臨床雑誌整形外科 68巻13号 (2017年12月)

  • 文献概要を表示

は じ め に

 上腕骨遠位端骨折はロッキングプレートの普及とともに早期可動域(ROM)訓練が可能となり,治療成績は向上している.一方,重篤な合併症である術後尺骨神経障害は比較的頻度が高いことが認識されている.また受傷時より末梢神経障害を認める症例も散見される.しかしながらこれらの末梢神経障害に関して,まとまった報告は少ない.本研究の目的は上腕骨遠位端骨折に伴う末梢神経障害を調査し,その発生率,治療経過,リスク因子を明らかにすることである.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 脊椎に発生する脆弱性骨折が女性に多く発症するのは広く知られているが,どういった患者に発生しやすいのかはいまだ知られていない.本稿では,女性に発生した脊椎脆弱性骨折がどういった患者に生じやすいのかを知る目的で,発生部位,既存骨折の有無,骨密度,骨代謝マーカー,気象条件との関連を調査し,報告する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 超高齢社会が到来した近年,腰痛や下肢痛による間欠跛行(intermittent claudication:IMC)を主訴とする腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)の患者は増加しつつある.『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011』には,「初期治療は保存療法が原則であるが,保存治療が無効である場合には,手術治療を推奨できる」とされている1)

 筋肉温存型腰椎椎弓間除圧術(muscle-preserving interlaminar decompression:MILD法)は,LSSに対する手術術式として開発された術式2,3)で,その治療成績はこれまでにも報告されてきている4~8)

 本稿では超高齢社会が到来したこともふまえ,80歳以上のLSSに対して施行されたMILD法の治療成績を調査し,その有効性を明らかにすることを目的として検討を加えたので報告する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 術後の疼痛管理は患者の苦痛を軽減するのみでなく,早期離床,リハビリテーションの進行,入院期間の短縮などに影響するといわれている1~3).2013年にアセトアミノフェン(APAP)静脈注射薬が発売された.超急性期の手術直後に使用し,創部の疼痛緩和効果が期待される.しかしながら,われわれが渉猟しえた限りでは,これまでに脊椎術後疼痛管理においてAPAP静脈注射薬の有用性について検討した報告は少ない.本研究の目的は,腰部脊柱管狭窄症(LCS)に固定を併用しない除圧術を施行した症例の,術後創部痛に対する静脈注射用APAPの効果を検討することである.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 超高分子量ポリエチレン繊維をテープ状に編み組みした非吸収性ケーブル[ultrahigh molecular weight polyethylene cable,ネスプロンケーブルシステム:NCS(アルフレッサファーマ社,大阪)]は高い力学的強度を有し,これまでのソフトワイヤーやワイヤーケーブルに比べて,特に疲労強度に優れた材料である.本稿では,NCSを用いて手術を行った膝蓋骨骨折の術後短期成績を検討した.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 膝半月損傷では,その機能を温存するために適応があれば縫合術が行われる.これまでは縫合方法としてinside-out法が主流であったが,近年,後側方皮切を加えることなく,種々のデバイスを用いall-insideに縫合できるようになった.現在,われわれはFasT-Fix半月縫合システム(Smith & Nephew Endoscopy社,Andover)を使用しているが,本システムを安全に操作するためには多少の習熟を要する1)

 本稿では,当院でのFasT-Fixの導入直後と最近の治療成績を比較するとともに,使用上の問題点と対策,さらに縦断裂以外の損傷に対する適応について検討を行ったので報告する.

  • 文献概要を表示

 自然破壊と温暖化,大規模災害,国際安全保障のゆらぎと難民,格差と差別,少子高齢化と過疎化など国内・外に蔓延する解の見えない多くの問題に直面し,若者には二つの選択肢がある.一つは考えることを諦め,偏差値競争を続けることである.もう一つは,自ら目標を定めて主体的に行動することを通して社会が直面する問題の解決に貢献する道である.前者を求める学生には知識と問題解決のテクニックを教えれば良い.後者を目指す学生に対しては,教育者は既存の正しい知識を「教える」だけでなく,学習者が自ら学び,解決すべき問題を発見し,新しいアイディアを生みだすように「引きだす」役割を意識する必要がある.

