訪問看護と介護 30巻2号 (2025年3月発行)

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特集　精神科訪問看護での関わり方をガラリと変えるQ&A集—現場の“困ったケース”で徹底検討！

扉小瀬古　伸幸 30巻2号 , 2025年3月 , pp.93

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契約を拒否された、飲むべき薬を飲んでいない、利用者さんの妄想に家族が振り回されて困っている……。

—【case 1】—利用者さんから「訪問看護は必要ない」と言われて困っています！小瀬古　伸幸 30巻2号 , 2025年3月 , pp.94-97

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質問

精神科病院に入院中の方が退院するとのことで医療機関から紹介されて契約に伺うも、利用者さんから「訪問看護は必要ない」と拒否されてしまいました。利用者さんも同意の上だと考えていたのですが、このような場合はどうすればいいのでしょうか。

—【case 2】—利用者さんが問題だと感じておらず、本人にどう説明すればよいか分かりません！小瀬古　伸幸 30巻2号 , 2025年3月 , pp.98-100

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質問

利用者さんが飲むべき薬を飲んでおらず、本人はそのことを問題とも捉えていないようです。症状が治まっているようには見えないし……。どう説明すればよいでしょう。

—【case 3】—利用者さんの行動によって家族が困っているようです！小瀬古　伸幸 30巻2号 , 2025年3月 , pp.102-108

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質問

利用者さん本人の行動によって、家族が振り回されて疲弊している様子が見て取れます。家族に話を聞くと「〇〇（利用者）が悪い！」と一方的に話されて、支援者の話を聞こうとしてくれません。振り回されないようにアドバイスしたいのですが、どのようにすれば支援者の話を聞いてくれるようになりますか。

特別企画／インタビュー

画家から見た看護師という仕事の尊さ弓指　寛治 30巻2号 , 2025年3月 , pp.83-89

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本誌では、次号から画家・弓指寛治さんによる巻頭連載『同行紀』が始まります。本連載では、簡易宿泊所の多い地域として知られる東京・山谷（台東区北東部）で暮らす人々と訪問看護ステーションコスモスの日々について、弓指さんが訪問に同行しながら感じたことを文章と絵で表現しています。作品に描くまで訪問看護師という存在をよく知らなかったと語る弓指さんの目に、山谷の人々や看護という仕事はどう映ったのか。画家を志したきっかけから連載にかける思いまで、話を聞きました。

特別企画／対談

「医療」の枠に押し込めないための視点を持つには藤沼　康樹 , 矢田　明子 30巻2号 , 2025年3月 , pp.109-114

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孤立や孤独といった従来の医学的知識だけでは対処しづらい問題を有した患者や療養者が増えています。医療者がそうした複雑困難な課題に直面した際の考え方が解説された『「卓越したジェネラリスト診療」入門』（医学書院）が発行されました。そこで、本書の著者であり、長らくプライマリ・ケア領域を牽引してきた家庭医・藤沼康樹さんと、人とつながり、まちを元気にするコミュニティナーシングを実践し、全国への普及や育成に尽力する矢田明子さんの対談を企画しました。地域の医療を概観し、そこに住まう人のサポートの在り方を教えていただきました（編集室）。

特別記事

利用者・家族からのハラスメントが発生しにくい環境は管理者がつくりだそう！—研修とアンケートの実施でスタッフの危機意識が向上した実践報告柳田　千草 30巻2号 , 2025年3月 , pp.124-128

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訪問看護の現場では、「ハラスメントにどう対応するか」が頻繁に話題に挙がります。びっぐすまいる訪問看護ステーションの管理者・柳田千草さん曰く、ハラスメントに対する毅然とした態度を示した上で研修やアンケートを実施したことで、スタッフの危機意識が向上したそうです。訪問看護ステーションにおけるハラスメント対策において、管理者が意識しておくべきポイントを学びましょう。（編集室）

看護の質向上に向けた在宅看護専門看護師の活動の深まりと広がり—専門看護師として何ができるか堀井　直美 30巻2号 , 2025年3月 , pp.130-135

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専門看護師を取得すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。訪問看護師として勤務した経験があり、現在は在宅看護専門看護師として地域の看護師たちを支援する堀井直美さんより、自身の実践とそこから見えた資格取得の利点を解説していただきました。（編集室）

ポケットエコーは訪問看護でこう活きる！—現場でのメリット・デメリット上野山　綾子 , 多田　明良 30巻2号 , 2025年3月 , pp.136-140

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さまざまな領域や職種でポケットエコーの有用性が注目されているものの、訪問看護では依然としてあまり使用されていない現状があるのではないでしょうか。日常的にポケットエコーを活用する訪問看護ステーションひかり海南の上野山綾子さんに、使用するようになった経緯、使用から感じたメリット・デメリットを教えていただきました。（編集室）

