訪問看護と介護 18巻2号 (2013年2月)

特集 住まいで医療も最期まで いろんなかたちの「24時間」

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今後ますます、医療度・要介護度の重い、また終末期にある高齢者が在宅・地域に増えていきます。

これに伴い、「24時間の対応」「24時間の安心」のニーズが、いっそう高まっています。

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 一般社団法人北海道総合在宅ケア事業団は、1993年、北海道の在宅ケア推進を目的に、北海道、市町村、道医師会・看護協会などの職能団体を会員として設立されました。道内95市町村に、57のメインステーションと、35か所のサテライトステーションを設置しています。

 旭川地域訪問看護ステーション(以下、当ステーション)は、その22番目のステーションとして1995年に旭川市に開設され、2000年には近隣の鷹(たか)栖(す)町にサテライトステーションを設置しました。本稿では、この両地域における、当ステーションでの24時間対応体制について報告します。

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 「本当は家に帰りたい」。

 病院や施設で、誰もが口にしたい気持ちではないでしょうか。私がホスピス病棟に勤めていたときも、何度となく聞いた言葉です。ある人は、この言葉に継いで「帰りたい。でも、帰りたいと言ったその瞬間に、家族の困った顔が目に浮かぶんだ」とつぶやいておられました。

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ステーションの概要

 滋賀県済生会訪問看護ステーション(以下、当ステーション)は、「済生会の精神である『救療済生』に基づき、住民が住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、利用者や介護者に質の高い訪問看護を提供する」という理念を掲げ、1994(平成6)年4月、社会福祉法人恩賜財団済生会の滋賀県支部の一施設として開設された。

 開設当初は、看護師3名(常勤換算2.8人)で始まったが、利用者数や職員数の増加に合わせて事業所も拡充し、現在はメインのステーションのほか、サテライト3か所、栗東市の委託事業としてのステーション1か所の、合計5か所の事業所を有し、一体的に運営している。2012(平成24)年11月現在の職員数は、保健師1名、看護師52名、准看護師1名(夜間専属)、理学療法士4名、作業療法士2名、言語聴覚士1名、事務員4名、介護職員2名(療養通所介護事業所に配属)、運転手他5名、合計72名(常勤換算47.4人)である。

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 兵庫県看護協会(以下、本会)は、昨年4月に「公益社団法人」の認可を受け、人間の尊厳と権利の尊重を理念に、人々の健康ニーズに応え、県民のライフサポーターとして役割を果たすことをめざしている。

 兵庫県の老年人口は23.1%と全国平均並だが、今後、神戸市をはじめとする都市部で急速に高齢化が進むと予測され、関係職能団体や行政の連携のもと、地域で中重度の要介護者を支える地域包括ケアシステム構築へ向けての協議も開始された。

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 ささえる訪問看護ステーション夕張(以下、当ステーション)は、「住み慣れた自分のまち、自分の家で、自分らしく暮らしていきたい」という気持ちに寄り添った介護・看護・医療を提供することで、在宅での暮らしを支えていきたいという思いから、秋山正子さん(白十字訪問看護ステーション)のサポートを得て2011年12月に開設。24時間対応の訪問看護を、北海道夕張市内および周辺地域に提供してきました。

 利用者数は、介護保険が55名前後、医療保険が10名前後。1か月ののべ訪問回数は、240~290回程度(うち緊急訪問15~40回程度)です。市内1か所、市外5か所の医療機関から指示書の交付を受けており、開設後11か月での看取りは9名でした。

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 医療法人社団悠翔会(以下、当法人)は、東京23区および埼玉県南部に6つのクリニックを開設している。いずれも在宅療養支援診療所であり、創業から6年で延べ4000人の患者さんの在宅医学管理をお任せいただいてきた。

 当法人では、6つのクリニックをネットワーク化しての24時間緊急対応に取り組んでいる。主治医に限定しての24時間365日の対応には限界があるが、医師同士で互いにカバーし合い、夜間・休日対応をシステム化することで、いつでも迅速かつ確実に対応する試みである。2011年度には、法人全体で約5900件の電話再診、約2800件の予定外診療に対応した。

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地域包括ケアの5つの柱は「医療」「介護」「予防」「生活支援サービス」、そして「住まい」。

なかでも「住まい」は、その土台になるものとして重視されています。

とくに都市部では、「サービス付き高齢者向け住宅」(以下、サ高住)がその役割を期待され、多くの企業などが参入し始めています。

サ高住は、必要に応じて24時間のサービスが提供される、施設ではない「住まい」です。

しかし、今後ますます「医療依存度」や「要介護度」が高い高齢者が増えるなか、サ高住は住まいならではの“自由な暮らし”と“24時間の安心”を、そして「住み慣れた地域で最期まで」を叶える選択肢になりうるのか? そのために不可欠な医療・介護の役割は?

