皮膚病診療 39巻7号 (2017年7月)

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<症例のポイント>エッセンシャルオイルは近年さまざまな場面で使用されている。中でもティーツリーオイルはニュージーランドおよびオーストラリア原産の樹木から抽出されたもので、アロマセラピーでは殺菌および精神安定作用があるとされ、多用されている。われわれはティーツリーオイルを使用した自家製の化粧水を全身に使用し、アレルギー性接触皮膚炎を発症した1例を経験した。自験例では使用していたティーツリーオイルおよびジャパニーズ・スタンダードシリーズのフラグランスミックスのパッチテストが陽性を示した。エッセンシャルオイルによる接触皮膚炎の報告例は本邦ではいまだまれであるが、自験例のようにステロイド内服を要する症例報告も散見され、注意が必要である。

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<症例のポイント>経皮感作が考えられた米ぬかによる接触蕁麻疹の症例を経験した。米ぬか、米のとぎ汁のプリックテストは陽性であった。白米の摂取は可能であった。小麦の「ぬか」であるブランでもプリックテスト陽性であった。

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<症例のポイント>ピオクタニン(クリスタル紫)はMRSAに対し強力な抗菌力を有し、近年の抗菌薬耐性菌の増加に伴いクリスタル紫消毒薬のMRSA感染巣に対する有効性が見直されている。1.0%以上の高濃度のクリスタル紫を使用することにより過去にびらん、潰瘍形成等の有害事象が報告されたが、低濃度のものが使用されるようになり、その頻度は減少している。植込み型補助人工心臓(ventricular assist device、以下、VAD)植込み後の慢性期の合併症対策としてドライブラインの皮膚貫通部の感染や、それに続発する血流感染が大きな問題となっている。当院ではVADの消毒薬に0.01%クリスタル紫消毒薬を用いている。これまで有害事象がなかった0.01%のクリスタル紫消毒薬に対するアレルギー性接触皮膚炎を1例経験した。

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<症例のポイント>ビソプロロールテープ(ビソノテープ)による接触皮膚炎症候群の1例を経験した。ビソノテープを含め全身作用型経皮吸収型製剤によるアレルギー性接触皮膚炎の報告例は少ない。今後、全身作用型経皮吸収型製剤のさらなる普及により、刺激性接触皮膚炎のみならずアレルギー性接触皮膚炎をおこす症例が増えることが予想されるため、われわれ皮膚科医も注意が必要である。

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<症例のポイント>紫外線吸収剤のポリシリコーン-15(dimethicodiethylbenzalmalonate:PARASOL SLX)による接触皮膚炎の1例を験した。ポリシリコーン-15は、高分子構造のため、安全性が高いとされている合成物質である。接触皮膚炎の報告は少ないが、近年使用頻度が増えつつあるため、今後報告が増える可能性があり注意を要する。

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<症例のポイント>ネオメドロールEE軟膏による接触皮膚炎は日常診療で遭遇する機会の多い疾患で、多くは主成分であるフラジオマイシンによってひきおこされる。自験例はパッチテストでフラジオマイシンに加えて、ネオメドロールEE軟膏の添加物であるラノリンにも陽性反応が認められた。ラノリンは化粧品等に広く用いられているため、自験例に対して単に原因薬剤の使用を禁じるだけでは接触皮膚炎が再発する可能性が高い。アレルギー性接触皮膚炎患者に対する的確な指導のためには、パッチテストを行って原因物質を同定する必要がある。

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<症例のポイント>バイオリンの顎当て部の金属による接触皮膚炎を経験した。頸部に限局する湿疹をみたら、楽器なども原因として考慮する必要がある。バイオリン演奏家の頸部に生じる皮膚炎の原因は機械的刺激が多いが、アレルギー性のこともあるため、詳しい問診や診察、パッチテストなどが必要と考えられた。

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<症例のポイント>留置針刺入部に一致して紅色丘疹が生じたこと、外套カテーテルの留置テストで再現性があったことから、留置針外套による接触皮膚炎と診断した。アレルゲンが直接真皮内に侵入して生じており、真皮型接触皮膚炎に相当すると考えた。パッチテストによる原因物質の特定はできていないが、外套カテーテルの成分であるポリウレタンやポリカーボネートのほか、含有する添加物の可能性が考えられる。

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<症例のポイント>ダーマボンドアドバンスドを術中使用し、接触皮膚炎をおこしたと考えられる1例を報告した。手術創であったため縫合糸による接触皮膚炎との鑑別が必要であったが、皮疹の特徴的な分布、パッチテストにより診断に至った。ダーマボンドアドバンスドの使用から接触皮膚炎発症まで1ヵ月間を要しており、感作が生じたと考えられる。過去の報告でも、自験例と同様、若い女性や長期遺残の症例に接触皮膚炎の報告が多くみられた。若い女性で10日を超えてもダーマボンドが遺残する症例では積極的にダーマボンドを除去することが発症の予防につながるかもしれない。

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<症例のポイント>キュウリはウリ科の植物で、即時型アレルギーの報告例が散見される。健常人5人にキュウリの葉のパッチテストを施行したところ、2名が陽性だった。自験例、健常人2名は、葉そのものには陽性であったがすりつぶした葉には陰性であった。キュウリの葉に生えている棘毛による刺激性の接触皮膚炎と考えた。

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<症例のポイント>難治性の手湿疹で詳細な問診の結果、湿疹に左右差があり利き手に症状が強いこと、仕事関係で携帯電話を頻回かつ長時間使用すること、使用している携帯電話の塗装が剥げていることなどから携帯電話による接触皮膚炎を疑い精査を行った。パッチテストにて同携帯電話の塗装部分およびクロムで陽性であり、成分解析の結果携帯電話のボタンからクロムを検出したため、携帯電話から溶出したクロムによる接触皮膚炎と考えた。繰り返す接触皮膚炎は、患者自身が自覚していないものが原因である可能性があり、ときに特定が困難である。診断には詳細な問診が必要である。

