地域リハビリテーション 11巻4号 (2016年4月)

特集 多職種でかかわる在宅の褥瘡ケア

山下 裕子
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 褥瘡対策に関して,医療の制度化が急速に進められています。2002年には褥瘡対策未実施減算,2004年には褥瘡患者管理加算,2006年には褥瘡ハイリスク患者ケア加算が新設され,一般病院における褥瘡有病率は急激に減少しました。また,在宅では2012年に在宅における創傷被覆材が保険適用され,2014年には在宅患者訪問褥瘡管理指導料が新設,昨年から特定行為に係る看護師の創傷管理等の研修が始まり,在宅での褥瘡の有病率の減少に貢献しています。今回の特集では褥瘡ケアに関する多角的な知識と技術を学び,在宅における多職種連携で褥瘡管理のさらなる発展に繋げていきたいと思います。

在宅における褥瘡対策 塚田 邦夫
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はじめに

 在宅での褥瘡対策は,病院・施設での褥瘡対策とさほど変わらないようであるが,実際の対応法はかなり違うため,いきなり在宅褥瘡ケアに携わると戸惑うことが多い。

 本稿においては,まず病院・施設や在宅に限らず褥瘡の基礎知識について解説する。この褥瘡に特徴的なことが,実は在宅で対応する際に困難の原因となることを説明する。

 さらに在宅褥瘡には,医療・介護制度や関与する者にさまざまな特徴があり,それらをよく知って対応することが大切である。

 これらの点で多くの失敗をしてきたが,私の失敗例をお示しすることで安易なかかわりの危険性について考えていただきたい。

 しかし,在宅褥瘡対策は患者・家族の意向をよく聞き,生きがいを考えて行うことで,実に楽しくやりがいのあることを示したい。

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はじめに

 在宅での褥瘡ケア・予防の基本は,① 褥瘡のリスクアセスメント,② 圧迫・ずれの除去,③ 皮膚の清潔,④ 栄養管理,⑤ 患者,家族,介護職への教育1)である。これらのケアを適正に行うことで褥瘡の予防や早期治癒が可能となる。病院では,治療中心のケアとなるので,医療従事者が共通言語のもと,決められたプランに沿って対応することが可能となる。しかし,在宅では日常生活の中で,継続可能なやり方でケアをしていくことが求められる。病院で行う医療者にとっては当たり前の言葉やケアでも,家族や介護者にとっては聞き慣れない言葉で説明され,介護負担が強くなるだけの難しいケアとなることもある。訪問看護を始めて感じていることは,医師の処方や訪問看護のケアだけでは褥瘡は治らないということだ。在宅チームとしてその家の個別性に合わせてトータルで提供することではじめて褥瘡の予防や治癒につながると実感している。本稿では,事例を挙げて,褥瘡のケアの実際と連携について述べる。

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褥瘡発生:圧迫,時間,組織統合性

 褥瘡の発生は,皮膚に長時間の圧迫がかかり,それに皮膚・軟部組織の組織統合性が大きな要因となっている。嚥下を考えると,リハは組織統合性にも寄与できるが,本稿では圧迫とその時間についてのPTを中心としたリハ対応について解説する。

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はじめに

 在宅での褥瘡ケアは病院や施設で行われるような顔を合わせることのできる医師・薬剤師・看護師・セラピスト・介護職などの専門職で行われず,褥瘡ケアの知識や技術も少ないご家族が介入することや専門職がかかわっていてもリアルタイムでの情報共有が行われにくい状況で進めるという連携の難しさがある。

 今回,在宅での褥瘡ケアにかかわる人が褥瘡発生の原因となるずれや圧迫など外力を軽減するために知っていただきたい基本的な福祉用具と選択方法や利用する際のポイントを紹介する。

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はじめに

 訪問管理栄養士が指導サービスをする居宅療養者には,大きな特徴がある。それは「高齢者」「要介護者」が大半を占めることである。身体機能の低下や麻痺などから,生活そのものが大変困難であったり,寝たきりで長期の介護生活であったりする。また,多かれ少なかれ「認知症」の問題を抱えている。そのような状況の中,訪問管理栄養士は,高齢者の身体的特徴および食生活・栄養状態の特徴を基礎知識としてよく理解しておく必要がある。要介護者の介護が必要となった主な原因は,脳血管疾患(脳卒中など),心臓病,関節疾患(リウマチ),認知症,骨折・転倒,高齢による衰弱などであり,生活習慣病とその合併症と複数の疾患を抱え持っている特性がある。居宅療養者の栄養状態がさまざまな病態に影響を与えることは言うまでもないが,褥瘡管理においても褥瘡発現の最大の危険因子は圧迫である。また病的骨突出,浮腫は栄養障害と密接に関係していると考えられ,特に骨突出は動かないことによる筋萎縮だけでなく栄養不良による皮下脂肪組織の減少による結果であると言われている1)

 褥瘡予防には体圧管理だけでなく適切な栄養管理が必要であり,合併症の予防にもつながる。そこで,今回,在宅での褥瘡治療は全身状態の管理としてとらえ,総合的な栄養状態の改善に向けたケアを計画し提供する。さらに居宅療養者に褥瘡が発生した時には療養者自身の病状のみならず介護環境にも目を向けることの必要性について述べる。

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 前号,CBR eye's『水俣と世田谷—「みなせた」という試み』で,世田谷の脳性まひ者と胎児性水俣病者の出会いから,昨年末の水俣公演開催までの経緯を紹介した。今号ではその公演の模様をお伝えする。

 2015年12月5日13時30分,ヘルパーデュオ「クラターナ」の歌で公演は始まった。“私達ヘルパーやってます〜”という歌詞で始まるKaijyoという歌は,ウクレレとタンバリンの小気味よいリズムで,快調な出だしだ(クラターナファンが少なからずいる)。客席から舞台に出てきて,ぴったりリズムに合わせて踊る人がいた。一気に場が温まった(写真2)。