 新しいアイディアが価値を創造し,社会変革がもたらされることをイノベーションという.そしてイノベーションは,「知の創造」,「知の具現化」,「知の商業化」の三段階を経て完成する1).イノベーションは学べるのか,という問いに対する一つの答えとして,スタンフォード大学教授・Paul Yock氏が創設したバイオデザインと呼ばれる医療機器人材育成プログラムがある2).これは,ニーズの探索・選択から,コンセプト(解決策)の創出・選択,事業化(知財戦略と販売戦略)までを,医師・工学者・企業の営業/技術者などからなる4人1組のチームで10ヵ月かけて実践するもので,2001年の開始以来,400件以上の特許を取得し,680人以上の新規雇用を創出,50万人以上の患者が開発された医療機器の恩恵を受けている.2008年にはインド・バイオデザイン,2010年にはシンガポール・バイオデザインがそれぞれ創立された.日本でも2015年,スタンフォード大学と東北大学・東京大学・大阪大学の3大学との間でプログラム協定が調印され,10月から第一期がスタートした.2017年9月現在,すでに第一期フェロー(受講者)による起業が1件あり,第二期が修了,10月スタートの第三期フェローが決定している.このように従来日本で軽視されてきた「知の具現化」と「知の商業化」は学ぶことができる.

  • 文献概要を表示

 さて,2004年に新臨床研修制度が始まってはや10年以上が経過し,第一期生の先生たちも卒後14年目の中堅医師として若手医師の指導的な立場となって活躍されています.私が卒業した1988年の時代には,卒業した母校以外の病院で研修するなど思いもよりませんでしたが(実際のところは自分で研修先を模索していた同級生もおりましたが…),この間に各地で大学病院での研修が不人気になり,一方で都会の大規模病院で研修する先生が増加したため,地方の医師不足の深刻化など当初の厚生労働省の思惑とは全く違った問題点が露呈するようになりました.この問題は未だに解決の糸口が見つかっていないのが現状であると思います.

 大学病院で働く私としては研修医,医局員の減少は大学医局の死活問題であったため,学生の流失の引きとめに躍起となって策を弄してきました.しかし整形外科は所詮マイナー科目で,私どもの大学では3年生時の整形外科の授業,5年生時の1週間のポリクリの機会を逃しますと,学生と直接接する機会はなかなか巡ってきません.外で研修した学生はなかなか大学には戻ってきませんし,大学で研修したとしても整形外科は選択科目ですので彼らが整形外科を選択しなければ,そのまま研修中にお世話になった診療科や先輩医師の所に入局するといった次第です.おかげさまでこの10数年,大学から臨床研修委員という役柄をいただいていた私は,学生や研修医と「勧誘」,「説明会」という名の飲み会を繰り返す日々でした.他に整形外科や教室の魅力を彼らにアピールする方法を思いつかなかったからです.

  • 文献概要を表示

 仙骨硬膜外ブロックは局所麻酔薬を仙骨裂肛を経由し,仙骨部の硬膜外腔に注入することにより鎮痛効果を得る方法である.腰椎レベルでの硬膜外ブロックにおいて生じうるくも膜下腔への局所麻酔薬の誤注入などの重篤な合併症のリスクは低い.本稿では,仙骨硬膜外ブロックにおけるブロック針の誤刺入が仙尾骨周囲膿瘍の発症要因と考えられた1例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 棘窩切痕部に発生した脂肪腫を合併した,きわめてまれな腱板断裂の1例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 人工膝関節全置換術(TKA)において,正確なコンポーネント設置,アラインメントの獲得は良好な術後成績を得るために重要である1).従来の髄内および髄外アラインメントガイドを用いたTKAで良好な術後成績が得られている一方,骨折後の変形治癒などによる髄内ロッドの挿入が困難な症例や,コンポーネントの設置不良の報告も散見される2).本稿では大腿骨骨折後変形治癒を伴う変形性膝関節症(OA)に対してナビゲーションシステムを併用したTKAを施行し,良好な術後成績を得た2例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 高度な反張膝に対し,人工靱帯を用いて制動術を施行した1例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 足関節脱臼骨折は日常診療において多く遭遇する疾患の一つである.しかし,腓骨が脛骨後面に転位固定され整復困難な足関節脱臼骨折は比較的まれであり,1947年にBosworthが報告した.本稿では,中年女性の自転車転倒で発生したBosworth骨折の1例を経験したので報告する.

  • 文献概要を表示

 滑膜骨軟骨腫症は比較的頻度が高く,一般整形外科医も治療を行っている.3回の切除術が行われた後に悪性化した足関節に発生した滑膜骨軟骨腫症の1例を報告する.

