総合診療 30巻2号 (2020年2月)

特集 いつ手術・インターベンションに送るの?|今でしょ! 今じゃないでしょ! 今のジョーシキ!【循環器・消化器・神経疾患編】

徳田 安春
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 言うまでもなく近年医療の進歩は著しく、さまざまな病気や病態で、新しく開発された手術や手技による治療が可能になってきました。伝統的な手術による治療法に加え、カテーテル、内視鏡、腹腔および胸腔鏡、デバイスなどの開発が目覚ましくなってきています。“今のジョーシキ”は大きく変わったと言えるでしょう。

 このような状況で、これらの介入価値を高めるためには、「適切なタイミングと適応での介入」が望まれます。現場では患者さんのアウトカムを改善する効果が期待される一方で、エビデンスを超えるような適応の拡大における過剰治療による副作用のリスクもあるなか、本特集では、悪性腫瘍以外の疾患における【循環器・消化器・神経疾患】の手術や手技の適応とタイミングについて、最新エビデンスに基づき解説します。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

【循環器疾患】

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経皮的冠動脈形成術(PCI)

Q1 クリニックで開業しています。健診異常の精査目的で来院した75歳女性。1年前にはなかった異常Q波を指摘されたそうです(Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導)。自覚症状はありませんが、すぐにカテーテルのために紹介をしたほうがよいですか?

症状がないのであれば、内科治療を行いながらリスク層別化を行い、そのうえで改めて血行再建の適応を決めましょう。

弁膜症 杉山 拓史 , 安 隆則
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外科的大動脈弁置換術および経カテーテル大動脈弁留置術

Q1 外科的大動脈弁置換術(SAVR)が施行不能、もしくはハイリスクの有症候性大動脈弁狭窄症(AS)しか、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)(図1)の適応はありませんか?

2002年に初めて施行されて以来、ASに対するTAVI(transcatheter aortic valve implantation)は、今や欧州を中心に急速な普及を遂げている。昨今はTAVI治療技術の進歩やエビデンスの積み重ねに伴い、より低いリスク症例にも適応が拡大されている。従来、適応とされていなかった二尖弁でも、最新デバイスでは非二尖弁症例と同様な成績が達成できるということが報告され1〜2)、適応が拡大されてきた。さらに、現在は適応となっていないが、血液透析患者に対するTAVIの臨床治験がすでに終了しており、今後のさらなる適応拡大が期待される。

不整脈 井上 耕一
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心房細動・発作性心房細動へのアブレーション

Q1 有症候性の発作性心房細動ですが、80歳を超えると、もうアブレーションの適応はありませんよね?

心房細動アブレーションの適応は、年齢、症状、進行度を総合的に勘案して決められます(図1)。高齢者での侵襲的治療は慎重であるべきですが、年齢だけで、「適応なし」となることはありません。特に、「症状によりADLが低下している場合」などは、積極的に考えましょう。

血管系疾患 横山 泰孝
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大動脈解離への手術

Q1 症状を伴う急性大動脈解離をすぐに紹介するのはわかるけど、無症状の、他疾患の精査の時に行ったCTで偶発的に診断された大動脈解離って、どのタイミングで紹介すればよいのですか?

CTで偶発的に診断された大動脈解離で偽腔が開存している場合は、日中の定期外来でよいので、胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR : thoracic endovascular aortic repair)に精通している心臓血管外科専門医の外来へ紹介しましょう。

【消化器疾患】

急性腹症 窪田 忠夫
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急性虫垂炎の手術

Q1 急性虫垂炎の疑いで紹介された患者さんです。1週間前からの腹痛で、ここ3日間は連日38.5℃以上の発熱があるそうです。痛みは少し良くなったというのですが、腹部CTでは腫大した虫垂周囲に膿瘍形成を認めています。これはもう、手術しかないですよね?

発症から数日を経過して腹部所見が限局している虫垂炎は、手術ではなく、保存治療が推奨されます。膿瘍形成があり、経皮的アプローチが可能ならば、経皮的膿瘍ドレナージを行います。

消化管出血 篠浦 丞 , 中村 弘
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はじめに

 消化管出血マネジメントに関して、本稿では以下の順に記述する。

❶稀だが致死的な消化管出血原因疾患

❷消化管出血への対処法としてのIVR(放射線治療)

❸静脈瘤破裂マネジメント(バルーンタンポナーデ法:SBT挿入)

 各項目では実際のCaseを提示し、すべての消化管出血マネジメントに共通する初期対応を共有する。

痔核・ヘルニア・胃瘻 山岸 文範
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痔核

Q1 強い痛みのある痔核の患者さんで、全周性に脱出して肛門内へ戻らないようなので、すぐに手術してもらうよう外科へ依頼しようと思いますが、手術基準を満たしていますか?

