診療余卓
Rotator cuffと腱板の呼称の変遷
三笠 元彦
pp.1370-1370
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1370
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Rotator cuffは最終的にはMoseleyの命名であるが,そこにいたるには多少の変遷があった.1906年,Codmanが “supraspinatus/infraspinatus/subscaoularis/teres minor” の筋群を “short rotator” と呼び,1934年にその合同腱が側面からみるとcuff(袖口)状にみえるので, “musculotendinous cuff” と呼んだ.1941年に,Bosworthが上記二つの表現を合わせて, “short rotator cuff” と呼び,10年後の1951年にMoseleyが “short” を外して,現在使われている “rotator cuff” になった.
本邦では,1938年に神中が “musculotendinous cuff” を結節部付着腱と呼んだが,腱板断裂の手術を誰もしたことがない時代であったので,まったく普及しなかった.1934年,Codmanが “cuff” という表現を造語した同じ年に,Pfuhl(ドイツ)が合同腱を “diskus/discus” と呼んだ1).Pfuhlの論文を読んだ三木は,1940年に「Pfuhlのdiscus」と呼び,1946年「腱板」という言葉を造語した.その後,河邨が1965年,岩原寅猪,片山良亮(編)『整形外科学』(医学書院)の中で,腱板にrotator cuffのrotatorを拾って,「回旋筋腱板」と呼んだが,1967年に信原が「回旋筋」を外して「腱板」に戻し,定着した.
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