診療余卓

Rotator cuffと腱板の呼称の変遷 三笠 元彦
  • 文献概要を表示

 Rotator cuffは最終的にはMoseleyの命名であるが,そこにいたるには多少の変遷があった.1906年,Codmanが “supraspinatus/infraspinatus/subscaoularis/teres minor” の筋群を “short rotator” と呼び,1934年にその合同腱が側面からみるとcuff(袖口)状にみえるので, “musculotendinous cuff” と呼んだ.1941年に,Bosworthが上記二つの表現を合わせて, “short rotator cuff” と呼び,10年後の1951年にMoseleyが “short” を外して,現在使われている “rotator cuff” になった.

 本邦では,1938年に神中が “musculotendinous cuff” を結節部付着腱と呼んだが,腱板断裂の手術を誰もしたことがない時代であったので,まったく普及しなかった.1934年,Codmanが “cuff” という表現を造語した同じ年に,Pfuhl(ドイツ)が合同腱を “diskus/discus” と呼んだ1).Pfuhlの論文を読んだ三木は,1940年に「Pfuhlのdiscus」と呼び,1946年「腱板」という言葉を造語した.その後,河邨が1965年,岩原寅猪,片山良亮(編)『整形外科学』(医学書院)の中で,腱板にrotator cuffのrotatorを拾って,「回旋筋腱板」と呼んだが,1967年に信原が「回旋筋」を外して「腱板」に戻し,定着した.

  • 文献概要を表示

 思春期特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis:AIS)は女児に好発する脊柱の変形疾患で,有病率は2~3%と比較的高い1).過去の疫学研究からAISの発症には遺伝性が強く関与していることが示されており,現在ではAISは多因子遺伝病であると考えられている2)

 多因子遺伝病の疾患感受性遺伝子の発見には,一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)をマーカーとして疾患感受性遺伝子を探索する全ゲノム相関解析(genome-wide association study:GWAS)が有用である.ヒトゲノムは約30億塩基対で構成されるが,約500塩基に1箇所程度,塩基の違い(個人差)がある.このうち一塩基の違いがSNPである.GWASはタグSNPとよばれる各ゲノム領域の代表となるSNPをゲノム全体にわたりアレルを決定し,患者群と対照群でアレルの頻度を比較して有意差の有無を評価する手法である.ゲノムの塩基の違いが,ターゲットとなる遺伝子をもとにつくられる蛋白質の量や機能に変化を生じ,疾患の発症に繋がると考えられている.

Vocabulary

  • 文献概要を表示

 インフラマソームとは,病原成分,アスベストなどの外来性因子,尿酸結晶などの内在性因子により活性化され,マクロファージなどの細胞質内で形成される蛋白質複合体である.形成されたインフラマソームは蛋白質分解酵素(カスパーゼ-1)を活性化し,炎症性サイトカインである活性型インターロイキン(IL)-1β,IL-18の産生分泌を通じて生体に強い炎症応答を惹起し,炎症性細胞死であるピロトーシスを誘導する.近年,インフラマソームによる炎症反応が,感染症,糖尿病,動脈硬化,自己免疫疾患,虚血性障害など,多彩な疾患の発症と進行にかかわっていることが明らかになっている.

 細胞質受容体が外来性・内在性の危険シグナルを感知すると,細胞質受容体であるnucleotide-binding domain, leucine-rich repeat and pyrin domain containing(NLRP),カスパーゼ,apoptotic speck protein containing a caspase recruitment domain(ASC)などが集合してインフラマソームを形成する.本来,インフラマソームはマクロファージ内に進入した病原体の細菌性毒素などに反応して形成・活性化され,引き起こされた炎症やピロトーシスが感染防御に寄与し,宿主にとって有利に働く.しかし,尿酸結晶,アスベスト,シリカに対してインフラマソームが活性化すると,無菌性炎症が誘発され,痛風発作,アスベスト肺,珪肺症が引き起こされる.また血管内のコレステロール結晶に対してインフラマソームが反応すると,血管壁に慢性的な炎症を惹起し,血管内膜の肥厚と内腔の狭窄を通じて動脈硬化を引き起こす.このように,さまざまな炎症性疾患にインフラマソームが関与することが明らかになり,インフラマソームを阻害する治療薬の開発が期待されている1,2)

短報フォーラム

  • 文献概要を表示

 急性胆囊炎のCT診断時に,偶然みつかったmultiple bilateral perineural sleeve cystsの1例について報告する.

