保健師ジャーナル 74巻3号 (2018年3月)

特集 中長期的視点から災害時保健活動を再考する—東日本大震災の健康への影響と保健活動の展開

  • 文献概要を表示

東日本大震災から7年,被災者支援の取り組みや,さまざまな研究が継続して行われ,中長期にわたる災害時保健活動に関するエビデンスが積み上がるとともに,さまざまな実践知が災害時保健活動に反映されてきた。それらの取り組みや研究を紹介し,中長期的視点を持って災害時保健活動を展開する意義や,実践知を継承した支援体制づくりについて,あらためて考える.

  • 文献概要を表示

東日本大震災における災害時保健活動を中長期視点から考えるためのキーワードを紹介するとともに,津波被災地での地域保健活動を通じて,中長期視点による災害時保健活動の意義を示す。

  • 文献概要を表示

高齢者の生活と健康に関して東日本大震災の前の状況と,震災後の年単位の変化を捉えられる稀有なデータをもとに進められている「岩沼プロジェクト」。その分析から分かった被災による中長期的な変化やその要因を紹介し,そこから地域の保健師に求められる災害保健活動について述べる。

  • 文献概要を表示

災害発生後には心のケアの重要性が強調されている。ここではその中でも東日本大震災後の子どもの心のケアに焦点を当て,中長期的な視点から見た影響と,時間の経過を踏まえた対応を解説する。さらに,コミュニティーの変化や,支援者に必要な技術についても述べる。

  • 文献概要を表示

福島県の浪江町は,東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故によって,町全体が長期にわたり避難を余儀なくされた。いまだに多くの避難者を抱える浪江町の町民の健康問題や心理状況を紹介するとともに,福島県内や全国に避難者が散在する状況での保健活動について報告する。

  • 文献概要を表示

宮城県では,東日本大震災によるみなし仮設住宅への入居者に対して,2011年から健康調査を続けている。広域に点在する被災者の健康状態の把握や健康支援をどのように行ってきたのか,その概要を報告し,みなし仮設住宅入居者への支援のあり方や課題,平時からの支援体制づくりについて述べる。

  • 文献概要を表示

兵庫県では,1995年の阪神・淡路大震災以降,多様な支援・対応に取り組み,県内外の被災地に保健師を派遣してきた。また,それらの経験を活かし災害時の保健活動ガイドライン等の策定や改訂など,被災地支援の体制づくりと保健活動の継承にも取り組んできた。その取り組みを紹介する。

  • 文献概要を表示

2016年の熊本地震への被災地支援チームの派遣において,東日本大震災の経験を活かした活動,ならびに県保健所のバックアップの役割を期待された宮城県。その派遣活動の内容と評価を述べる。また,その経験から得られた被災者支援体制づくりにおける課題と,その後の取り組みを紹介する。

  • 文献概要を表示

はじめに

 過去の大規模災害では,支援チームが直接市町村や避難所に入り,行政機関でその情報が共有されなかったために,支援の多い地域と不足する地域が発生し,受援に対する総合調整の必要性が浮き彫りになった。それを受け,2017年7月5日に厚生労働省通知「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」1)(以下,本通知)が出された。

 本稿では,本通知を受けて,今後の大規模災害時の保健医療活動において保健所や保健師の役割として望まれていることや,その体制の整備に必要な研修等の取り組みについて,紹介していく。

  • 文献概要を表示

はじめに

 2018(平成30)年度から,新たな医療計画(6年計画:都道府県策定),医療費適正化計画(6年計画:都道府県策定),データヘルス計画(6年計画:保険者策定),がん対策推進計画(6年計画:都道府県策定),介護保険事業(支援)計画(3年計画:都道府県,市町村策定),障害(児)福祉計画(3年計画:都道府県,市町村策定)が一斉にスタートする。

 これら6つの行政計画は密接に関連しており,都道府県と市町村が連携・協働し,“地域包括ケア”と“データヘルス”の視点からの対応が求められている。ここでは,それぞれの行政計画の関連について示すとともに,これまでの筆者の管内活動を踏まえて,具体的な取り組み方について意見を述べる。

