皮膚病診療 46巻11号 (2024年11月発行)

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特集　最近のBehçet病

Editor's eye 山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.957-957

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Topics1

Behçet病病態のトピックス：MHC-I-opathyやクラスター分類を交えて桐野　洋平 46巻11号 , 2024年11月 , pp.958-961

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●近年Behçet病（Behçet's disease：BD）のぶどう膜炎が減少し，腸管型が増加している．

●遺伝学的解析により，BDと乾癬・強直性脊椎炎（ankylosing spondylitis：AS）との類似性が見出され，MHC-I-opathyの概念が提案された．

●BDのクラスター分類により，5つの疾患亜型が同定された．

●新しい治療薬の開発のために，Behçet病，乾癬，強直性脊椎炎などの臨床的特徴が共通している複数の疾患を合わせて新たな疾患集団をつくる方法（MHC-I-opathyの提唱）や，1つの疾患の中から臨床的特徴に基づいて亜型を同定する方法（クラスター解析）が考えられるが，いずれの方法が患者にとってメリットがあるのかを決定するにはさらなる研究が必要である．

（「ポイント」より）

Topics2

乾癬のCD8⁺ T細胞自己免疫病理から考えるBehçet病でのCD8⁺ T細胞の役割荒川　明子 46巻11号 , 2024年11月 , pp.962-969

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●HLA-B^*51，HLA-C^*06:02はBehçet病，乾癬のもっとも強い疾患リスクであり，病理メカニズムの中心で機能している．

●Behçet病，乾癬のHLA-B^*51，HLA-C^*06:02による疾患リスクは，異なるERAP1アレルとの組み合わせで，さらに制御される．

●ERAP1は乾癬自己抗原ADAMTSL5の産生量を調整し，HLA-C^*06:02が介在するCD8⁺ T細胞による自己免疫反応のおこりやすさを制御し，乾癬の発症リスクを変えている．

●乾癬と同様に，Behçet病で，CD8⁺ T細胞がHLA-class I リスクアレルが提示する（自己）抗原を認識して活性化し高産生されたIL-17が好中球を活性化し，Behçet病および乾癬の病態に関与していると想定される．

（「ポイント」より）

総説

Behçet病の皮膚粘膜症状と臨床病理山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.970-976

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●Behçet病の皮膚粘膜症状は，口腔アフタ，外陰部潰瘍，毛包炎，結節性紅斑，表在性血栓性静脈炎などが知られている．

●結節性紅斑や毛包炎の生検組織で血管炎（静脈炎）の所見が認められることもある．

●最近の研究で，症状によりいくつかのクラスターに分類されることがわかってきており，皮膚症状から全身症状をある程度予測しうることが今後期待される．

●Behçet病の皮膚粘膜症状について，まれなものも含めて概説した．

（「ポイント」より）

治療

Behçet病の最近の動向中村　晃一郎 46巻11号 , 2024年11月 , pp.977-983

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●Behçet病は全身の臓器に病変を生じる原因不明の炎症性疾患である．

●病態は好中球の活性化および血管の炎症（variable vessel vasculitis）である．

●自然免疫・獲得免疫の免疫異常があり，広義の自己炎症症候群として捉えられる．

●皮疹は結節性紅斑様皮疹，毛包炎様皮疹，血栓性静脈炎があり，まれにSweet病様紅斑，膿瘍，潰瘍，紫斑，水疱などがある．

●治療は皮膚粘膜症状に対する外用療法としてステロイド外用薬が主体であり，全身療法としてコルヒチン，アプレミラストなどの内服薬やステロイドなどの免疫抑制薬が選択となる．

（「ポイント」より）

統計

当科において過去20年間に経験したBehçet病の統計的観察草野　美沙希 , 山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.984-990

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●過去20年に84例のBehçet病（疑い含む）症例を経験した．

●84例の内訳では不全型の割合がもっとも多かった．皮膚粘膜病変は73例で認められた．

●前半10年と後半10年に分けて，病型や臨床所見について比較検討を行ったところ，後半では完全型・不全型の割合が減少し，疑い例が増加していた．

（「ポイント」より）

臨床例

扁桃周囲膿瘍を合併した完全型Behçet病熊谷　恒良 , 小池　修治 46巻11号 , 2024年11月 , pp.991-995

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・口腔内のアフタ性潰瘍が生じたあと扁桃周囲膿瘍を合併し，毛包炎，ぶどう膜炎，陰部潰瘍，結節性紅斑様皮疹を伴う完全型Behçet病（Behçet's disease：BD）を発症した．

・HLA-B51陽性の遺伝要因を有し，扁桃の感染という環境要因が発症の契機となっていると考えられる．

（「症例のポイント」より）

急性汎発性膿疱性細菌疹を当初考えたBehçet病森　龍彦 , 三浦　貴子 , 山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.996-999

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・発熱，咽頭痛とともに広範囲に無菌性小膿疱が急性に多発した症例を経験した．