嵌頓していれば、まずは入院のうえ、安静です。数日で肛門内に戻るので、その後の判断で手術になりますよ。

【神経疾患】

脳血管疾患 田中 美千裕
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内頸動脈狭窄症の手術(頸動脈ステント術)

Q1 頸動脈超音波検査でたまたま見つかった無症候性の狭窄病変ですが、手術適応はありますか?

頸動脈ステント術(CAS : carotid artery stenting)や頸動脈内膜剝離術(CEA : cartid endarterectomy)の適応は、基礎疾患や患者背景(年齢、腎機能、ADL等)で決められます。狭窄度がたとえ50〜60%程度でも、不安定プラークを有する場合には、アテローム血栓性脳梗塞のリスクは高いとされています。MRIによるプラーク解析などの情報を元に、手術適応を決めるのが安全と言えます。手術適応がない場合でも、高血圧や生活習慣の改善はもちろんのこと、LDL値を低下させる内科的強化療法の導入が必要となることがあります。

特殊な脳神経外科手術 貴島 晴彦
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難治てんかんの手術

Q1 受験を控えている高校3年生女子の患者さん。小学校6年生の頃に強直間代発作があり、側頭葉てんかんと診断され、抗てんかん薬を内服中です。発作は呼びかけに応じず数秒間ボーッとするようなもので、最近は強直間代発作はありません。時々前胸部不快感や吐き気があるようです。これまでは薬を変えてもらうと一時期発作が治ったり、少ししてまた出てきたりを数回繰り返しています。時々脳波をとりますが、異常があったりなかったりです。MRIはだいぶ前に撮影しましたが、少し右の海馬が小さいということを言われました。今後はどのようになっていきますか?

この患者さんの場合は、数種類の薬も試され、それでも発作が残存し、さらに右の海馬が小さいということですので、呼びかけに応じず数秒間ボーッとするような発作症状や、前胸部不快感のような前兆も併せて考えると、右海馬硬化症による内側側頭葉てんかんが最も疑われます。この場合は、手術による発作消失が期待できます1)

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 テクノロジーの発達により、さまざまな病気や病態に対して、新開発の手術や手技による治療介入が可能になった。新しい術式、カテーテル、インターベンション、内視鏡、デバイス、電子機器などだ。これらの新規介入の医療価値を高めるためには、原則として本人の同意を得たうえでの、医学的に適応のある患者さんに対して、エビデンスに基づく介入を“適切なタイミングで”行うことが大切である。

 しかし、新規の医療介入に「エビデンスはある」、とされたものでも、時を経て否定されていく可能性はある。たとえば、統合失調症患者さんに対するロボトミー手術は、不十分なエビデンスで行われ、患者さんに害等を与えた介入であったことがわかり、後にその手術を広めた医師は、世界の人々から非難されることになった。歴史に負の名を残したのだ。

What's your diagnosis?[206]

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病歴

患者:66歳、男性

主訴:手足の震え、歩行困難、皮疹

現病歴:来院3週間前から倦怠感、体幹、節々の痛みを自覚。市販の総合感冒薬を内服していた。来院2週間前から両手両足の震えを自覚して受診。採血、そして胸腹部CTが撮影されたが、肺の気腫性変化以外に特記すべき所見を認めず、外来で経過観察とされた。1週間後に、全身に掻痒感を伴う皮疹が出現、さらに震えが増悪し、歩行困難、食事摂取不良となり、再受診した。

既往歴:突発性難聴

内服歴:市販のロキソニン®、ノーシン錠®(アセトアミノフェン300mg+エテンザミド160mg+カフェイン水和物70mg)

生活歴:20本/日×46年間の喫煙者、飲酒はなし

アレルギー歴:なし

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・38

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CASE

患者:15歳、女性(中学3年生、帰宅部)。

主訴:発熱、皮疹、口内炎。

現病歴:5カ月前から不正性器出血が出現し、産婦人科通院中。3カ月前から軟便が続いており、血便や腹痛は認めなかった。1週間前から発熱、口内炎が出現し、食思低下があり、数日前に右下腿に痛みのある皮疹に気づき、近医を受診され、1週間持続する発熱と有痛性皮疹で当院に紹介となった。

ROS(+):倦怠感あり、体重減少あり(3カ月で5kg減)。

ROS(-):上気道・下気道症状なし、腹痛や血便や黒色便なし、尿路感染症症状なし、関節痛なし、sick contactなし、日光過敏や蝶形紅斑なし、脱毛なし、Raynaud現象なし。

既往歴:機能性性器出血(5カ月前〜)、鉄欠乏性貧血、手術歴なし。

内服薬:デュファストン®5mg 10日間2周期。

生活歴:両親、妹と同居。飲酒歴や喫煙歴なし。海外渡航歴やペットなし。

生理・妊娠:内服薬で月経周期は整っている。最終月経は入院12日前から5日間。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|胸腹痛をきたす“壁”を克服しよう・11