巻頭言

わかりやすさのすゝめ 山路 憲夫
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 実践に裏づけられた専門家の話はわかりやすい。

 三好正堂医師(福岡県浅木病院 理事長)は急性期リハとして早期からの「起立—着席訓練」を薦める。ひたすら「起立—着席」の繰り返しである。三好医師によると,リハ専門病院でのリハを受け,麻痺した箇所の回復がしなかった場合でも,「起立—着席訓練」を繰り返すことで,回復するケースが多いという。麻痺肢にだけ注意を払い過ぎた結果,麻痺が回復しないだけでなく,健側がだんだん弱くなってくる。そうならないためには,健側下肢を強くするために毎日2時間近くかけ,ひたすら「起立—着席」運動を400〜600回繰り返すことで,麻痺部分も回復してくる。悪いところではなく悪くないところを活用する。いわゆる残存能力の活用である。私が副会長を務めるNPO法人福祉フォーラム・ジャパンのセミナーでも三好医師をたびたび招き,話していただいた。めざましい治療実績に裏づけられたわかりやすさが人々を魅きつける。

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序に代えて

 地域に,信頼し合って助け合う人々のネットワークが存在することをソーシャルキャピタル(SC:社会関係資本)と呼び,物的,人的資源に次ぐ第3の資源と言われる。SCが豊かな地域は住民活動で地域の課題を解決する力が強く,現在その醸成が期待されている。わかりにくい概念なので,住民活動をその代替指標にすることもある1)2)。本稿では,シルバーリハビリ体操指導士(以下,指導士)の活動をSCの指標として捉え,その活動を紹介,検討する。

 SCの住民活動の特性として,① 自主的な組織体であること,② 他の組織や団体と連携しうること,③ 地域や行政に認知されること,④ 活動が発展的であること,を挙げた1)〜3)

連載 専門職が地域で輝くためのコミュニティデザイン入門—実践編:総合事業を見据えた地域育成・第10回

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 まちづくりにリハ概念を取り入れるアイデアを考えてみる。身体機能の維持,回復につながりそうなもの,心理状況の調整,向上につながりそうなものを検討するプロセスは,ワクワクする企画やデザインを考えるプロセスと似ており,多種多様なコラボレーションが考えられる。とりわけこれからは予防につながる企画デザインが重要となる。

連載 夕凪の島で共に暮らす─離島の特養における認知症ケア・第4回

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「できない」わけではない

 ケアとは何か,と考えるとき「(主にADLを想定して)できないことをしてあげるのがケア」という考えが根強くあるように思います。<できないことをしてあげることがケアか?>と問うことも必要だと思います。

 健常な状態を基準に評価すれば「できない」ところがあることは事実です。しかし,ここにも落とし穴があります。

連載 高次脳機能障害・発達障害・認知症のための邪道な地域支援養成講座・第1回【新連載】

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私はリハビリ科ナース1年目のあいか。

最近仕事に行くのが憂鬱でしょうがないのです…

連載 感性の輝き・第34回

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 「リハビリテーション」という言葉は,世間に正しくイメージされているのでしょうか? 生活期リハビリに身を投じて10年,私がたどり着いた,明確な問題提起でした。「機能訓練」や「マッサージ」を「リハビリ」と表現することは,医療や介護の現場でも見かけることがありますが,これは便宜上用いられていることが多く,「リハビリテーション」を生業とする専門職の,理学療法士及び作業療法士法が施行されて50年の間で,ステレオタイプの意味をあてがってきた結果でもあると考えます。

 まだ歴史の浅い「リハビリテーション」という言葉を,理解に近づけるための先人の知恵。しかし,それ故に「リハビリ」という言葉の論理が非常に狭く浅く固定されてしまい,超高齢社会の現代において,その必要性までも軽んじられる場面を私は多く目の当たりにしました。

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要旨 本研究では,財布動作におけるお金の取り出し方を分析し,地域在住高齢者(以下,健常者)と認知症高齢者の違いについて検討することを目的とした。評価は,認知機能検査と財布動作検査を実施した。財布動作検査は,実施時間と札と小銭の取り出し方,小銭の取り出し方,つまみ方,正確さ,説明理解の5点についてビデオ解析を行った。健常群(40名)と認知症群(29名)の各測定値を比較した結果,年齢,認知機能,財布動作時間(財布からお金をとり出す時間)に有意差が認められた。また,財布動作のビデオ解析の結果,認知症群の特徴として,① お金の取り出し方として,札を出さず,小銭のみで指定された金額を出す,② 小銭の取り出し方として,一度机に広げて選ぶ,③ つまみ方として,3指でつまんだ後に再確認する,④ 正確さとして課題が不正解,⑤ 説明理解として再三の指示が必要,などが健常群よりも多かった。これらの財布動作能力の低下によって,認知症高齢者の財布に小銭がたまりやすいという現象が起こるのではないかと推察した。

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 私が作業療法を学び始めた1979年当時,障害受容はリハの重要な目標とされていた。しかし,実習で当事者や家族に直接出会って,OTとして何ができるのかを考えるために,それぞれの話を聞くにつれ,障害受容とは何か,誰が受容するのか,何を受容するのか,受容できるのか,という自問が始まった。

 あれから35年あまり,実母と義母共に92歳,2人の認知症を看るようになり,そして若年性認知症を生きることになった妻との二人三脚の暮らしが始まって,実感として障害受容とは誰が何をどう受けとめることなのかという課題と日々向き合うことになった。

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次号予告/編集後記

基本情報

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地域リハビリテーション
11巻4号 (2016年4月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:1880-5523 三輪書店

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