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書評 ―著:川名 誠司・陳 科榮―皮膚血管炎
岩月 啓氏
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1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・皮膚科学
pp.1099
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103849
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血管炎・血管障害の診断は皮膚所見が糸口になることが多い.経験を積んだ皮膚科医であれば,臨床像からその病変の病理組織反応を考え,いくつかの鑑別診断を想起できるが,確定診断には病理組織所見が不可欠である.本書は,臨床の視点から皮膚血管炎・血管障害を体系的に解説した専門書で,豊富な臨床像と病理組織所見を掲載した構成になっている.Chapel-Hill分類や診療ガイドラインの解説書ではない.
本書の内容は,大きく総論と各論に分かれている.総論では基本的な血管の組織学的解説と疾患概念を明確に示し,多方面からの血管炎の成因についての考え方を示している.最新の研究を追いかけるのではなく,臨床医の視点でいかに診断し,病態を把握するかという原点に立ち戻った記載が印象的である.血管炎の診断の基本は,動脈炎と静脈炎の鑑別であるが,実はこれが意外に難しい.著者はかなりの頁を割いて,多数の病理組織所見を提示しながら,両者の鑑別点を解説している.各論では,一次性血管炎,二次性血管炎や多様な血管障害を紹介しており,臨床の場で遭遇する血管炎・血管病変のほとんどを網羅している.Chapel-Hill分類や既存の血管炎分類をはるかに超えた,詳細にして明解な内容で,かつ,成書の皮膚血管炎の病理的解釈に物申す気概を感じる.
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