腹壁の神経痛 上田 剛士
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CASE 1

患者:67歳、男性。主訴は右側腹部痛。

現病歴:2カ月前に右側腹部痛が出現した。疼痛はほぼ消失していたが、定期外来受診時に相談された。

既往歴:高血圧症、脂質異常症。

身体所見:腹部;平坦・軟で圧痛なし。腫瘤触知せず。CVA叩打痛なし。立位にて右側腹部に膨隆を視認できる(図1)。

「総合診療」達人伝|7つのコアコンピテンシーとその向こう側・3

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はじめに

 プロフェッショナリズムといえば、やはり「“ロックでリンリなボーカリスト”のB氏に会いに行ってみよう!」ということで、今回は尾藤誠司先生を訪ねました。「プロって何?」「そういうのちょっとダサくない?」「ポートフォリオ書くのもなんかカユいし」。そう、ついつい思いがちではなかろうか? 実は総合診療界には、愉快に働き、ロックを歌い、プロを語る達人がいる! 本稿では連載3回目としてプロフェッショナル(一口メモ1)1)をテーマに、尾藤先生からその秘訣を探ってレポートしたいと思います。

素人漢方のススメ|感染症編・2

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はじめに

 「素人漢方のススメ」第2章は、驚くべき古代漢方の姿を紹介して、現代感染症との相違点を探っていきたいと思います。

“JOY”of the World!|ロールモデル百花繚乱・2

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 卒後4年目に結婚・出産を選択した時、念願だった米国への臨床留学は苦しみながら諦めた。しかし諦め切れず、第一子3歳・第二子3カ月の時に渡米し、子育てをしながらその夢を叶えた。その両立には「もう限界」と感じることもあったが、それを支えてくれる家族・友人の存在もあって、仕事もプライベートも諦めず挑戦できたことを本当によかったと思っている。現在は救命救急センターに勤め、臨床×臨床教育に携わっている。「米国でトレーニングを受けた」で終わりではなく、それを日本でも可能にするシステムをつくっていきたい。問診・身体診察と臨床推論を世界レベルに標準化したプログラムをつくることが、現在の私の夢だ。

指導医はスマホ!?|誰でも使えるIT-based Medicine講座・14

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 時は20XX年、IGSコーポレーションでは、研修医ロボットを開発した! その名も、成長するAI搭載型ロボット「森川くん2号」。

 森川くん2号と一緒に、ITを活用して自分をヴァージョンアップしよう!!

55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・30

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「喫煙物語」

 A医師は、昭和30年代に生まれた。彼は、小学生時代に『キングコング対ゴジラ』(東宝、1962)を父親と観にいって以来「怪獣映画」にハマり、新作の封切日には自宅近くの映画館のチケット売り場前に、朝6時から並んだものである。

投稿 GM Clinical Pictures

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CASE

患者:43歳、男性。

主訴:排尿時痛と尿道からの排膿。

現病歴:約1カ月前に発熱と排尿時痛が出現し、尿道から膿性分泌物が出るようになった。発熱は改善したが、排尿時痛と尿道分泌物が改善しないため外来を受診した。尿道分泌物の量が非常に多く、下着を2時間ごとに交換していた。そのため、下着が汚れないようにコンドームを装着していた。

既往歴:5年前:HIV(HIV-PCR:検出感度以下、CD4: 400〜500/μL)、梅毒、C型肝炎。3年前:未破裂脳動脈瘤にコイル塞栓術。

身体所見: 特記すべき所見なし。

投稿 臨床研究

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要旨

▶目的:病院の総合診療科への紹介患者を集計・分析すること。

▶方法:2016年5月より2017年4月まで238床の急性期病院で調査した。紹介患者は、❶当日緊急に紹介、❷地域連携経由に予約紹介、❸院内他科より紹介の3パターンに分けた。診療分野や入院などについて調べた。

▶結果:紹介患者は453名(男性175名、女性278名)だった。紹介経由は当日が240名(53.0%)、地域連携経由が77名(17.0%)、他科が136名(30.0%)だった。院外紹介は診療所からの紹介が多かった(233名;73.5%)。患者は診断目的の紹介が大半を占めた(373名;82.3%)。患者の最終診断は内科9分野すべてに及び、外科・精神科疾患も混在していた。総合診療科入院は61名(13.5%)、他科紹介は119名(26.3%)だった。

▶考察:総合診療科は多分野に及ぶ初期診療を行い、院内他科からを含む当日の急な紹介によく対応していた。診療は他科と協力しつつ横断的な分野に及んでおり、入院増加や他科の患者増加にもつながっていた。

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基本情報

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総合診療
30巻2号 (2020年2月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

前身誌

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  • 第10位 血管系疾患 横山 泰孝 総合診療 30巻 2号 pp. 171-178 (2020年2月15日) 医学書院