Japanese
English
症例報告
熱傷瘢痕に生じた悪性黒色腫の1例
A case of malignant melanoma arising on burn scar
中村 吏江
1
,
鼻岡 佳子
1
,
森本 謙一
1
,
石川 哲三
2
,
篠田 勧
3
Rie NAKAMURA
1
,
Keiko HANAOKA
1
,
Kenichi MORIMOTO
1
,
Tetsuzou ISHIKAWA
2
,
Susumu SHINODA
3
1尾道総合病院皮膚科
2呉医療センター皮膚科
3しのだ皮ふ科
1Department of Dermatology,Onomichi General Hospital,Onomichi,Japan
2Department of Dermatology,Kure Medical Center,Kure,Japan
3Shinoda Dermatology Clinic,Hiroshima,Japan
キーワード:
悪性黒色腫
,
熱傷瘢痕
Keyword:
悪性黒色腫
,
熱傷瘢痕
pp.581-584
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102366
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要約 83歳,女性.24歳時に受けた右下肢の熱傷瘢痕部に,80歳頃より難治性潰瘍が出現した.潰瘍は徐々に拡大し,一部に紅色ドーム状隆起性腫瘤を生じたため,全摘した.病理組織学的には,多角形あるいは紡錘形の腫瘍細胞がびまん性に増殖しており,異型の強い類円形核をもち,メラニンを産生していた.以上より悪性黒色腫と診断し,拡大切除した.欧米の熱傷瘢痕癌の報告では,有棘細胞癌が95%,基底細胞癌が2~3%を占め,悪性黒色腫はきわめて稀とされている.本邦での過去43年間の熱傷瘢痕癌の報告は,調べえた限りで有棘細胞癌が89.5%,基底細胞癌が2%,悪性黒色腫が自験例を含め3.8%であった.熱傷瘢痕に年余を経て腫瘍が生じた場合,稀ではあるが鑑別疾患として悪性黒色腫を挙げるべきと思われた.
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