整形トピックス
思春期特発性側弯症の進行に関与する遺伝子の発見
小倉 洋二
1
,
渡邉 航太
1
,
松本 守雄
1
,
池川 志郎
2
1慶應義塾大学整形外科
2理化学研究所統合生命医科学研究センター骨関節疾患研究チーム
pp.1374-1374
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei68_1374
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思春期特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis:AIS)は女児に好発する脊柱の変形疾患で,有病率は2~3%と比較的高い1).過去の疫学研究からAISの発症には遺伝性が強く関与していることが示されており,現在ではAISは多因子遺伝病であると考えられている2).
多因子遺伝病の疾患感受性遺伝子の発見には,一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)をマーカーとして疾患感受性遺伝子を探索する全ゲノム相関解析(genome-wide association study:GWAS)が有用である.ヒトゲノムは約30億塩基対で構成されるが,約500塩基に1箇所程度,塩基の違い(個人差)がある.このうち一塩基の違いがSNPである.GWASはタグSNPとよばれる各ゲノム領域の代表となるSNPをゲノム全体にわたりアレルを決定し,患者群と対照群でアレルの頻度を比較して有意差の有無を評価する手法である.ゲノムの塩基の違いが,ターゲットとなる遺伝子をもとにつくられる蛋白質の量や機能に変化を生じ,疾患の発症に繋がると考えられている.
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