  • 文献概要を表示

はじめに

 わが国は超高齢社会を迎えているが,豊岡市(以下,本市)においても高齢者の割合が増加しており,現在,3人に1人が高齢者で,今後もますます増えることが予測されている。高齢者の増加に伴って,寝たきりや病気の方が増えると,本人だけでなく,家族や地域への負担も増える。このような事態をできるだけ防ぎ,高齢者がいつまでも元気で過ごすためには,寝たきりの一因である加齢に伴う筋肉の減少をできるだけ予防する,すなわち高齢者の筋肉を増やす(維持する)方策が必要である。

 加えて,地域(コミュニティ)においては,人と人とのつながりが以前のように密ではなく,高齢者の引きこもりや孤立化,認知症の見守り,災害時の対応といった課題もある。そのため,高齢者を含めた地域住民が集い,支えあい,情報を交換できる場づくりも必要である。

 そこで本市では,①高齢者の介護予防,②地域の信頼関係や結びつき(ソーシャルキャピタル)を高めることを目的に,2012(平成24)年より,誰でも参加でき,健康で生きがいをもって暮らせる場づくりを支援する「玄さん元気教室」を,熊本大学の都竹茂樹教授(医師)の監修のもと,行政区(住民自治組織,以下,地区)において開始した。なお「玄さん元気教室」という名称は,市民に親近感を持ってもらうため,本市のキャラクターである玄武岩の「玄さん」を使用したもので,チラシやリーフレットにも活用している。

 本稿では,その取り組みについて報告する。

兵庫県豊岡市では,歩いて通える区の会館において,誰でもいつからでも参加できる健康づくりの場づくりを支援しています。その教室を「玄さん元気教室」と呼んで実施しており,これまでの取り組みについて紹介します。

  • 文献概要を表示

はじめに

 近年,わが国では,高齢者・児童虐待,うつや自殺防止,新興感染症,災害などの社会的課題を抱えており,地域包括ケアシステム1)構築や地域住民と協働したヘルスプロモーションの展開が期待されている2,3)。しかし,多様な個人の価値観や健康課題,市町村合併などによる地域の変化は,保健師が対応すべき内容を拡大し,次第に公衆衛生看護活動を困難としている4)

 これらの複雑化した健康課題の解決には,専門能力や行政能力を備えた保健師の育成が必要である3,5,6)。2007(平成19)年に日本公衆衛生学会が「保健師教育のためのコアカリキュラム」で,保健師実践能力の構造を「A保健師としての基本的能力」を基盤として,「B個人・家族支援能力」「C地域支援能力」「D地域看護管理能力」からなる4層で示し,理想的な教育のあり方を提示した4,6,7)。また,保健師教育における「看護師教育と保健師教育の関連づけ」「プレゼンテーション力」「思考力」の習得,「講義と演習と実習を関連させた講義(以下,地域密接型講義)」への期待も依然として大きい。

 そこで本報告では,保健師課程(選択制)を履修している学生の保健師教育に関する考え方と希望を明らかにし,今後の効果的な保健師教育のあり方について示唆を得ることを目的とした。

連載 ナカイタ発 保健師へのつぶやき・57

  • 文献概要を表示

 子どもが暴力を受ける環境下で育つと,人間関係の基礎を成す愛着が子どもの中に適切に確立されず,後の対人関係の紡ぎ方に課題が生じやすいことは,先月号でつぶやきました。今回は,中でも愛着が阻害されやすい虐待家族への支援について考えたいと思います。

  • 文献概要を表示

 はじめまして,奈良県の遠藤です。筆者が勤める奈良県は,人口135万6950人(2017〔平成29〕年10現在),南北に長い県土の北部に人口は偏り,南部は過疎化が顕著です。人口2000人未満の小規模村が,県内39市町村中9村もあります。県内全保健師数は466人(県77人,市町村389人〔2017年〕)です。

 本県では「統括保健師」の呼称が当てられる以前から,保健予防課主幹(および参事)が保健師の管理職のトップとして人事に関与し,人材育成・資質向上を総括,県(中核市,市町村も含む)の統括的存在となっており,事務分掌に保健師活動の統括に関することと明示される予定です。

