私論
拝啓 研修医様
-――整形外科医を目指しますか?
福西 成男
1
1兵庫医科大学整形外科
pp.1360-1360
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1360
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さて,2004年に新臨床研修制度が始まってはや10年以上が経過し,第一期生の先生たちも卒後14年目の中堅医師として若手医師の指導的な立場となって活躍されています.私が卒業した1988年の時代には,卒業した母校以外の病院で研修するなど思いもよりませんでしたが(実際のところは自分で研修先を模索していた同級生もおりましたが…),この間に各地で大学病院での研修が不人気になり,一方で都会の大規模病院で研修する先生が増加したため,地方の医師不足の深刻化など当初の厚生労働省の思惑とは全く違った問題点が露呈するようになりました.この問題は未だに解決の糸口が見つかっていないのが現状であると思います.
大学病院で働く私としては研修医,医局員の減少は大学医局の死活問題であったため,学生の流失の引きとめに躍起となって策を弄してきました.しかし整形外科は所詮マイナー科目で,私どもの大学では3年生時の整形外科の授業,5年生時の1週間のポリクリの機会を逃しますと,学生と直接接する機会はなかなか巡ってきません.外で研修した学生はなかなか大学には戻ってきませんし,大学で研修したとしても整形外科は選択科目ですので彼らが整形外科を選択しなければ,そのまま研修中にお世話になった診療科や先輩医師の所に入局するといった次第です.おかげさまでこの10数年,大学から臨床研修委員という役柄をいただいていた私は,学生や研修医と「勧誘」,「説明会」という名の飲み会を繰り返す日々でした.他に整形外科や教室の魅力を彼らにアピールする方法を思いつかなかったからです.
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