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編集室から
本稿は2003年9月27日,浜松市で開かれた静岡県MDS研究会の講演を収録し,再構成したものです。介護保険に関する全国および地域(島根県松江地区・出雲市・瑞穂町)のさまざまなデータが提示され,現状のいくつかの問題点が浮かび上がってきます。訪問看護の“低迷”,現状の居宅サービス計画の問題点についてふれ,さらには,要介護認定の分析から高齢者の機能低下がどのような経過を踏むのかを明らかにし,そこからケアマネジメント改善への提言につなげるといった,広い範囲に及んでいます。訪問看護・介護事業の運営や,実際のケアの展開においても,このようなデータに基づいた分析があると,非常に説得力に富んだものになるのではないでしょうか。本特集の資料編としてお読みください。
本稿は,厚生労働省の資料を用いた第1部「介護保険の現状」,日医総研が島根県で行なった共同研究のデータに基づく第2部「ケアマネジメントの現状と課題」の2部で構成されています。
【講師略歴】工学部の出身で,川崎製鉄(日本鋼管との合併で現在はJFE)に勤務。その後,帝人㈱在宅医療事業部に移り,大阪で訪問看護ステーションの設立にかかわる。1998年,日本医師会がシンクタンクとして設立した日医総研に設立前から参画し,現在に至る。
第1部 介護保険の現状
認定者数,受給者数,受給率の推移
1.認定の状況
●認定者数,認定率はともに増加傾向に
図1は,第1号・第2号被保険者別の認定者数,および認定率(65歳以上人口の何%が認定を受けているか)の推移を半年ごとに示したものです。2001年4月時点の252万人が,2003年5月には359万人に,また,認定率も10.7%から14.2%へと増加しています。認定者が増えているのは,高齢者の人口増とともに,認定率も増えてきているからです。ここで,2001年4月から2002年4月までの1年間と,2002年4月から2003年5月までを比較すると,少し認定者の数の伸びは落ちていますが,それでも1年で50~60万人ずつ認定者が増えています。
図2は,要介護度認定の申請がどれぐらいあるかをみたものです。調査月ごとにそれぞれ40万件を越える認定申請があります。そのうち更新申請が7割弱から8割弱,新規申請が2割から3割弱,変更申請が0.2割弱から0.4割といった割合で推移しています。
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