訪問看護と介護 19巻9号 (2014年9月)

特集 人材育成をネットワーク化する

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「病院から在宅へ」という流れが明確になった今、訪問看護師不足が喫緊の課題となっています。

しかし、すでに慢性的な人手不足に悩む現場において、ステーションが個別に人材育成を行なうには限界がある、という声も聞かれます。

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 「地域包括ケアシステムの構築のためには、訪問看護が欠かせない」といわれる。「訪問看護への期待が大きい」ともいわれる。こうした世の中の声を受けて、現場の訪問看護師たちは、「訪問看護は楽しいし、やりがいを感じている。でも、人材不足が何といっても最大の課題です」と答える。

 このような需要と供給のバランスが取れていない状況は、ずいぶんと前から指摘されていた。そのため、訪問看護を何とか推進していこうという取り組みは、20年以上も前から始まっていた。

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 免許取り立ての看護師が、訪問看護をすることは無謀なのか。私(山田)は在宅ケアの仕事に関わってそろそろ30年になるが、「訪問看護の担い手が不足している」「募集しても応募がない」という声を聞くたびに、なぜ新卒ではだめなのかと胸のなかで問い続けていたように思う。自分自身が病棟看護の経験なく、訪問という形態から看護のキャリアを積んできたからだ。

 これまで、訪問看護事業所管理者向けの研修会などで、新卒看護師の雇用も選択肢としてあるのではないかという投げかけをしても、「それは無理」「即戦力でないと」という声が間髪を入れず返ってきた。しかし、近ごろ様子が変わってきたと感じている。「本当に新卒ではだめなのでしょうか。『3~5年の病棟勤務経験が必要』といっているが、その経験があっても訪問看護の仕事が続けられない看護師は多いのではありませんか」と再度尋ねてみると、立ち止まって考え始める看護師が増えてきたのである。

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 千葉県看護協会は、2012年度から取り組んでいる「訪問看護実践センター事業」において、千葉大学大学院看護学研究科と協働して「新卒者等訪問看護師育成プログラム」(以下、本プログラム)を開発してきた。その経緯と成果については、本誌にて既報のとおりである*1~3

 本年3月、ついに完成年度を迎え、概要と活用の具体例をまとめ、『新卒者等訪問看護師育成プログラム―地域で育てよう』と題した冊子を作成した。修了証を発行した1期生は3人[2012年度新卒者1人(2年間)、2013年度既卒入職者2人(約1年間)]である。現在、新卒者のみならず、既卒者(本プログラムでは「チャレンジ・ナース」と称している)にも本プログラムを適用し、2013年度4人、2014年度6人、のべ10人を支援・育成している。

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 セコム訪問看護ステーションが新卒訪問看護師の育成を始めて*1、今年で9年目に入りました。今回は、その総括を行ない、2012年に現場中心の教育へとプログラムを変更した経緯と、新プログラムの概要について報告します。

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 東京都は、2025年を前に高齢者・独居世帯の急増など多くの問題を抱えています。多死時代が目の前に迫る今、地域包括ケアシステムの構築で対応していかなければなりません。そのなかで、地域で医療と介護、暮らしを理解し、すべての地域住民が医療保険・介護保険どちらでも利用できるサービスとして、訪問看護は重要な役割を期待されています。同時に、その人材育成は東京都の大きな課題となっています。

 「日本訪問看護財団立あすか山訪問看護ステーション」は、東京都23区内で最も高齢化率が高い北区にあり、小児から高齢者まですべての疾患・障害を対象にした訪問看護事業と居宅介護支援事業を、訪問看護師21人、理学療法士2人、ケアマネジャー2人、看護補助者1人、事務職員4人の計30人のスタッフで行なっています。人材育成にあたっては、訪問看護認定看護師、在宅看護専門看護師によるOJT教育や、ポートフォリオによる教育指導体制をとっています。

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 東京都の高齢者人口は、約284万人(2014年1月現在)、高齢化率は21.5%と過去最高を更新し、2035年には29.8%に達すると推定されています。そのような社会で、高齢者が住み慣れた地域で安心した暮らしを実現するためには、日常生活の場で医療や介護の支援が切れ目なく提供される地域包括ケアシステムを構築することが必要です。訪問看護ステーションは、そのような地域包括ケアを支える多組織・多職種連携の中心的な役割を担う存在と考えています。

 都内の訪問看護ステーションは、近年増加傾向にあり、2014年7月時点で777か所となりました。しかし、今後ますます増大するニーズに応えていくには、これまで以上に訪問看護を担う人材の確保と育成が求められます。2011~2015年の看護職員需給見通しでも、看護職全体では約4.4%の伸び率であることに対して、訪問看護は約18.6%の需要の伸びが推計されています。

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 文部科学省では、各大学において大学改革の取り組みがいっそう推進されるよう、国公私立大学を通じた競争的環境のもとで、特色・個性ある優れた取り組み(Good Practice:以下GP事業)を選定し支援しています。

 このたび2014(平成26)年度に、新たなGP事業「課題解決型高度医療人材養成プログラム」を開始しました。本事業は、医学教育課で所管する医師・歯科医師をはじめとして看護職を含むすべての医療人材養成を対象としています。

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 病院で働いたあと、在宅の現場に出るようになって、その違いに驚いたことはないでしょうか? 病院で当たり前だった常識が通用せず、在宅で出会う人たちにプロ意識が欠けているように見えて仕方がない、という経験はありませんか?