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<症例のポイント>ジェルネイルによるアレルギー性接触皮膚炎を報告した。ジェルネイルの製品においてas isでのオープンパッチテストで巨大な水疱を伴う激しいアレルギー反応を呈した。アクリル系の樹脂のクローズドパッチテストでは多数の樹脂で陽性反応を認め、交叉反応と考えられた。ネイルアートによるアレルギーを発症すると、同様の樹脂を治療で使用する歯科治療が困難になるケースがあり注意が必要である。

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<症例のポイント>ツロブテロール含有貼布剤による接触皮膚炎を経験した。成分パッチテストを施行し、主剤であるツロブテロールの接触皮膚炎の診断に至った。ツロブテロール含有貼布剤は頻用されている気管支拡張薬のテープであるが、接触皮膚炎の症例報告は調べた限り1例しかなかった。自験例のようにツロブテロールによる接触皮膚炎を認めたのは珍しいと思われた。一方で意外と見過ごされているのかもしれない。

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<症例のポイント>OTC医薬品に含まれたクロタミトンによる接触皮膚炎により、皮膚潰瘍に至った1例を経験した。皮膚の菲薄な陰嚢、鼠径部に薬剤による清涼感を求めて患者本人が依存的な外用を継続したことにより、難治性皮膚潰瘍を形成した。外用の中止により皮膚潰瘍は治癒した。外用薬の清涼感などは、ときに増悪因子になる可能性がある。クロタミトンは外用薬に広く用いられており、意図しない用途でも感作する可能性がある。

英文抄録

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<症例のポイント>2016年9月、神奈川県茅ヶ崎市においてスタンドアップパドルボードの国際大会が開催された。公式ユニフォームとして配布されたTシャツを着用した後に、多数の選手、スタッフが気分不快、上半身の痛み、灼熱感などの症状を訴えた。当院には21名が来院し、Tシャツ着用部に一致した紅斑、水疱、びらんを認め、化学熱傷と診断した。化学熱傷の原因物質はジデシルジメチルアンモニウムクロリド(didecyldimethylammonium chloride、以下、DDAC)であった。DDACはTシャツプリントの発色剤として本事例で初めて使用された。洗浄工程が行われなかったため、DDACが高濃度にTシャツに残留し、化学熱傷をおこしたと考えられた。DDACとその分解物であるジデシルメチルアミン(didecylmethylamine、以下、DDMA)、N,N-ジメチルデシルアミン(N,N-dimethyldecylamine、以下、DMDA)によるパッチテストを3例に施行したが、陰性であった。

editorial

症例報告 斉藤 隆三

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このたび,日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会と皮膚脈管膠原病研究会が,2018年1月1日をもって合同化することになり, 学会名も「日本皮膚免疫・アレルギー学会」と改められることになった.このような経緯から現在,「日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会」理事長である私に今後の皮膚免疫・アレルギー学の展望も含め,その動向を執筆するようにとの依頼が編集部よりあった.以下,本学会が日本における皮膚アレルギー疾患の診療,研究,教育で果たしてきた役割と今後の方向性について概観したい.

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一般社団法人SSCI-Ne(t 以下SSCI-Netと略)は厚生労働科学研究費補助金事業(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)「化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究」(2013年度~2015年度)の研究成果として,2016年4月1日に一般社団法人として設立された.SSCINetは Skin Safety Case Information Network(皮膚安全性症例情報ネット)の略で,国民の化粧品等による皮膚障害被害を早期に発見し最小化を図るとともに,わが国をより安全 安心な国にすることを目指している.設立から1年2カ月,SSCINetの現状と課題,そして,展望(夢)を述べたい.(「はじめに」より)

蝶の博物詩

生態25 西山 茂夫

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東邦大学大森病院皮膚科で2011~2016年にパッチテストを行った742例の結果を報告した。陽性は15例(2.0%)で、陽性例は全て女性であり、年齢は16~76歳(平均53.9歳)、発生部位は顔面6例、口唇・口腔6例、全身2例、下腿1例であった。陽性率を疾患別にみると、口唇炎が最も高く8.3%、次いで接触皮膚炎3.1%、金属アレルギー1.5%、アトピー性皮膚炎1.2%の順であった。当科における過去(2001~2010年)のデータと今回の結果を比較すると、陽性率は0.7%から2.0%に上昇し、疾患別陽性率は口唇炎と接触性皮膚炎の陽性率が上昇していた。

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 平成28年11月5,6日に,東京都新宿区の京王プラザホテルにて,第46回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会を開催させていただきました.幸いなことに好天に恵まれ,全国から1,000人を超える,過去最高の参加者にお集まりいただきました.ここに,無事盛会裡に終了できましたことをご報告いたしますとともに,ご講演,ご司会をお務めいただいた先生方,さまざまなアドバイスをいただいた本学会の役員の皆様,ご支援いただいた東京女子医科大学皮膚科同門会の皆様に厚く御礼を申し上げます.(「はじめに」より)

私の歩んだ道

夢を忘れない 宮地 良樹

皮心伝心

診察室の四季

蝉しぐれ 斉藤 隆三

皮膚科のトリビア

第145回 浅井 俊弥

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目次

編集後記・次号予告

基本情報

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皮膚病診療
39巻7号 (2017年7月)
電子版ISSN:2434-0340 印刷版ISSN:0387-7531 協和企画

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