私の視点
爪甲鉤彎症は爪が伸びるのが遅い?
原田 和俊
1
1東京医科大学皮膚科学分野
pp.267-267
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.24733/pd.0000002873
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爪甲鉤彎症は爪甲が肥厚・変色し,鉤状もしくは羊の角状に変形する疾患である.爪甲が伸長する際に,足趾末端が隆起していると,爪甲は水平に伸びることができなくなる.その結果,爪甲は爪床から剝離し,上方へ伸びるようになり,爪甲は肥厚・混濁する.これが,爪甲鉤彎症の病態である.真菌感染による爪甲下角質増殖も爪甲鉤彎症の誘因となる.厚硬爪甲も病態は同じであるが,爪甲の変形が軽度な状態である.鉤彎症による肥厚した爪のため,患者は靴を履くと痛いと訴えることがある.汚穢な爪を他人にみせたくないので,素足になることに抵抗を示す患者もいる.
鉤彎症の患者に爪切りの頻度を尋ねると,爪が伸びないので爪を切っていないと答えることが多い.しかし,鉤彎症は基本的に爪母に異常がないので,爪甲が伸びないということはない.鉤彎症の爪は脆く,段々状となっているので,爪甲の伸長に伴い先端が少しずつ剝がれ落ちるため,爪が伸びていないように患者は思い込むと考えられる.
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