臨床皮膚科 63巻8号 (2009年7月)

連載 Clinical Exercise・23

Q考えられる疾患は何か? 寺内 雅美
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症例

患 者:58歳,男性

主 訴:前胸部皮下腫瘤

既往歴:特記すべき事項はない.

家族歴:特記すべき事項はない.

現病歴:幼少期より前胸部皮下に結節があった.小児期に他院受診したが治療せず.今回鼻中隔疾患で当院耳鼻咽喉科を受診し,治療目的で当科に紹介受診となった.

現 症:前胸部胸骨上切痕に,10×8cm大の半球状に隆起した境界明瞭な皮下腫瘤が見られた.表面は正常皮膚色,弾性軟で波動をふれ,皮下および下床とは癒着なく,瘻孔も見られなかった(図1).

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要約 症例1:63歳,男性.膿疱性乾癬のため,ネオーラル®150mg分1朝食後内服加療中であった.皮膚症状の増悪のため,275mg朝食後に増量したところ,腎機能が悪化した.内服を150mgへ減量するとともに内服時間を食前に変更した.症例2:71歳,男性.膿疱性乾癬のためネオーラル®内服加療中であった.腎機能障害が出現したため,ネオーラル®を125mg食後投与から食前投与に変更した.いずれの症例においても食前投与に変更することで血中濃度の上昇を認めただけでなく,腎機能障害も軽減された.血中濃度測定に基づく投与法の変更は,ネオーラル®減量の際に試みてもよいと考えた.

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要約 35歳,男性.1か月来の軀幹,上肢の激痒を伴う多発性紅斑にて来院した.前胸部では紅色丘疹が多発融合し,紅色局面を呈した,腰背部では紅斑が左右対称性に分布し紅斑の辺縁に多数の丘疹,小水疱を認め,ヘルペス様外観を呈した.組織学的に基底膜部直下に裂隙形成がみられ,真皮乳頭部では好中球や好酸球の浸潤を認めた.蛍光抗体直接法では真皮乳頭部にIgAの細線維状沈着がみられた.HLA-DRB1080201(DR8),140101(DR14),HLA-DQB10402(DQ4),050301(DQ5)であった.以上より,fibrillar typeのDuhring疱疹状皮膚炎と診断した.プレドニゾロン5mg/日,抗アレルギー薬を内服し,ステロイド軟膏を外用したが改善しなかったので,DDS75mg/日を10日間内服したところ,皮疹は次第に改善した.

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要約 32歳,男性.汎発型円形脱毛症の治療としてsqualic acid dibutyl ester(SADBE)による局所免疫療法を施行中に塗布部に一致して白斑が出現した.白斑の特徴は尋常性白斑に類似しており,ステロイド外用薬の密封療法に変更しても1年3か月後,改善をみるものの完治しなかった.ヨーロッパにおいては局所免疫療法後の白斑が副作用として多数報告されているが,本邦においてはいまだ報告されていない.円形脱毛症が尋常性白斑を合併することもあることから,副作用と認知されずに見過ごされている可能性があると考えた.

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要約 62歳,女性.初診の3年前に検診で縦隔リンパ節腫脹を指摘され,生検にてサルコイドーシスと診断された.2年前より左大腿伸側と左下腿屈側に皮下腫瘤が出現した.初診時,左大腿伸側に3×2cm大,左下腿屈側に6×3cm大の弾性硬に触れる皮下腫瘤を認め,軽度の圧痛を伴っていた.被覆皮膚に変化は認めない.MRIで両側の外側広筋と左腓腹筋,右前脛骨筋に,辺縁は高信号域,内部は低信号域を呈する腫瘤を認め,左下腿腫瘤の生検で,病理組織学的に筋層内に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.以上より,腫瘤型筋サルコイドーシスと診断した.その後の経過観察で圧痛の増強と腫瘤の新生を認め,ステロイド内服を検討中である.腫瘤型では,自然軽快することもあるが,増大して自覚症状が出現することもあり,慎重な経過観察が重要と考えられた.

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要約 70歳,男性.2002年11月より手掌足底と顔面を除く全身に淡紅色米粒大小丘疹が散在性に出現した.2003年2月よりその数が急激に増加した.皮膚生検施行したところ,非乾酪性肉芽腫の像が認められた.眼,肺および心病変は合併していなかった.病理組織像より,皮膚苔癬様型サルコイドーシスと診断した.診断後プレドニゾロン内服し,一時症状の軽快を認めたが,内服の減量により皮膚症状の再燃が認められただけでなく,ぶどう膜炎も合併した.メトトレキサート(MTX)少量内服を併用したところ,皮膚症状の著明な改善を認めた.MTX少量投与は難治性皮膚病変を有するサルコイドーシスに有効な治療法の1つであると考えられる.