・Behçet病（Behçet's disease：BD）も疑ったがほかに症状がなく，急性汎発性膿疱性細菌疹（acute generalized pustular bacterid：AGPB）として加療した．

・8年半後に口腔内アフタ，陰部潰瘍を発症しBDと診断した．

・BDの初発症状が毛包炎様皮疹であった．

・AGPBはBDの毛包炎様皮疹と鑑別を要する疾患で，両疾患の鑑別には膿疱の分布や再発の有無が重要である．

（「症例のポイント」より）

妊娠を契機に皮膚粘膜症状が増悪しBehçet病と診断された例佐藤　真由 , 入江　絹子 , 山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1000-1002

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・外陰部潰瘍の既往のある若年女性に，妊娠を契機に結節性紅斑様皮疹や痤瘡様皮疹が出現し，Behçet病と診断された1例を経験した．

・外陰部潰瘍を繰り返していたが，産婦人科で再発性性器ヘルペス感染症と診断されていた．

・これまでBehçet病と診断されていなくても，妊娠を契機に皮膚粘膜症状が出現した際はBehçet病を思い浮かべる必要がある．

（「症例のポイント」より）

Crohn病との鑑別を要した腸管Behçet病玉置　敬之 , 柴峠　光成 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1004-1007

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・長期間下痢・腹痛・血便を繰り返していた症例だが診断確定に至っていなかった．

・感染性腸炎・Crohn病の除外診断，内視鏡所見，Behçet病主症状・副症状の出現により診断確定に至った．

・回盲部を中心に多発する円形・卵円形およびアフタ様潰瘍，回盲弁の変形を伴う打ち抜き様潰瘍は腸管Behçet病に合致する所見であった．

（「症例のポイント」より）

血栓性静脈炎を繰り返した血管型Behçet病中村　剛大 , 山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1008-1011

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・初診時に血栓性静脈炎を呈し，その後，口腔内アフタ性潰瘍や外陰部潰瘍がみられ深部静脈血栓症も伴ったことから，血管型Behçet病と診断した．

・血管型Behçet病と診断後，17年間にわたってフォローアップを行い，その経過中に血栓性静脈炎を繰り返した症例を報告した．

（「症例のポイント」より）

SARS-CoV-2ワクチン接種によって増悪または発症したBehçet病の3例橋爪　秀夫 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1012-1016

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・SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種後に増悪または発症した3例のBehçet病症例を経験した．

・SARS-CoV-2 mRNAワクチン接種は抗リン脂質抗体産生を誘導し，血管炎の増悪に関与する可能性がある．

・Behçet病患者に対するSARS-CoV-2 mRNAワクチン接種は，慎重に検討すべきである．

（「症例のポイント」より）

アプレミラストが口腔内潰瘍のみならず副症状にも奏効したBehçet病添田　麻莉 , 大園　綾花 , 石井　文人 , 名嘉眞　武國 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1018-1021

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・局所療法で効果不十分なBehçet病に伴う口腔内潰瘍に対して，全身療法の1つにphosphodiesterase-4（PDE4）の選択的阻害薬であるアプレミラストの内服がある．

・自験例は診断・治療に苦慮したが，アプレミラスト内服により口腔内潰瘍だけではなく，結節性紅斑様皮疹，関節痛および消化器症状が改善した．

（「症例のポイント」より）

Behçet様症状を呈した肺結核西野　温奈 , 沢田　泰之 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1022-1025

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・自験例の患者は若年女性であり，扁桃腫大も伴っていたことから上気道感染に伴うBehçet病疑いとして治療を開始した．

・しかし入院中に肺結核の感染が明らかとなり，病理組織像も典型的なBehçet病の所見ではなかったことから，皮疹の原因として結核菌感染が強く疑われた．

・既往のない若年女性が結核感染をしている可能性はまれではあるが，感染症のスクリーニングとして胸部X線で確認することや皮膚生検を行うことが診断確定につながり，迅速に適切な治療を開始することにつながったと考える．

（「症例のポイント」より）

Editorial

コミュニケーション・ストレス向井　秀樹 46巻11号 , 2024年11月 , pp.955-955

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リレーエッセイ　私のワークライフバランス

「まいっか，ぼちぼちいこか」中嶋　千紗 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1026-1027

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病理検査室の窓辺から

イボあるいは疣贅という病名斉藤　隆三 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1028-1028

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皮心伝心

人間万事塞翁が馬藤澤　康弘 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1029-1029

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学会ハイライト

第14回日独皮膚科学会を主催して山本　俊幸 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1030-1032

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声

本誌9月号「Sjögren症候群の最近の知見」を読んで 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1033-1033

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皮膚科のトリビア

第233回浅井　俊弥 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1034-1035

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目次 46巻11号 , 2024年11月 , pp.952-953

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次号予告 46巻11号 , 2024年11月 , pp.1036-1036

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基本情報

皮膚病診療
46巻11号
(2024年11月発行)

電子版ISSN：2434-0340 印刷版ISSN：0387-7531 協和企画

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