臨床雑誌外科 81巻9号 (2019年8月)

特集 外科におけるカテーテル管理のコツ

1. 血管内留置カテーテル

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末梢挿入型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central venous catheter:PICC)は中心静脈カテーテルと同等の機能を有しながら,穿刺時の合併症が少なく安全であるとともに,患者の生活の質(QOL)を維持できる利点を有するため普及してきた.PICCやCVポートは長期に使用されることが多く,在宅ケアでも利用されうる.しかし,合併症も一定頻度で発生し,特に感染症や血栓症が長期管理において重要である.カテーテルの特性を十分に理解し,合併症を予防するために適切な管理を行うことが肝要である.

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肝動注化学療法は,切除不能かつ高度に進行した肝臓癌に施行されることが多い.今後は,肝分子標的治療薬の発達により,併用療法としての肝動注化学療法施行の頻度が増える可能性がある.動注療法が効果を発揮するには,長期間にわたって安定した経動脈的投薬が必須条件といえる.しかし,通常の化学療法と異なり,薬剤の副作用のみでなく留置したカテーテルに起因する副作用を生じることがある.安全に継続した経動脈投与を施行するには,動注療法に特徴的なトラブルに精通し,その対処法を理解しておく必要がある.

2. 消化管内留置カテーテル

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イレウス管の適応決定に造影CTは必須の検査であり,虚血あるいは可逆性の閉塞を示唆する所見があれば,外科的治療を積極的に考慮する.挿入後は吸引器あるいは用手的に,間欠吸引あるいは低圧持続吸引を行い,開存を確認する必要がある.抜去の可否決定には造影検査が有用である.イレウス管は迅速な減圧が可能となる強力な治療であるが,患者にかなりの苦痛を強いる治療であることを医療者は意識する必要がある.

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「腸を使う」栄養管理の意義が認知され,われわれも経管経腸栄養で使用される消化管内留置カテーテルの適切な管理法をよく理解する必要がある.4週間までの比較的短期の経管栄養では経鼻カテーテル,それ以上の長期経管栄養では胃瘻アクセスが第一選択であるが,消化器外科周術期では手術時に造設した空腸瘻を用いる早期経腸栄養管理も行われる.安全な経管栄養の継続には,病態に応じた栄養学的知識に加えて,適切な消化管瘻アクセスとリスクマネジメントが必要であり,本稿で概説した.本年から,経管栄養用の世界標準規格の新しい誤接続防止コネクタがわが国でも導入されるので,安全に移行できる体制づくりが求められる.

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肝切除術後胆汁漏において,腹腔内ドレナージが良好であれば原則保存的に治癒可能であるが,自然治癒が期待できない場合は胆道ドレナージが有用である.胆道ドレナージには,内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage:ENBD),内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(endoscopic retrograde biliary drainage:ERBD)経皮経肝的胆管ドレナージ(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD),また,胆汁漏予防目的に術中に留置するCチューブドレナージがあげられる.本稿では,肝切除後胆汁漏の診断と治療法について概説し,特に胆道カテーテル管理のポイントについて詳述する.

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膵・胆道癌手術において膵管・胆管吻合再建時に留置するステントチューブは,吻合部の開存性を確保し,また吻合部に曝露される膵液・胆汁などの刺激性の消化液を適切に腸管内(内瘻チューブ),あるいは体外(外瘻チューブ)へ誘導することで吻合部の保護と減圧に寄与する.さらに縫合不全により吻合部に離開が生じた場合にも,吻合の連続性を保つ効果が期待できる.本稿では膵管・胆管吻合再建時に留置するステントチューブについて,その意義とともにわれわれが行っている管理法について解説した.

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当科における食道癌手術においては原則として経鼻胃管,右頸部ドレーン,左頸部ドレーン,右胸腔ドレーン,左横隔膜下ドレーンを留置している.術後早期の積極的な離床の際にはドレーンのハンドリングに注意を要することをはじめ,ドレーン刺入部の周囲皮膚トラブル予防,逆行性感染予防,事故(自己)抜去予防に関してはメディカルスタッフとの連携がきわめて重要と考えており,メディカルスタッフからの情報をこまめに得て創部の管理に役立てている.

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胃手術の術後管理では,縫合不全や膵液瘻などの臓器・体腔手術部位感染の早期発見と重篤化を防ぐためにドレーン留置の適応や管理を適切に理解する必要がある.メタ解析では予防的ドレーンを画一的に留置することの有用性は認められていないが,術式や合併症リスクを考慮するべきと考えられる.当院でのドレーン管理を紹介するとともに,胃手術におけるドレーン管理の最新のエビデンスについて概説する.

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大腸癌手術におけるドレーン留置についての明確な適応基準はいまだ存在しない.ドレーンには情報・予防・治療の役割があるが,いずれの目的においても留置するにあたってはドレーンの種類,留置部位,留置方法など考えなければならないことが多い.本稿では,現在の大腸癌手術におけるドレーン留置に対する考え方と,当科のドレーン留置および管理の実際について論じる.