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要約 33歳,女性.約1年前より出現した頰部の紅斑を主訴に来院した.初診時,両頰部および左前額部に浮腫性紅斑を認め,生検組織像には液状変性などの表皮の変化はなく,血管・付属器周囲に巣状にリンパ球と形質細胞が浸潤し,真皮全層の膠原線維束間は離開し,ムチンが沈着していた.臨床・組織学的所見より,lupus erythematosus tumidus(LET)と診断した.LETは慢性皮膚エリテマトーデスの一型と考えられており,組織学的所見のほか,直接蛍光抗体法が陰性であること,光線過敏を伴うこと,免疫学的異常所見がほとんどないこと,全身症状を伴わないことなどが特徴とされている.しかし,最近散見される本邦の報告例には,それらの特徴に完全には一致しないものもある.今後多くの症例を蓄積することによって,LETと他の皮膚エリテマトーデスとの関連や,本邦報告例の特徴について,さらに検討を加える必要がある.

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要約 5か月,女児.母親の前期破水により28週1,222gで出生した極低出生体重児.経口ミルク摂取不良,体重増加不良であったため,ミルクアレルギーの可能性を考慮し,日齢60よりアミノ酸調整粉末の単独哺育中であった.生後4か月頃より皮疹出現.初診時,開口部のほか,体幹に著明な乾癬様皮疹を認めた.尿中ビオチンは高値を示し,尿中有機酸も増加していた.アミノ酸調整粉末の単独哺育によるビオチン欠乏症を疑い,ビオチン1mg/日を内服したところ,皮疹は劇的に改善し,尿中有機酸は正常化した.

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要約 63歳,男性.5~6年前に生じた左環指の皮下結節が徐々に増大した.初診時17×10mmの境界明瞭な弾性硬の皮下結節を認め,圧痛なく,周囲との可動性は良好であった.組織学的に,皮下織内に線維性,粘液性の間質に,異型性の乏しい紡錘形細胞が疎に分布する境界明瞭な結節性病変を認めた.細胞は免疫組織学的にビメンチン陽性,パンケラチン(AE1+AE3),アクチン,デスミン,CD34,epithelial membrane antigen(EMA),S100蛋白陰性であった.以上の組織学的所見および免疫学的所見より,自験例を膠原性線維腫(collagenous fibroma)と診断した.本症と同様に細胞密度の低い結節性病変を呈する神経鞘腫,神経線維腫,神経周膜腫,solitary fibrous tumor,血管平滑筋腫とは免疫組織学的に鑑別可能で,本症と同様の免疫学的特徴を有する腱鞘線維腫,皮膚粘液腫,デスモイド腫瘍,結節性筋膜炎とは,組織学的に鑑別が可能である.膠原性線維腫は皮膚科領域ではいまだ報告が少ない疾患概念である.

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要約 26歳,女性.2007年9月初め頃から右手背に結節が生じ,徐々に増大してきた.初診時,右手背に径8mmの中心部に痂皮を伴う紅色結節を認めた.弾性軟で下床との可動性は良好であった.病理組織像では,表皮と連続する囊腫様構造を真皮に認め,囊腫様構造は絨毛状に内腔に突出していた.囊腫壁は滑膜様細胞から構成され,その周囲にはリンパ球,組織球などの炎症細胞浸潤を伴っていた.免疫組織学的染色では,囊腫壁はビメンチン陽性であり,CD68で淡く染色された.そのほか,elastica-van Gieson,CEA,PAS,Alcian blue,Masson trichrome,smooth muscle actin,S100蛋白,EMA,サイトケラチン,CD34の免疫組織学的染色を施行したが,陰性であった.以上の所見から,synovial metaplasia of the skinと診断した.切除後再発はない.

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要約 40歳,男性.初診の2日前に出現した臍窩の疼痛を伴う腫瘤を認め,来院した.既往歴に腹部の手術歴,先天性形成異常はなかった.初診時,直径2cm大,表面はびらん状で周囲に発赤を伴う,ドーム状の弾性軟,圧痛を伴う腫瘤を認めたが,腫瘤からの排膿,排尿時痛,発熱は認めなかった.抗菌薬投与では改善をみせず,腹部CTで,腹腔と連続性のある囊胞様の腫瘍であったため,尿膜管遺残と診断した.摘出した腫瘍の病理標本は,尿膜管遺残に矛盾しない境界明瞭な結節状の線維化が認められた.尿膜管遺残は非常に稀な疾患だが,皮膚科医も念頭に置く必要があると考えられた.

