連載 時代が求める! 保健師記録の仕組みづくり・6
—こんなときどうすればいい?—職場の疑問・不安に答える保健師記録Q&A その1
菅原 京子
1
,
栁澤 尚代
2
,
清水 洋子
3
,
吉本 照子
4
1山形県立保健医療大学
2弘前学院大学
3東京女子医科大学
4千葉大学
pp.250-254
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200899
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はじめに
本連載では,新たな時代が求める保健師記録の仕組みづくりについて,5回にわたり「記録をとりまく時代の動向」「先進的な記録の質保証をめざした実践事例」「情報開示と保健師活動」について解説した。しかしこれらだけでは,実際に記録を書く上での考え方や具体的な書き方が十分伝えられたとは言い難い。そのため,今回はこれまでの連載で十分に伝えきれなかった事柄を中心に,Q&A形式で職場の疑問・不安を解決するための考え方を解説したい。
今回,取り上げるテーマは,「情報の扱い方」「相談記録の対象」であり,日々の仕事を通して感じている疑問への解説を中心にまとめた。とりわけ,今まで職場や保健師間で問題にされてきていたものの,正確な情報が少なかった「情報の扱い方」に関しては,具体的な事例に基づき,根拠となる法律や制度の解釈,情報の扱い方への留意について解説した。たとえ同一家族であったとしても,対象者の人権や尊厳を尊重できるか否かが明確になるように心がけた。
今日の記録をめぐる実態には,大学の保健師養成課程において系統的な記録教育が実施されていない可能性があること1),さらには現任教育が実施されているエリアも限定的なことから,課題解決や改善の速度を速めていく上で解決すべき問題は山積している。
今後,「どのように支援の質を高めるか」という問題意識をもちながら実践を記録できる保健師を育成していきたいと願うものである。
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