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胆道再建を伴わない待機的肝切除術における腹腔ドレーン留置は,必ずしも必要としない.その際,胆汁漏や難治性腹水などの合併症リスクの高い症例ではドレーンが情報的,予防的および治療的役割をはたすことがあるため,個々の症例に応じた腹腔ドレーン留置の判断が必要である.一方,膵切除術においては,非留置群での高い死亡率から腹腔ドレーンを留置すべきと考えられている.肝切除および膵切除ともに逆行性感染などの合併症を考慮して,ドレーン排液に異常所見がなければ早期のドレーン抜去が推奨されている.また,胆汁漏や膵液漏,臓器/体腔感染に対するドレーン留置が長期間にわたる際には,感染に対する標準予防策を基本としたドレーン管理が重要である.さらに,病態に応じた腹腔ドレーンの選択および逆行性感染防止策,事故(自己)抜去予防や接続はずれ予防策などを考慮したドレーンの固定や管理が必要となる.

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高齢者の増加や検診受診率の向上,画像機器の発達などにより,癌患者数は増加し,手術のニーズも増加している.癌治療を担う外科医も増えるべきであるが,厚生労働省の調査によると,診療科別医師数は産婦人科や小児科とともに外科医は年々減少している.近年,各職場での働き方改革が行われる中,外科医の勤務時間の短縮や効率化のためには,実働の外科医師数の増加は必須と考えられる.

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一般に,大腸ポリープは「大腸内腔に向かって限局性に隆起する病変で,組織学的には良・悪性は問わない」と定義される.本邦では食生活の欧米化や便潜血検査の普及に伴って,治療を要する大腸ポリープが発見される機会は増えている.内視鏡治療は腫瘍の形態や腫瘍径を考慮して行われ,有茎性・亜有茎性病変に対してはポリペクトミー,無茎性あるいは亜有茎性病変,表面型病変で正常粘膜を含めた完全切除が望ましい病変に対しては内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)の適応がある.ポリペクトミーやEMRは多くの医療機関で行われている内視鏡治療であるが,出血や穿孔といった偶発症が発生する可能性があり,特に遅発性出血の頻度は決して少なくなく,臨床上しばしば問題となる.そこで,当院における大腸ポリープの内視鏡治療後の出血について調べ,それに関連する因子を同定するために本研究を行った.

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はじめに 食道心囊瘻はまれな病態である.診断・治療に難渋することが多く,手術救命例の報告は少ない.今回,食道胃接合部癌に対して下部食道・噴門側胃切除術施行後1年で発生し,早期に診断し手術で救命しえた食道心囊瘻の症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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はじめに 十二指腸潰瘍患者の多くはH.pylori陽性であり,除菌により十二指腸潰瘍再発が約8割程度予防できるとされる1).一方,十二指腸潰瘍患者は健常者と比較し,明らかに胃癌のリスクが低いことも報告されている2).十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎に対しての外科治療は,可能であれば腹腔鏡下大網充塡術が行われている.胃癌穿孔は胃癌全体の1%以下とされ,比較的まれな病態である.しかし,上部消化管穿孔例の中で胃癌穿孔例の占める割合は6.8〜9.8%で,胃穿孔に占める割合は18.6〜44.4%と高率であり3),胃穿孔例に際しては,常に胃癌穿孔の可能性を念頭におき,術後の内視鏡検査を早期に行い精査する必要がある.今回われわれは,十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎に対して腹腔鏡下大網充塡術後3年を経過して,胃癌穿孔による汎発性腹膜炎で発症した1例を経験したので報告する.

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はじめに 胃は解剖学的に多数の栄養血管を有するうえに,胃壁内,特に粘膜下層には血管網が発達しているため,壊死に陥ることはまれである1).胃癌に対する膵頭十二指腸切除術(pancreatoduodenectomy:PD)では,通常短胃動静脈および左下横隔動静脈の食道噴門枝が温存されるため,胃が壊死に陥ることはない.今回われわれは,PD後の膵液瘻に伴う腹腔内膿瘍が原因で残胃壊死をきたしたまれな1例を経験したので報告する.

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はじめに 大網捻転症は大網の一部または全体が捻転し,その末梢に血行障害を起こして壊死に陥るまれな疾患である.臨床症状にとぼしいことが多いが,有症状の場合は緊急手術を要するため,術前診断が重要である.診断には造影CTが有用である.今回,造影CTが診断上有用であり,腹腔鏡下に手術を施行した特発性大網捻転症を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.

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はじめに 鼠径ヘルニアではヘルニア囊内容物として大網を認めることがあるが,続発性に捻転壊死をきたすことがある.今回,当院で鼠径ヘルニア術後に大網捻転壊死が判明し,大網切除を施行した1例を経験したので報告する.

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Sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)は,2010年世界保健機関(WHO)分類が提示され大腸鋸歯状病変群の一分類とされ,最近大腸癌の前癌病変として注目されている.右側結腸に多いと報告されているが,虫垂原発SSA/Pの報告はきわめて少ない.今回PET/CTを契機に偶然発見された虫垂SSA/Pの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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はじめに 腹腔内デスモイド腫瘍は比較的まれで,線維芽細胞を主体とした良性疾患であるが,腹部手術などの機械的刺激がその病因の一つといわれている.

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はじめに 異所性肝は,非常にまれな肝臓の形態異常である.発生部位は,胆囊に存在することがもっとも多いとされている.自覚症状はほとんどなく,ほかの疾患の検査時や手術に伴って偶然に発見される例がほとんどである.今回われわれは,腹腔鏡下胆囊摘出術時に偶然発見された異所性肝の1例を経験したので,文献的考察も加えて報告する.

基本情報

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臨床雑誌外科
81巻9号 (2019年8月)
電子版ISSN:2432-9428 印刷版ISSN:0016-593X 南江堂

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