大阪市生野区で行う地域BCPの取り組み平山　司樹 30巻2号 , 2025年3月 , pp.142-147

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大きな災害に見舞われた時でも訪問看護を提供しようとしたら、近隣の他事業所や地域の関連機関とも連携する必要が出てくるでしょう。発災時にスムーズに連携するには、事前に協力体制を取り決めておくことが求められます。大阪市生野区で行政と地域BCPの仕組みを築いた訪問看護ステーションかっさいの平山司樹さんより、同地域での取り組みを紹介していただきました。（編集室）

連載　マグネットステーション　インタビュー・61

住民主体の地域ケアへの挑戦磯野　祐子 30巻2号 , 2025年3月 , pp.115-122

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住民主体の地域ケアへ挑戦し続けている事業所がある。神奈川県川崎市にて営業する地域まるごとケアステーション川崎だ。同ステーションでは通常の訪問看護に加えて、地域住民との交流創出や健康リスクを抱えた住民へのアウトリーチなどを積極的に行っており、事業所には利用者やスタッフの子どもたち、近所の知り合いなど、さまざまな人が集まる。事業所にはなぜ多くの人が顔を出すのか、そして事業所名に含まれる「地域まるごとケア」の真意とは。管理者である磯野祐子さんに話を聞いた。

連載　在宅ケア　もっとやさしく、もっと自由に！・167

生と死が連続する中で（前編）秋山　正子 30巻2号 , 2025年3月 , pp.148-149

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　2024年、最愛の家族を自宅で看取られたAさんに、東京都区西部緩和ケア連携推進事業が主催する都民フォーラムで、家族の立場で発言してほしいとお願いしたところ、快諾してくださり、発表原稿をすぐに作ってくれました。その中で目を引いたのが、次の文章でした。

　夫は住み慣れた家で、家族に見守られて穏やかに旅立つことができて本当によかったと思います。病院医療の管理下では、ある一線を越えれば『患者』から即、『死体』になりますが、家では、生と死は緩やかに連続していました。生は死の一部であり、死は生の一部なのだと実感しました。

連載　新米マネジャー時代のここだけの話・第1回【新連載】

看護師集めがやっぱり鬼門那須　祐子 30巻2号 , 2025年3月 , pp.150-153

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　私が最初、訪問看護ステーションを立ち上げることに躊躇していたのは、いいスタッフを集める自信がなかったことと、たとえ集まったとしてもその後の人間関係の大変さが容易に想像できたからだ。看護学校卒業後、最初に働いた総合病院では患者さんの対応より職場の人間関係に疲弊し、2年10か月で辞めてしまった。ましてや今度は自分が雇用する側になるのだから、採用活動がスムーズにいかないのは分かっていた。

連載　“日常使い”の在宅の医学・第10回

ストーマ—家庭でも重要な役割を果たすデバイス安池　純士 , 佐々木　淳 30巻2号 , 2025年3月 , pp.162-165

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　医療の場が病院から在宅、つまり家庭へと広がり、ストーマ（人工肛門／ウロストミー）や尿道カテーテルは、患者さんの日常生活に欠かせない医療デバイスとして重要な役割を果たすようになりました。しかし、これらのデバイスを初めて扱う家族や介護職にとって、その管理には心理的なプレッシャーが伴います。「装具から漏れてしまった場合どうすれば？」「尿が出ないときの応急対応は？」といった喫緊の疑問が生じることも多いでしょう。また、排泄に関わるデバイスのトラブルは患者さんの身体的な負担だけでなく、精神的な不安やストレスを増大させる原因となることもあります。

　本稿では、トラブルへの具体的な対応策とストーマ管理の基本について要点を絞って解説します。

HOUMONホットライン

在宅療養コーディネート・ナース養成研修が盛況です！編集室 30巻2号 , 2025年3月 , pp.123

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　在宅看護で求められる伴走型支援の考え方を学ぶことを目的に、聖路加国際大学にて在宅療養コーディネート・ナース養成研修が2024年11月〜2025年1月にかけて開催されました。本研修は従来、病院から地域への患者の移行支援を担当する看護師等を対象に開催されていた講座が、今回より厚生労働省が主導する「令和5年度看護職員確保対策特別事業　地域を包括的に看護する訪問看護師等の人材育成プログラム作成事業」の一環として、リニューアルした内容です。本稿では、全5回のうち初回講座の様子をレポートします。

