保健師ジャーナル 76巻2号 (2020年2月)

特集 地域で取り組む「依存症対策」—アルコール・薬物・ギャンブル・ゲーム依存への対応

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「依存」の問題は,これまでアルコール依存や薬物依存への対応が主であったが,最近ではギャンブル等依存症対策基本法の施行や,ICD-11においてゲーム依存症が追加されるなど,新たな課題への対応も必要となってきている。本特集では,そうした依存に関する法整備や疾患としての特徴を理解した上で,保健師が地域で求められる対応とアプローチについて考える。

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依存症は,誰もが発症する可能性がある精神疾患の1つであるが,認識の欠如から,偏見や差別を恐れて本人や家族が必要な支援につながらない現状がある。しかし,近年,社会的な関心の高まりを受けて関連法律の成立等が相次いでいる。ここでは,そうした近年の依存症を取り巻く動きと,厚生労働省における取り組み,地域での取り組みについて述べる。

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依存は,物質依存から行動嗜癖へと,社会の変化やさまざまな研究結果に合わせて概念が広がってきた。医師の立場から,そうした依存の概念や一般的な特徴,現在の治療について説明するとともに,保健師や自治体に対する期待を述べる。

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島根県益田圏域では,保健部門と精神科医療が緊密に協力しながら,ギャンブル等依存症支援を展開。現在では,保健と精神医療だけでなく,福祉や地域とも協働を図り,支援の輪が広がってきている。その取り組みについて報告する。

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北海道立精神保健福祉センターでは,依存症者への支援に長く関わり,2010(平成22)年度から依存症モデル事業,2014(平成26)年からは地域依存症対策支援事業にも取り組んできた。ここでは,当センターの相談支援を通じた回復のための地域の受け皿づくりについて,北海道の現状を振り返り,その課題について述べる。

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各務原病院は岐阜県にある民間精神科病院であり,従来から幅広く依存症に取り組んでおり,2014(平成26)年に,厚生労働省による依存症対策のモデル事業に参加,2017(平成29)年には,依存症対策総合支援事業に基づき岐阜県の依存症治療拠点機関に指定された。その中で,県内の関係機関を一覧した「回復支援マップ」の作成をはじめとして,相談事業,研修,啓発活動といった当事者支援の取り組みを進めた。こうした地方の民間病院での取り組みが,同様に社会資源に乏しい地域での依存症対策の参考になればと考え,紹介する。

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依存症は誰しもが陥り得る病気であるが,回復することの難しさや世間の認識不足も相まって,一度陥るとその苦しみは非常に大きい。若年者が依存に陥る前に,社会はどう対応すべきか,現代の子どもの育ちの環境からこの問題について考える。

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美浜町の概要

 美浜町は,福井県の南西部に位置する人口9377人,高齢化率36.82%,出生率6.6と,人口減少と高齢化の進む町です(図1)。町の代表的な特産物はサバなどを塩漬けした後に糠漬けにした「へしこ」という郷土料理(図2)で,海・山・湖・里など自然の恵みに囲まれた風光明媚な土地柄です。

 

福井県美浜町では,生活習慣病対策が緊急課題として挙げられ,2013(平成25)年から町民総ぐるみの健康づくりとして減塩・減量を図る「げんげん運動」が始まった。誰もが日々の暮らしで実践できること,自分の身体に意識を向け知識を得るしくみをつくること,その結果,町全体の健康づくり活動につながることを目指した町民との協働によるこの取り組みを紹介する。

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はじめに

 日本国内で新規発症する結核患者は,2017(平成29)年は1万6789人で,岐阜県では313人,西濃保健所(以下,当所)管内(2市9町)では49人である。人口10万対罹患率はそれぞれ13.3,15.6,13.3で,先進諸国の多くが罹患率10以下の低蔓延国であるのに対し,わが国は中蔓延国とされている1)