  • 文献概要を表示

は じ め に

 リバース型人工肩関節(reverse shoulder arthroplasty:RSA)はサイズバリエーションが少なく,体格の小さなアジア人女性では通常のベースプレートは挿入が困難であり1),25mm径のミニ・ベースプレートが開発された.しかし,日本人女性の関節窩横径の平均は25mmよりも小さいため2),ミニ・ベースプレートでも大きすぎることが多い.自験例でも女性の過半数は関節窩横径が25mm未満であった3).そこで体格の小さな女性にも安全で確実にベースプレートを固定できるように工夫を行ってきた4)

 本稿ではわれわれが施行しているRSAの手技を紹介し,メーカーが作成した手技書との相違点についても解説する.

連載 X線診断Q&A

X線診断Q&A 田中 信弘
  • 文献概要を表示

Question

 症 例.35歳,女.

 主 訴:頚部痛.

 家族歴:特記すべきことはない.

連載 卒後研修講座

  • 文献概要を表示

は じ め に

 歩き始めが遅い,転びやすい,歩きかたがおかしい,急に歩かなくなったなど,小児が歩行に関する主訴で来院することはしばしばみられる.その際には,診察室に入ってくる様子で重症度を判断し,歩行が可能な症例では廊下などで歩容を観察し,走ることができる症例では走る状態も観察することが重要となる.

 本稿では,外来診療で遭遇しやすい小児の歩行障害の診かた・考えかたを解説する.

連載 専門医試験をめざす症例問題トレーニング

  • 文献概要を表示

 症 例.18歳,男.高校生.右利き.

 主 訴:右肩挙上困難.

 現病歴:2.5ヵ月前に400ccバイク事故で転倒して受傷し,一過性健忘があり詳細は不明であったが,ヘルメットは壊れていなかった.右上腕骨近位骨幹部骨折などを合併しており,前医で骨折観血的手術が行われるも,術後に右肩挙上困難を自覚した.右肩外側に感覚障害があり,肩甲帯麻痺の精査・治療目的に,当科を紹介され受診した.

  • 文献概要を表示

 症 例.75歳,女.

 主 訴:腰痛.

 既往歴:特記すべきことはない.

連載 最新原著レビュー

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 目 的:人工股関節周囲の軟部組織緊張が,脚長,脚オフセットに関する因子にどの程度規定されているか,ナビゲーションを用いて定量的に検討することである.

 対象および方法:全身麻酔下にCTベースドナビゲーションシステムを用いてセメントレス人工股関節全置換術(THA)を行った片側罹患の股関節疾患患者89例を対象とした.32例が前側方アプローチ,57例が後側方アプローチで手術を行った.インプラント設置後,一定の牽引力と関節肢位で下肢の牽引を行い,骨頭の移動距離をナビゲーションで記録した.屈曲0°・15°・30°・45°の屈曲肢位それぞれで,体重の40%の牽引力で下肢を牽引した.牽引下骨頭移動距離と脚長,脚オフセットに関する7項目(術後脚長差,脚延長量,術後脚オフセット左右差,脚水平移動量,カップ設置水平位置・垂直位置,術後大腿オフセット)と以下の10項目[年齢,性別,アプローチ,診断名(股関節形成不全であるか否か),術前可動域(ROM)[屈曲,伸展,外転,内転],使用骨頭径,ステム前捻角]との関連を重回帰分析(stepwise法)で求めた.

 結 果:骨頭移動距離は屈曲15°で最大となり,平均11±5mmであった.屈曲0°での牽引下骨頭移動距離は,術後脚オフセット差,脚延長量,アプローチ,術前伸展ROMと関連があった.屈曲15°での牽引下骨頭移動距離は,術後脚オフセット差,アプローチ,術前外転ROMと関連があった.屈曲30°での牽引下骨頭移動距離は,術後脚オフセット差,脚延長量,性別と関連があった.屈曲45°での牽引下骨頭移動距離に関連する因子は検出できなかった.

 結 論:術後脚オフセット差は,屈曲0°・15°・30°の軟部組織緊張を規定しており,適度な軟部組織緊張を広い屈曲角度で得るためには,術後脚オフセットの左右差を最小化することが重要であることが示された.一方で術後脚長差は,軟部組織緊張と関連がなく,屈曲0°と30°において脚延長量と関連があり,この肢位での軟部組織緊張を優先すると,脚過延長になるリスクが示された.