「死んだ後、何がしたい？」を語り合える人になりたいね—山崎章郎さん×岡田圭さん×古川ひろみさん編集室 30巻2号 , 2025年3月 , pp.154-155

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　長年、ニューヨーク訪問看護サービスのホスピスケアでスピリチュアルカウンセラーとして働いてきた岡田圭氏。氏は医学書院からこのたび『いのちに驚く対話—死に向き合う人と、私たちは何を語り合えるのか』を上梓し、2024年8月から一時帰国して各地で講演や対話の場を広げてきました。そのような中、日本における在宅ホスピスの先駆者である山崎章郎氏と本を通じて意気投合。編集室は、ケアタウン小平にてお二人が語り合う機会に同席することができました。

書評

『在宅医療ケアのための手技・デバイスマニュアル』｜待っていました、こんな本！樋口　秋緒 30巻2号 , 2025年3月 , pp.141

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　この本は、在宅医療に関わる全ての事業所、特に全ての訪問看護ステーションに置いてほしい一冊だ。いや、置くだけでなく、ボロボロになるまで使ってほしい本かもしれない。

　タイトルには「手技・デバイスマニュアル」とあるが、本書は手技＝手順書ではない。看護手順書のように細かな処置の手順が書かれているわけではないものの、在宅医療ケアの日常管理における留意すべき点が医療職・看護職として確認すべきエビデンスに則って記載されており、説得力のある内容である。しかも、「在宅ならでは！のpoint」という解説付きなので、訪問の現場に持ち歩いて活用したい一冊なのだ。

書論

なぜ、私たちはスピリチュアルカウンセラー岡田圭さんに惹かれるのか福井　小紀子 30巻2号 , 2025年3月 , pp.156-159

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岡田さんとの出会い

　2010年、厚生労働省の老健事業調査で、日本の訪問看護の大規模化を目指した先駆例を把握するために海外視察を行うことになり、米国看護協会に訪問看護事業所の推薦を依頼した。そして、ニューヨーク州の看護師数千人からなる巨大規模の訪問看護事業所VNSNY（Visiting Nurse Service of New York）を推薦され、私たち調査班はそこを視察した。その際、看護部長から、「日本人のスピリチュアルカウンセラーがいるけど会いますか？」と聞かれ、「ぜひお願いします」と言って引き合わせていただいたのが、岡田さんとの初めての出会いである。

　2012年には、再度VNSNYに訪問し、岡田さんの実践活動に同行し、ニューヨークでのスピリチュアルカウンセラー実践を見せていただいた。その後は、岡田さんが日本に帰国される2〜3年ごとの頻度で、私の大学研究室で講義をしていただいてきた。本書には、その同行訪問で見た実践内容と、日本での講義内容が凝縮され、岡田さんのスピリチュアルカウンセラーとしての15年間の実践が、魂を込めた言葉で記されている。正座して、背筋を伸ばして、冴えた頭でじっくりと読み進めていきたい。

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目次 30巻2号 , 2025年3月 , pp.90-91

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Information　学会・研究会情報 30巻2号 , 2025年3月 , pp.160-161

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今月の5冊 30巻2号 , 2025年3月 , pp.167

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バックナンバー・年間購読のご案内 30巻2号 , 2025年3月 , pp.168-169

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FAX購読申込書 30巻2号 , 2025年3月 , pp.170

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次号予告・編集後記高橋 30巻2号 , 2025年3月 , pp.172

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「具体的な状況を聞くと介入のアドバイスをしたくなると思いますが、ぐっと堪えます」。今回の特集で、一番印象に残ったフレーズがこちらです。きっと他者（家族）にアドバイスしたくなる機会が多いからでしょう。家族との日々で感じるのが、意見の対立が生じた際に、「十分に対話する」というプロセスを経ると緊張がほぐれることです。人によっては当たり前のように感じるかもしれませんが、場面や状況が変わると途端に意識できなくなることがあるので、忘れないように書きました。前号でも利用者さんとの対話をあきらめなかった事例が紹介されていて、相手と話し合うことの重要性をあらためて感じました。▶加えて本特集で印象的だったのが、case1にて「紹介元にはどのように話したらいいのか」が解説されていたことです。こうした知見はなかなかシェアされないように思います。「無理に契約しないのが大事なのは理解しているけれど、では紹介元にどう説明すればいいの？」と思う方もきっといるはず。読者への配慮を欠かさない小瀬古さんの優しさが感じられる本号でした。…高橋

基本情報

訪問看護と介護
30巻2号
(2025年3月発行)

電子版ISSN：1882-143X 印刷版ISSN：1341-7045 医学書院

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