 わが国の結核患者の多くは65歳以上の高齢者であり,当所管内でも高齢者が約80%を占めている。これは,既感染者の高齢に伴う免疫力の低下や,高齢世帯や独居による生活環境の悪化等が関連していると考えられる。もう1つの特徴は,外国出生者で若・壮年齢の患者の増加である。特に結核高蔓延国とされる近隣のアジアや中南米諸国からの留学生や就労者が,母国で感染した状況で入国し,文化的にも生活環境にも慣れない日本で結核を発症しているものと考えられる。

 これらの患者は,発症しても,高齢であることや日本の医療制度に馴染みがないことから受診が遅れ,高齢者施設や職場,学校等での結核の拡散が懸念される。このような患者が医療機関を受診した場合に,排菌状況が確認されれば,感染症法第19条第1項および第20条第1項(第26条において読み替え準用)により入院勧告がなされる。多くの患者は,この勧告に同意して入院し,公衆衛生的感染拡大の防止が図られている。

 一方,本稿で報告する患者は,当初は勧告に同意し入院していたが,途中で自己退院し,病状悪化による再入院時は勧告入院に従わなかったため,やむなく同法第19条第3項により措置入院となったものである。

 本稿では,結核患者の入院に一時的に措置入院を適用した経緯と,本患者の退院基準の適応における課題について触れてみたい。

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 健康日本21(第二次)では,「国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向」の1つとして「健康を支え,守るための社会環境の整備」が示されている。しかし,住民や多機関と連携して地域課題に合わせた地域づくりの実践報告は少ない。そこで,本稿では,常滑市において大規模な調査を基に行った小学校区ごとの地域診断結果を,行政,多機関,多職種,研究者等に留まらず,地域の住民とも共有することで実現できた「住民主体による地域づくりの実践事例」を報告する。

 なお,本稿での「社会環境整備」とは,「行政・多機関・多職種・住民などの人的資源を適切に調整することで,各地域の特性に応じた形の健康を支え・守る体制を構築すること」と定義する。

連載 公衆衛生看護学の体系を事例で学ぶ・11

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「公衆衛生看護学の体系」とは,保健師が公衆衛生看護活動を実践していく上で必要な学問を体系的に整理したものです。現場の保健師もその内容を理解し,自身のスキルアップや人材育成に活用できます。事例編の最後となる今回は,学校保健分野の事例から,保健師活動と体系との関連を学びます。

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 熊本市の統括的保健師は,健康づくり推進課の最も職位の高い保健師に位置付けていますが,行政保健師は行政内の組織人であり,所属する事務分掌に則り業務を進めているため,想定外な災害時の対応以外では権限の範囲を越えないような配慮が必要です。

 10年以上も前,まだ統括的保健師の仕組みがなかった頃の話ですが,各課の保健師で職位が一番高い者を構成員として「庁内保健師活動連絡会議」を設置しました。母子保健や成人保健,精神保健,高齢保健などの分野ごとに出してもらった構成員が,その担当分野の中核的存在として,分野ごとの課題抽出,分析,企画提案ができるような環境づくりを実施したことがあります。

連載 ニュースウォーク・261

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 しみったれた話になって,恥ずかしい。2019年8月1日はわが家にとってうれしい日となった。後期高齢者医療保険の窓口支払いがそれまでの3割負担が1割になった。

 23歳で働き始めて58年間,公的医療保険は組合健保,国保,後期高齢者と渡り歩いた。定年後も少しの収入が災いして医療費支払いはずっと「3割負担」だった。それが昨夏の更新で初めて「1割負担」となった。新しい保険証に記載された「1割」の刻印を何度も確かめて,喝采した。

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 最近,新任期の保健師は,健康教育や資料を用いて説明するようなプレゼンが上手だという話を,とある研修会で耳にした。しかし一方で,所内の電話に出ることや家庭訪問には苦手意識があるようだとも。

 つまり,発信者として一方的に伝える技術はとても器用にこなせるのに対し,携帯電話と違って相手が分からない固定電話での応対や,訪問先で相手の話を「聴く」というような,双方向のコミュニケーションはうまくないようである。

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基本情報

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保健師ジャーナル
76巻2号 (2020年2月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

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