調査報告
「保健師課程(選択性)」における効果的な保健師教育についての検討
佐藤 公子
1
1島根県立大学
pp.239-246
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200896
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はじめに
近年,わが国では,高齢者・児童虐待,うつや自殺防止,新興感染症,災害などの社会的課題を抱えており,地域包括ケアシステム1)構築や地域住民と協働したヘルスプロモーションの展開が期待されている2,3)。しかし,多様な個人の価値観や健康課題,市町村合併などによる地域の変化は,保健師が対応すべき内容を拡大し,次第に公衆衛生看護活動を困難としている4)。
これらの複雑化した健康課題の解決には,専門能力や行政能力を備えた保健師の育成が必要である3,5,6)。2007(平成19)年に日本公衆衛生学会が「保健師教育のためのコアカリキュラム」で,保健師実践能力の構造を「A保健師としての基本的能力」を基盤として,「B個人・家族支援能力」「C地域支援能力」「D地域看護管理能力」からなる4層で示し,理想的な教育のあり方を提示した4,6,7)。また,保健師教育における「看護師教育と保健師教育の関連づけ」「プレゼンテーション力」「思考力」の習得,「講義と演習と実習を関連させた講義(以下,地域密接型講義)」への期待も依然として大きい。
そこで本報告では,保健師課程(選択制)を履修している学生の保健師教育に関する考え方と希望を明らかにし,今後の効果的な保健師教育のあり方について示唆を得ることを目的とした。
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