ワンポイント解説
VEXAS症候群~好中球性皮膚症を呈する新しい自己炎症症候群~
山本 俊幸
1
1福島県立医科大学皮膚科学講座
pp.1040-1041
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000003561
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VEXAS[Vacuoles(空胞),E1 enzyme(E1酵素),X-linked(X連鎖),Autoinflammatory(自己炎症疾患),Somatic(体細胞性)]症候群は,比較的高齢の(主に)男性に生じる,多彩な全身性炎症症状と造血異常を伴う新しい自己炎症症候群である.最近の多数例の報告ではVEXAS症候群の60~80%に皮膚症状がみられ,Sweet病に似た症状がもっとも多い1,2).ほかに,血管炎(結節性多動脈炎,巨細胞性動脈炎),成人発症Still病,脊椎関節炎,菊池病と診断された症例がVEXAS症候群であったとする報告もある3).現時点では皮膚症状からこの疾患を診断することはできないが,以下に述べるように他の臨床・検査所見と併せて診断する.
X染色体上に位置するUBA1(ubiquitin-like modifier activating enzyme 1:ユビキチン活性化酵素E1)の体細胞変異により,41番目のアミノ酸であるメチオニンの置換(p.Met41)によって病原性が生じる.臨床症状は発熱,関節痛,大球性貧血,好中球性皮膚症,深部静脈血栓症,肺浸潤などがみられる.中でも皮膚症状はVEXAS症候群の初発症状として高頻度にみられるとされる.これまでSweet病や再発性多軟骨炎と診断されてきた症例の中に,この疾患が相当数含まれている可能性がある.
(「VEXAS症候群とは」より)
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