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要約 83歳,女性.24歳時に受けた右下肢の熱傷瘢痕部に,80歳頃より難治性潰瘍が出現した.潰瘍は徐々に拡大し,一部に紅色ドーム状隆起性腫瘤を生じたため,全摘した.病理組織学的には,多角形あるいは紡錘形の腫瘍細胞がびまん性に増殖しており,異型の強い類円形核をもち,メラニンを産生していた.以上より悪性黒色腫と診断し,拡大切除した.欧米の熱傷瘢痕癌の報告では,有棘細胞癌が95%,基底細胞癌が2~3%を占め,悪性黒色腫はきわめて稀とされている.本邦での過去43年間の熱傷瘢痕癌の報告は,調べえた限りで有棘細胞癌が89.5%,基底細胞癌が2%,悪性黒色腫が自験例を含め3.8%であった.熱傷瘢痕に年余を経て腫瘍が生じた場合,稀ではあるが鑑別疾患として悪性黒色腫を挙げるべきと思われた.

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要約 67歳,女性.約半年前より左足底に数mm大の皮疹が出現し,急速に増大してきた.初診時,左足底に5×6×2cm大の腫瘤を認め,鼠径リンパ節を触知した.2cm離して切除し,左鼠径および骨盤内リンパ節郭清術を行った.病理組織学的には異型のある小円形細胞が密に増殖しており,免疫組織染色でCD99,CD56,NSE,S100蛋白が陽性であり,そのほかの免疫染色と合わせ,未分化神経外胚葉性腫瘍と診断した.局所再発,肺転移などをきたし,永眠した.皮膚原発の未分化神経外胚葉性腫瘍は調べえた範囲内では,本邦では報告はなかった.

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要約 58歳,男性.5年前より右大腿腫瘍が存在し,半年前より急速に隆起してきた.5cm大の弾性硬結節上に易出血性で壊死組織を伴う8cm大の結節を認めた.病理組織所見では,元来存在した5cm大の結節は大部分で紡錘形細胞がstoriform patternに増殖し,CD34陽性であった.外方に突出した8cm大の結節は細胞密度が高く,異型性を有する紡錘形細胞が錯綜あるいはherring bone patternをとって増殖し,CD34陰性であった.線維肉腫組織像を伴った隆起性皮膚線維肉腫と診断した.リンパ節および遠隔転移は認めておらず,経過観察中である.本邦過去25年間の報告症例を比較検討したところ,隆起性皮膚線維肉腫の不十分切除などで本症が誘発されるのではなく,元来その性質を有しているため生じるのではないかと考えられた.

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要約 64歳,女性.約8年前から全身に瘙痒が出現.他院にて何回か精査されたが,原因は不明で皮膚瘙痒症として加療されていた.瘙痒が徐々に増悪し,耐え難くなってきたため,当院を受診した.顔面には軽度の浮腫,体幹,下肢にはわずかに鱗屑を伴う紅斑が認められた.末梢血白血球数は16,800/μl(リンパ球46%)で前リンパ球様の異型リンパ球が増加しており,皮膚生検では真皮浅層の血管周囲に軽度の単核球浸潤を認めた.遺伝子解析,形態学的検査,表面抗原検索などによりT-cell prolymphocytic leukemiaと診断した.瘙痒に対して,ナローバンドUVB療法や内服PUVA療法は無効だったが,プレドニゾロン30mg内服が有効であった.

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要約 65歳,男性.初診の1か月前から全身に掻痒を伴う紅色皮疹が出現し,薬疹疑いで紹介された.疑わしい薬剤を中止し,ステロイドを投与し,一時的に皮疹の消退はみられたものの再燃し,皮疹は浸潤性となった.続いて耳後部,顎下リンパ節の腫脹も生じた.皮膚およびリンパ節生検,CTにてangioimmunoblastic T-cell lymphoma(AITL)と診断した.染色体分析で腫瘍細胞の単クローン性が証明され,さらに骨髄穿刺で異型リンパ球の浸潤を認めた.THP-COP療法を施行しているが,治療抵抗性である.自験例の皮疹はステロイドの外用,少量内服にて難治であり,病勢に並行することより,特異疹と考えた.

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要約 68歳,男性.初診の3か月前に古い木造の改築の際に左前腕に擦過傷を負った.傷は徐々に潰瘍化し,リンパ管の走行に一致して紅斑を伴った結節が多発した.病理組織所見:真皮深層に好中球,リンパ球を主体とする細胞浸潤があり,PAS染色陽性の円形の胞子がみられ,発芽像が混在していた.真菌学的所見:生検組織の一部を接種したサブロー培地では,黒色絨毛状の集落を呈し,マイコセル培地では,湿性で灰白色調絨毛状のコロニー形成がみられた.スライドカルチャーでは,細長く伸びる菌糸柄の先に無色で洋なし型の小分生子を確認した.以上より,スポロトリコーシスと診断した.ヨウ化カリウム(KI)0.5g/日を12週間内服し,使い捨てカイロによる温熱療法とヨウ素含有軟膏外用を併用したが,新生結節を生じたために,KI1.0g/日に増量した.その後,新生結節は減少した.イトラコナゾールのMICは,8μg/ml以上であった.

