特集 多職種でかかわる在宅の褥瘡ケア
居宅療養者における褥瘡の栄養管理
前田 佳予子
1
1武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科
pp.257-263
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200354
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はじめに
訪問管理栄養士が指導サービスをする居宅療養者には,大きな特徴がある。それは「高齢者」「要介護者」が大半を占めることである。身体機能の低下や麻痺などから,生活そのものが大変困難であったり,寝たきりで長期の介護生活であったりする。また,多かれ少なかれ「認知症」の問題を抱えている。そのような状況の中,訪問管理栄養士は,高齢者の身体的特徴および食生活・栄養状態の特徴を基礎知識としてよく理解しておく必要がある。要介護者の介護が必要となった主な原因は,脳血管疾患(脳卒中など),心臓病,関節疾患(リウマチ),認知症,骨折・転倒,高齢による衰弱などであり,生活習慣病とその合併症と複数の疾患を抱え持っている特性がある。居宅療養者の栄養状態がさまざまな病態に影響を与えることは言うまでもないが,褥瘡管理においても褥瘡発現の最大の危険因子は圧迫である。また病的骨突出,浮腫は栄養障害と密接に関係していると考えられ,特に骨突出は動かないことによる筋萎縮だけでなく栄養不良による皮下脂肪組織の減少による結果であると言われている1)。
褥瘡予防には体圧管理だけでなく適切な栄養管理が必要であり,合併症の予防にもつながる。そこで,今回,在宅での褥瘡治療は全身状態の管理としてとらえ,総合的な栄養状態の改善に向けたケアを計画し提供する。さらに居宅療養者に褥瘡が発生した時には療養者自身の病状のみならず介護環境にも目を向けることの必要性について述べる。
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