  • 文献概要を表示

はじめに

 本連載では,新たな時代が求める保健師記録の仕組みづくりについて,5回にわたり「記録をとりまく時代の動向」「先進的な記録の質保証をめざした実践事例」「情報開示と保健師活動」について解説した。しかしこれらだけでは,実際に記録を書く上での考え方や具体的な書き方が十分伝えられたとは言い難い。そのため,今回はこれまでの連載で十分に伝えきれなかった事柄を中心に,Q&A形式で職場の疑問・不安を解決するための考え方を解説したい。

 今回,取り上げるテーマは,「情報の扱い方」「相談記録の対象」であり,日々の仕事を通して感じている疑問への解説を中心にまとめた。とりわけ,今まで職場や保健師間で問題にされてきていたものの,正確な情報が少なかった「情報の扱い方」に関しては,具体的な事例に基づき,根拠となる法律や制度の解釈,情報の扱い方への留意について解説した。たとえ同一家族であったとしても,対象者の人権や尊厳を尊重できるか否かが明確になるように心がけた。

 今日の記録をめぐる実態には,大学の保健師養成課程において系統的な記録教育が実施されていない可能性があること1),さらには現任教育が実施されているエリアも限定的なことから,課題解決や改善の速度を速めていく上で解決すべき問題は山積している。

 今後,「どのように支援の質を高めるか」という問題意識をもちながら実践を記録できる保健師を育成していきたいと願うものである。

連載 事例を通して学ぶ 悩める妊婦の相談対応・12【最終回】

  • 文献概要を表示

連載を振り返って

 日本では少子高齢化が進む状況にありますが,その一方で,地縁社会の崩壊や家族形態の変化により,予期せぬ妊娠に困窮する妊婦,赤ちゃんの遺棄,10代の妊娠と中絶,児童虐待などの悲しいケースがなくなることはありません。その背景や要因は多様ですが,そうした困窮する妊婦に対して「温かい支援」が行き届いていない状況にあると筆者らは考えました。

 一方,妊娠相談にあたる保健師にとって,時代の変化とともに変わっていく妊婦たちに対応していくことは,難しい仕事であり,悩んでいる担当者は少なくありません。

連載 鹿児島保健師ものがたり 地域包括ケア時代の保健師の役割を探る・6【最終回】

  • 文献概要を表示

介護保険導入時から地域包括ケアシステム構築に先駆的に取り組んできた鹿児島の保健師たち。その取り組みを6回の連載で振り返り,時代とともに生きる保健師の役割を探ります。

  • 文献概要を表示

History and Now

どのような機関なのでしょう?

 本学は,1928(昭和3)年,「真心をもって何事にも立ち向かう」という意味の「至誠一貫」を建学の精神に創設した昭和医学専門学校に始まります。現在は,医学部,歯学部,薬学部,保健医療学部(看護学科,理学療法学科,作業療法学科)を擁する本格的な医系総合大学です。

 本学の教育の特色の1つとして,1年次には富士吉田キャンパスで全寮制教育を行っています。4学部の1年生約600名が4人部屋(他学部の学生と同部屋)で共同生活をし,チーム医療に必要なコミュニケーション能力を培います。

連載 ニュースウォーク・238

  • 文献概要を表示

 新年早々の前橋市で,自転車で通学途中の女子高生2人が暴走した乗用車にはねられ重体に陥った。運転していた85歳の男性が,「気づいたら事故を起こしていた」と話したと知って,反射的に「またか」と思った。2016年10月,横浜市港南区で87歳の男性が起こした衝撃的な交通事故が頭をよぎった。

 横浜の事故では,集団登校中の児童1人が亡くなり,児童ら6人が重軽傷を負った。自動車運転処罰法違反容疑で逮捕された87歳の男性が「前日家を出てから,どこうをどう走ったか覚えていない」と供述し,認知症が原因ではないかとみられた。

--------------------

目次

バックナンバー一覧

今月の3冊プラス1

次号予告・編集後記

基本情報

13488333.74.3.jpg
保健師ジャーナル
74巻3号 (2018年3月)
電子版ISSN:1882-1413 印刷版ISSN:1348-8333 医学書院

前身誌

文献閲覧数ランキング(
11月23日~11月29日
)