誘導につながる治療を宣伝していることがある(なかには偽装データもある).より安全で有効な治療法があるのに,それを隠して不適切な治療を患者に提供する医師に教育講演を行う資格があるのであろうか.さらに数年前に日本皮膚科学会は研究だけにとどめておけばよいものを,アトピー性皮膚炎の重症度を判定できるTARCの測定を保険収載するために動いた.そのため,診察しただけでアトピー性皮膚炎の重症度を判定できる皮膚科医の存在意義が失われてしまった.しかもTARCはアトピー性皮膚炎に特異的ではない.また最近は直接鏡検ができない皮膚科医につけ込んだ糸状菌検出試験紙が発売され,利益相反がらみでこの試薬を保険適用にしようという動きがある.直接鏡検で重要なことは,サンプリングする部位である.この試薬は一部のアスペルギルスにも陽性反応を示すため,直接鏡検に替わるものではない.もしこの試薬が保険適用になったら,直接鏡検をしない医師が増え,皮膚科不要論につながりかねない.最近,公益社団法人「日展」では,天の声により入賞者が割り振られていることがわかったが,日本皮膚科学会,少なくとも東京支部では昔から天の声がある.そして天の声が,日本皮膚科学会の利権のために働いている.いい加減に利益相反に基づいた日本皮膚科学会から脱却しないと,日本の皮膚科は基礎研究しか存在価値がないということになる.

著作財産権譲渡同意書

基本情報

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臨床皮膚科
67巻13号 (2013年12月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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