サ高住に先駆けて取り組んできたみなさんに、その可能性と課題を話し合っていただきました。

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フェイスブックやミクシィに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)。ネット上でのコミュニケーションや人間関係の構築を促進し、社会現象にもなっている。2012年3月、新しいSNSがリリースされた。そのサービスの名は「ウェルノート」。既存のSNSとは違い、つながりの範囲を「家族」に限定しているのが特徴だ。家族コミュニケーションの新しいかたちを提供するだけでなく、「予防医療のインフラ」となることを目標に運営されている。「SNSで予防医療」とは? 大手外資系金融会社でのアドバイザリー業務を経て独立・起業した、谷生芳彦さんにお話を聞いた。

訪問ほっとらいん

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 2012年9月29日、さまざまな分野の専門家が集い、日本臨床倫理学会の発起人会が開催された。集まった専門家は、急性期および慢性期病院・在宅医療ケア・緩和ケア・高齢者終末期ケア・精神科医療・認知症ケア・遺伝子疾患・小児医療・臓器移植・生殖補助医療などに関わる医療従事者、さらには法律・社会政策・宗教・福祉・マスコミ関係者・患者団体関係者など多岐にわたる。発起人会では、日々経験している日常臨床における苦悩とジレンマ、それぞれに胸に秘めた熱い思い、そして日本臨床倫理学会に対する期待等が語られた。

 医療ケアに関わる者は、患者さんやご家族、そしてそれらの人々の置かれた状況や生活などすべてを考慮して、日々さまざまな臨床上の決断をしている。こうした実践現場に則した倫理を提案し、その成果をまた実践現場に反映し、よりよい医療者―患者関係をめざそうと考えている。そうした実践現場の多くの熱意が、必然的に、そして自然に、本学会設立の動きとなった。

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 「高齢精神障害者」のケアに関わるホームヘルパーの「支援困難感」の構造を明らかにすることを目的に、半構成的インタビューを実施し、M-GTAを用いて分析した。

 ヘルパーは、「利用者の疾病や障害特徴を理解することが難しい」「困った行動への対処が難しい」ことから、「ケアに対する不安や迷い」を感じていた。また、ヘルパーは利用者にとって「身近な存在だから難しい」と感じていた。

 介護保険制度上の課題など、「利用者とヘルパーを取り巻く環境の問題」があり、その結果、「ヘルパーの身体的・心理的・社会的負担」が生じていた。

 今後は、サービス担当者会議等での医療機関からの利用者に関する情報提供、救急時の対応に関する取り決めと、訪問看護や通所サービスの積極的な導入、ヘルパーの学習支援、地域住民に対する啓発が必要である。

連載 地域のなかの看取り図・第1回【新連載】

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 連載を始めるにあたって、なぜ小説家である私が、「看取り」について書くことになったかをお話したいと思います。

 私は現在53歳、夫と高校生の娘との3人家族です。

本連載はWebマガジン「かんかん!」http://igs-kankan.com/article/2013/04/000747/index.htmlにて順次無料公開中

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・41

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 高齢化が進み、「認知症高齢者が増えている」と言うよりは、「身体にさまざまな変化が起こっても長生きできる世の中になった」と言うほうが当たっているのかもしれません。

 認知症があってもなくても、高齢者は環境が急に変わると混乱して、認知機能が落ちてしまいます。とくに、身体症状が出て、病院の外来、ことに救急外来に連れていくときなどは、訪問看護・介護に携わる多くの人が、いろいろな困った事態に遭遇していることでしょう。