連載 マグネットステーション インタビュー・48

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「就職希望者が絶えず、嬉しい悲鳴のステーションがあるらしい」。そんな噂を聞いて、このご時世にまさか!?と出かけた。開業5年で、看護師20名に加え、リハビリ職も9名を擁する大規模ステーションに。さらには、居宅介護支援、通所介護、訪問介護も併設し、先ごろ24時間365日看護・介護対応型賃貸住宅「在宅サポートハウス」も立ち上げた。ターミナルや医療依存度の高い利用者など最重度者も受け入れ、看取りや短期入所にも対応する。わずか5年で、大規模化・多機能化を果たした秘訣と志とは? どうして、そんなに人が集まるの!?

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・60

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 前回、特別養護老人ホームから病院へ搬送されたHさんのお母さん(96歳)に、入院5日目に医師から5つの選択肢が提示された話を書きました。その5つとは、(1)経鼻経管、(2)胃ろう、(3)IVH、(4)自然に経過をみる、(5)末梢点滴です。医師は「胃ろう」がベストだと言わんばかりでしたが、家族が選んだのは(4)の「自然に経過をみる」でした。

 その意向を汲んで、説明の日の翌日、病院での食事のトライアルが始まったのです。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第38回

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 前回に引き続き、アール・ブリュットの「日記性」について考えたい。

 描かれたもの、作られたものがいったん美術館に収まると、それは「作品」と呼ばれるようになる。けれど、それが「作品」として壁に掲げられるよりも前に起こっていること、誰かが1人で描いていたものが、別の誰かに気づかれて、描かれたものが否応なく開かれていくときのことが、気になっている。

連載 一器多用・第40回

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 前回は、筋力トレーニング(以下、筋トレ)のメリットとデメリットについて、ボディビルダーのMさんと、元ラグビー日本代表のHさんから、体験談を聞きました。両者に共通するのは、筋トレにより身体がたくましくなり、持ち上げられる重量も日に日にアップしていくなど、右肩上がりの「成長」を感じられる点でした。

 ところが、実際の動作に活かすという点で、筋トレはかえってマイナス効果だと、Hさんは力説するのです。最近、そんなHさんと、親子向けの体育講座でコラボをしました。まず、最初に、Hさんが筋トレについての問題点を参加者に投げかけました。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第42回

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母さん 父さんのことでちょっと悩みがあってさ……。

杏里 どうしたの?

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 在宅介護の現場では、さまざまな局面に遭遇する。学校で学んだことが通用しない。先輩や専門家に相談してもわからない。教科書や専門誌を読んでも解決できない。実践家なら誰でも思い当たる事例があるはずだ。

 現場では、複雑な事柄が絡み合う。病気やADLだけならまだしも、生活状況、家族関係、家の構造、エビデンス、ナラティブ、社会資源、他職種との関係、経済状況など、考慮すべきことがあまりに多すぎる。モヤモヤしたまま、見過ごしてはいないだろうか*1

訪問ほっとらいん

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 当院は、医療療養病棟・回復期リハビリ病棟・介護療養病棟を擁し(計119床)、外来も含めて対象者には「高齢者」が多いという特徴をもっている。そうしたなかで、看護師は病棟でも外来でもルーチン業務に追われ、地域・在宅での生活にフォーカスを当てた看護師教育にまでは行き届いていないのが現状だった。在宅生活を支える医療・看護が求められる今、院内の看護師が在宅を知り、地域と関わっていける方法を見出せるような教育の推進に向けた、成果が出る取り組みが喫緊の要事であると考えられた。

読者の声

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歯科医療は「歯」のみに非ず!積極的に連携を

廣瀬知二 福岡・歯科医師

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 わが国の医療が病院完結型から地域完結型へと転換するなかで、訪問看護師の養成・確保は喫緊の課題となっている。

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 栗原
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一時「ケアする人々」シリーズに独占されていた巻頭インタビューに、「マグステ」が8~11号と連続予定で嬉しいかぎりです。立て続けに取材させていただいた4名の所長さんに共通するのは、在宅生活を「いかに継続するか」を支柱としていること。すると、自然と多機能になっていくようなのです。本号の柴田さんの新規事業「在宅サポートハウス」の3つの機能は、訪問看護をしていればこそ気づいた、家にいたい帰りたい本人・家族が「何に困っているか」に突き動かされた結果のかたち。その他3名の所長さんにも共通する「そこに困っている人がいるので」というスタンスは、まるで気負いない自然なもので、私はパルピテーションが止まりません。自薦他薦問わず、引き続き「マグステ」大募集中です。…杉本

「家事ハラ」という言葉を最近たまに耳にします。「家事労働ハラスメント」の略で、出どころは同名の新書ですが、マスメディアでの使われ方は少し違っているようです。いずれにしろ、家事も育児も仕事も、なんでも1人で抱え込むと悩ましいもの。訪問看護では単独訪問が育成のゴールとなるわけですが、本号にご登場いただいたみなさまは、育成される側もする側も孤独にならないよう、いつでも誰かに相談できる体制をつくることに力を入れておられました。組織どうしでも、互いに得意なものを出し合って補い合う体制がこれからの人材育成のスタンダードになりそうです。それは支え合いとも連携ともいえますが、要は、「1人じゃないよ」と伝え合うことから始まるのかな、と思いました。…栗原

基本情報

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訪問看護と介護
19巻9号 (2014年9月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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