  • 文献概要を表示

【要 旨】

 目 的:家兎膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament:ACL)再建術モデルを用いて,脂肪組織由来再生細胞(adipose-derived regenerative cells:ADRCs)の局所投与による移植腱-骨孔間の癒合促進効果について検討することとした.

 対象および方法:白色家兎に対して自家半腱様筋腱グラフトを用いてACL再建術を施行した.再建時,骨孔内にADRCsとフィブリン糊を挿入したADRC群40羽と,フィブリン糊のみを挿入した対照群40羽を作製した.術後2・4・6・8・12週において各群8羽ずつを屠殺し,3羽を組織学的評価に,5羽を生体力学的評価に使用した.

 結 果:組織学的評価では,ADRC群では対照群に比べ,界面領域における軟骨様細胞がより規則的に,かつより均一な大きさやかたちで出現し,移植腱と骨組織を結ぶSharpey線維がより早期から出現した.生体力学的評価では,最大破断強度において術後2・4週で,剛性において術後6週で,ADRC群が対照群に比べ有意に大きな値を示した.術後8・12週では最大破断強度・剛性ともにADRC群が対照群に比べ大きな値を示したが,いずれも有意差はなかった.

 結 論:家兎膝ACL再建術モデルにおいて,ADRCsの局所投与により移植腱-骨孔間の術後早期癒合過程の促進がみられた.

喫茶ロビー

続アフガニスタン支援 山野 慶樹
  • 文献概要を表示

 カブールでは東の空が明るくなるころ,どこからともなくコーランが聞こえてくる.日の出前のお祈りである.日本に来たアフガン研修医は昼食後,ここの床を使ってよいかと聞く.メッカに向かってのお祈りである.アフガン滞在中,休日によく牧歌的な地方(図1)に出かけたが,日暮れ時になると運転手はそわそわし出す.池はダメで,川を探し車を止め,手足,陰部を清め,メッカに向かってのお祈りである.「ブル(行け)」と言っても無駄で,ここでは宗教がすべてに優先する.仕方なく,川に石を投げたりして,終わるのを待つ.

 滞在中は大学での講義を依頼され,昼食は学内の食堂で食べるが,つい女性がいる方に入ろうとすると窘められる.食事は男女別席である.教室はさすがに分けられないが,日本のように男・女学生が同席していることはなく,まったく席は分かれている.

  • 文献概要を表示

1.は じ め に

 2017年7月1日(土)に東京御茶ノ水・ソラシティカンファレンスセンターで赤居正美会長(国際医療福祉大学)のもと本学会が開催された(図1).

 本学会は1988年11月に日本整形外科学会理事会で理学診療委員会が設置され,発足した日本理学診療医学会を前身とする.外科的治療・手技偏重になりつつあった当時の整形外科の中における,従来からの理学療法,作業療法,義肢装具療法の重要性を再認識し,科学的治療法としてevidence-based medicine(EBM)を作り上げることを目標として立ち上げられた会である.本学会のあゆみを繙くと,時代の流れに乗って変革を遂げてきたことがわかる.第1回は1989年9月,烏山貞宜会長(元日本大学整形外科教授)のもと開催され,理学療法士,作業療法士などと協働することが運動器疾患治療に大切であることを再認識し,新たな運動器学を拓くものであった.1990年後半からはメカニカルストレスに対する生体反応に関する基礎研究がすすみ,理学療法プログラムなど経験的なアプローチから科学的なアプローチへと臨床応用された.EBMに基づいてリハビリテーションの質を高めていくと,運動器リハビリテーションの重要性が社会的にも認知されるようになった.2004年に学会名を日本運動器リハビリテーション学会に変更し,本学会主導のもと2006年に運動器リハビリテーションセラピスト研修制度,2008年には認定運動器リハビリテーション医制度が整備された.2009年,日本整形外科学会のロコモティブシンドローム(ロコモ)の提唱に呼応して,運動器疾患への治療から,要介護状態の早期発見,予防への支援を強化していった.さらに一歩踏み込み,国民の運動器健康へ貢献することを本学会の使命として,2011年に日本運動器科学会へと改称され,現在の総会員数4,788名(名誉会員21名,特別会員17名)にいたっている.

  • 文献概要を表示

1.は じ め に

 2017年7月27日(木)~28日(金)にかけて札幌プリンスホテル(札幌市)で本学会が開催された.