連載 息子介護者の〈言い分〉 僕らが「支援」を必要とするワケしないワケ・第11回

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弟も私も(母親を)看なければいけないという意味では同じだと思うんです。……ただ、向こう(弟)はその、積極性がないんですね。私がこう、ぜんぶ段取りして、こうしたから、って言うと、うん、わかった、と。それに対して、何か嫌だって言うこともないんで、それはそれで良しとはしてるんですけど。今後は、本当に分担しないといけないときがくると思うので、……いずれはちゃんと言わなきゃいけないんだろうな、というのは考えてはいるんですけど。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第19回

誰かの席に座ること 細馬 宏通
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 相手を諭そうと、誰それの立場に立って考えなさい、とか、その人の身になったらどんな気がするか想像してみなさい、といった言い方をする。言われたほうは、ああそうだ、ずいぶん自分は身勝手だった、ととりあえず反省はするのだが、しかし、自分ではない誰かの立場に立ったり身になったりするのは、言うほど簡単ではない。たいていは、相手を泣かしたり怒らせたりしてようやく、ああ、立場も身もわかっていなかったのだ、と遅れて気づくことになる。やっぱり自分には相手を慮(おもんばか)る力がないのだろうか、としょげるものの、ではどうすればそんな力がつくのだろうか、と途方に暮れてしまう。

 最近では「コミュニケーション力」ということばも流行している。もしかすると、誰かの立場がわからない鈍感な私には、相手を思いやる仕事なんか向いてないのじゃないかしらん。そんなふうに、私たちは、コミュニケーションの力をあたかも個人の能力のみに帰して考えがちだけれど、最近のコミュニケーション研究でわかってきたことは、コミュニケーションは、当事者をとりまく環境に深く関わっていること、にもかかわらず、当事者はそうした環境をそれほど意識しているわけではない、ということである。

連載 一器多用・第21回

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 最近、介護職の雇用促進や雇用安定化を銘打った講演会・講習会に呼んでいただく機会が増えました。主催者の方とお話すると、なんとか介護に関心をもち就職し、長年働いてもらいたい、という切実な希望をもたれているのを強く感じます。その願いは、今すでに介護現場で働いているみなさんにも共通のものであるはずです。

 財団法人「介護労働安定センター」が発表した2011年度介護労働実態調査によれば、介護職員の離職率は16.1%。前年度比1.7%減で、2年ぶりに改善されたとのこと。東日本大震災後の景気悪化に伴う雇用環境の悪化から、転職が抑制されたのではないかと推察されています。ただし、介護職員の過不足を問う回答では、「おおいに不足」「不足」「やや不足」の合計が53.1%で、前年度と比較して3%近く悪化しています。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第23回

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母 ああ、父さんが「元気だ」なんて嘆かわしい……。

杏里 え!? どうしたの?

読者の声

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あらためて感じた小児訪問看護のやりがい

川崎幸栄子 鹿児島・訪問看護師

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ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 多淵
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24時間対応の人と言えば、海外ドラマ「TWENTY FOUR」のジャック・バウアー(!?)。どんな状況でも「バウアーならきっと何とかしてくれる」と思わせてくれるのがジャックのすごいところです。特集扉の「24」は、有名なそのロゴをマーブルチョコで(笑)。スウィートな雰囲気になりましたが、在宅ケアの24時間対応も決して甘くはありません。でも、こんなにいろいろな方法論があるのを知って、「訪問看護師さんならきっと何とかしてくれる」、そんな利用者・家族の声が聞こえてくるようでした。緊急時にとどまらない24時間サービスとして、忘れてはならない「複合型サービス」は、また別に特集予定です。作家の田口ランディさんの新連載が始まりました!…杉本

巻頭の「ケアする人々」でも取り上げたSNS。昔の友人と再会したり、新たなコミュニティに加わったりと、その恩恵を受けている1人かもしれません。先日、SNS上で招待されたイベントに参加してきました。平日の朝6時半からサッカーをするという、とても常人とは思えぬイベントです。こんな真冬に参加者などいるのかと、会場を訪れてびっくり。寒空の下、なんと30人以上のサッカーバカが集まっていました。ほとんどの方が初対面でしたが、一緒にボールを蹴れば1時間もしないうちに打ち解けてしまいます。在宅ケアの勉強会などに参加する際、そこに集まっている方々を見ても感じますが、SNSでつながりの数は増えても、その後の絆を強くするのはやはり共通の「志」なのだなぁと思った次第です。…多淵

基本情報

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訪問看護と介護
18巻2号 (2013年2月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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