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要約 2003~2007年の5年間に大阪市立総合医療センターおよび大阪市立十三市民病院皮膚科を受診した伝染性膿痂疹患者について皮疹部から細菌培養を行い,細菌が分離された76例を対象として検討した.男性40例,女性36例とほぼ同数であった.年齢別にみると,0~5歳が多く約3/4を占めた.月別にみると75%が6~9月の夏季に集中していた.菌種別にみると,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌26株,メチシリン感受性黄色ブドウ球菌45株,溶連菌3株,メチシリン耐性表皮ブドウ球菌1株が分離された.黄色ブドウ球菌のうち,MRSAが36.6%であった.1997~2002年の6年間のわれわれの報告ではMRSA比率は55%であったが,それと比較して,有意に(p=0.01)減少していた.

印象記

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 第108回日本皮膚科学会総会は平成21年4月24日から26日まで,福岡国際会議場・マリンメッセ福岡で開催された.全国的に寒の戻りで,外は少し肌寒かったが,元来暑がりの小生にとっては,過ごし良い天候であった.また,福岡(博多)は空港からの距離・時間が短く,大変便利な街である印象を持った.

 古江増隆会頭(九州大学教授)のご挨拶で幕を開け,「What's New in Dermatology」のセッションで3名の先生方によるご講演を拝聴した.徳島大学 荒瀬誠治先生による「毛髪の科学・疾患」のご講演では,G蛋白質結合受容体P2RY5およびそれに関係するシグナルの異常により毛髪の異常が生じることや,マウス皮膚では創傷治癒後にWNTシグナルによって“毛包の新生(hair neogenesis)”が起こることなど,日本人研究者の仕事を中心に最新のトピックスをお話しいただいた.岐阜大学 北島康雄先生による「自己免疫水疱症」のご講演では,昨年大津で開催された「自己免疫性水疱症に関する国際シンポジウム」でのトピックスを概説され,天疱瘡の水疱形成機序における新しい研究成果等についてお教えいただいた.浜松医科大学 瀧川雅浩先生は昨年の「第5回アトピー性皮膚炎国際シンポジウム」での演題についてお話しされたが,患者教育とコメディカルとのコミュニケーションが特に重要であることを強調されていた.いずれのご講演も私にとっては日頃あまり勉強していない分野であり,大変役に立った.

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 皮膚病理組織診断で困ったとき,1冊の本で解決しないかと,まず手に取るのが本書初版でした.診断するうえで,鍵となることが記載されていて,なおかつ非常に効率的,合理的に構成されているからです.

 皮膚科医になって20年余りになりますが,皮膚疾患の中で,腫瘍については随分勉強をおろそかにしてきたので,告白するといまだに診断がよくわからないことが多いのですが,そんな私にとって,本書初版の使いやすいところは以下の点です.

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あとがき 渡辺 晋一
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 新医師臨床研修制度(新研修制度)が始まって,わが国の医療崩壊が始まったように言われているが,医療崩壊はすでに医療費亡国論が提出された頃から始まっている.今後高齢者が増え,さらなる新薬が登場すれば,平均寿命が伸び,医療費が増大するのは自明のことである.それにもかかわらず,医療費を削減するのは,時代の流れに逆行することであり,当然そのしわ寄せは病人やその家族,さらには医療従事者に及ぶことになる.それでは新研修制度の最大の負の産物は何かというと,地域医療の崩壊を招いたことである.

 新研修制度の最大の目的は,従来大学病院が担っていた医師の養成機能を,市中病院に移すことである.これには,厚生労働省(厚労省)が医師の養成を主導する立場にありながら,実質的には医師養成が大学病院という文部省管轄下で行われていることへの反発がある.つまり研修医養成の予算を握っている厚労省が,その権益を取り戻したいということである.さらに大学病院と,そこから医師を派遣してもらっている市中病院の主従関係を打破したいという意向が,新研修制度を後押しした.その結果,厚労省のもくろみは成功し,地方大学病院はその存続も怪しくなるという状況に追い込まれている.単なる研修医の移動だけならば,地域医療が崩壊することはないが,厚労省は大学病院の医師派遣機能を認識していなかった.つまり今までは大学から地方病院に派遣された医師は,何年かすれば大学病院に戻れるというシステムがあったため,地方に派遣される医師が途切れることはなかった.ところが新研修制度はこのシステムを破壊してしまったため,地方病院は自力で医師を獲得しなければならなくなった.都会の医師よりも何倍も高い給料を出せば,地方でも医師を獲得することは可能かもしれないが,病院経営が厳しい昨今,それほど多くの給料は出せないのが普通である.安い給料でも数年すれば大学に戻れるという約束があればこそ成り立っていた医師派遣システムであったのだ.

基本情報

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臨床皮膚科
63巻8号 (2009年7月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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