 本学会は出沢明氏(出沢明PEDクリニック)が発起人となって1998年に日本脊椎内視鏡研究会として発足した.1998年は,米国で開発されたMEDシステムが薬事承認された年でもある.その後,本会は1999年に日本脊椎内視鏡低侵襲外科学会(JESMISS)と名称をかえ,そのメンバーが中心となって2001年には国際学会であるPacific Asian Society of Minimally Invasive Spine Surgery(PASMISS)が設立された.Lateral interbody fusion(LIF)などの新たな技術の躍進もあり,現在は内視鏡だけでなく低侵襲脊椎外科手術について,広く脊椎外科医が交流する場となっている.今回は記念すべき第20回で,中野恵介氏(高岡整志会病院)を会長として,弘前大学整形外科が担当幹事として会の運営にあたっておられた.幹事の皆さんはおそろいのポロシャツを着用し,発表に,会の運営にと大活躍であった.学会中はさわやかな晴天に恵まれ,夏の日本とは思えない快適な気候の中,2日間にわたって学会場では熱い議論が交わされた(図1).

  • 文献概要を表示

1.は じ め に

 われわれ骨・軟部腫瘍を専門とする整形外科医にとっての夏の一大イベントである,日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会が7月13日(木)~14日(金),2日間にわたり,京王プラザホテル(東京)で開催された.本学会は毎年7月中旬の梅雨明け前後に開催されるが,今年も気候とともに熱気あふれる議論が交わされ,盛会のうちに幕を閉じた.今回は特に,第50回という節目の学会であり,土谷一晃会長(東邦大学)[図1]の掲げた「50年目の総括と未来への道筋」 “Our footsteps of the last 50 years and future vision” のテーマが強く反映され,これまで先輩方が築き上げた骨・軟部腫瘍に対する治療の現状と課題に加えて,これからどうあるべきか,将来への展望が議論されていたように感じた.

書評

成人脊柱変形治療の最前線 波呂 浩孝
  • 文献概要を表示

 先進国を中心に生命寿命の延長,出生率の低下によって,世界的に高齢化が進行しています.本邦でも,2015年の統計では65歳以上の高齢者が女性29.5%,男性23.7%に達しました.本書の序文にも記載されていますが,日本脊椎脊髄病学会が実施している全国脊椎手術調査では,全脊椎手術に占める脊柱変形手術の割合が増加しており,この原因は変性や外傷をもとにした成人脊柱変形に対する外科的治療が原因と考えられます.そこで日本側彎症学会は,本症における病態の理解と治療の標準化を目的に本書の刊行を事業化しました.本書は,「Ⅰ章 総論」,「Ⅱ章 各論」から構成されており,各セッションには,はじめに “Point” が提示されているため,要点を整理しながら読みすすめることができます.最近の論文から最先端の知見を多く取り入れ,図や表を多用してわかりやすい記述になっています.詳しく知識を深めたい場合には,引用文献から簡単に重要な論文に到達できます.

 総論は,治療の歴史,病態,診断・評価,治療から構成されています.本症は小児の脊柱変形後の遺残に中年期以降の変性が加わった変形と,小児期には変形がなく成人発症の加齢性変化による変性によって発生した変形(de novo),に大きく分けられます.歴史では,矯正固定法と使用された脊椎インストゥルメンテーションの変遷が紹介されています.病因については変性側弯症と矢状面グローバルアライメントに分類し,症例提示とともにわかりやすく解説されています.病態では,立位保持には頭部から脊椎,骨盤,下肢までのバランスの重要性や理想的な立位脊柱矢状面アライメント,骨盤パラメータ,立位姿勢維持のための代償機能について説明されています.さらに実際の臨床例に使用されるSRS-Schwab分類,脊椎および骨盤パラメータの計測や画像診断,基準値,民族間差,健康関連quality of life(QOL),歩行解析などについても多くのグラフや表を使用し,わかりやすい解説になっています.手術的治療を考慮すべき愁訴,日常生活動作(ADL),QOL,また固定範囲や術式決定について詳細に述べられており,症例提示によって手術計画の実際が示され,実践的でわかりやすい構成です.また手術に伴う麻酔や術後管理,合併症とその対策についても記載があります.

基本情報

24329444.68.13.cover.jpg
臨床雑誌整形外科
68巻13号 (2017年12月)
電子版ISSN:2432-9444 印刷版ISSN:0030-5901 南江堂

文献閲覧数ランキング(
7月27日~8月2日
)