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1.は じ め に
2017年7月1日(土)に東京御茶ノ水・ソラシティカンファレンスセンターで赤居正美会長(国際医療福祉大学)のもと本学会が開催された(図1).
本学会は1988年11月に日本整形外科学会理事会で理学診療委員会が設置され,発足した日本理学診療医学会を前身とする.外科的治療・手技偏重になりつつあった当時の整形外科の中における,従来からの理学療法,作業療法,義肢装具療法の重要性を再認識し,科学的治療法としてevidence-based medicine(EBM)を作り上げることを目標として立ち上げられた会である.本学会のあゆみを繙くと,時代の流れに乗って変革を遂げてきたことがわかる.第1回は1989年9月,烏山貞宜会長(元日本大学整形外科教授)のもと開催され,理学療法士,作業療法士などと協働することが運動器疾患治療に大切であることを再認識し,新たな運動器学を拓くものであった.1990年後半からはメカニカルストレスに対する生体反応に関する基礎研究がすすみ,理学療法プログラムなど経験的なアプローチから科学的なアプローチへと臨床応用された.EBMに基づいてリハビリテーションの質を高めていくと,運動器リハビリテーションの重要性が社会的にも認知されるようになった.2004年に学会名を日本運動器リハビリテーション学会に変更し,本学会主導のもと2006年に運動器リハビリテーションセラピスト研修制度,2008年には認定運動器リハビリテーション医制度が整備された.2009年,日本整形外科学会のロコモティブシンドローム(ロコモ)の提唱に呼応して,運動器疾患への治療から,要介護状態の早期発見,予防への支援を強化していった.さらに一歩踏み込み,国民の運動器健康へ貢献することを本学会の使命として,2011年に日本運動器科学会へと改称され,現在の総会員数4,788名(名誉会員21名,特別会員17名)にいたっている.
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