訪問看護と介護 18巻1号 (2013年1月)

特集1 認知症の地域医療が変わる!

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現在、認知症高齢者の数は305万人、うち5万2000人もが精神科病院に長期入院しているとも言われます。

さらに、2025年には470万人にまで急増すると推計されています。

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(1) 標準的な「認知症ケアパス」の作成・普及

●「認知症ケアパス」(状態に応じた適切なサービス提供の流れ)の作成・普及

2012~13年度 調査・研究を実施

2013~14年度 各市町村において「認知症ケアパス」の作成を推進

2015年度~ 介護保険事業計画(市町村)に反映

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――昨年、「今後の認知症施策の方向性について」(以下、「方向性」)および「オレンジプラン(認知症施策推進5カ年計画)」が出された背景と経緯を教えてください。

 まず第一に、認知症高齢者の増加があります。2012年8月24日、当室より認知症高齢者数の将来推計について発表しました。日常生活自立度Ⅱ以上の認知症高齢者数は、現在すでに305万人(推計)ですが、2015年には345万人、2020年には410万人、2025年には470万人と急増していくと予測されています*1。2003年にも同様の推計が出されましたが、当時は2025年で323万人と予測しており、1.5倍近くも上方修正されたことになります。

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 認知症の人は本来、自宅に暮らし、地域での生活を継続することが望ましい。家庭であれ、仕事であれ、病気になっても継続できる支援が求められる。

 本稿では、これまでの認知症医療を振り返り、今後の展望についてまとめてみたい。とくに昨年9月に厚生労働省から「オレンジプラン(認知症施策推進5カ年計画)」が提案され、認知症対策の方向性が示されているが、そこには理想と現実のギャップが見え隠れする。「地域格差」「人材や資源の不足」があり、まだ課題は山積している。今後、独居高齢者の増加に伴い課題が噴出することも予想される。認知症の地域医療が、どのように対応すべきか検討したい。

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 2012年2月12日、粉雪が舞う厳寒の京都。「京都式認知症ケアを考えるつどい」(以下「つどい」)で、私たちは「2012京都文書*1」を採択した。

 「つどい」とは、「京都の認知症医療とケアの現在」をデッサンし、「認知症を生きる彼・彼女から見た地域包括ケア」に言葉を与えることを目的とした試みであった。京都で認知症医療・ケアに関わる多様な専門職と家族・市民で埋め尽くされた会場で、参加者1003人の拍手をもって文書が採択された場面は、京都の認知症医療とケアに“新しい形”が与えられていくことを予感させ、認知症の人が排除されない社会を幻視する瞬間となった。

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 「認知症初期集中支援チーム」(以下、初期チーム)のモデル事業が、2013年度から始まる予定だ(p.14)。これに先立ち、そのスキーム(概型)を検討する試行も、全国3か所で始まっている。そのうち1つは「訪問看護ステーション」を中核に地域包括支援センターと連携しての取り組みである。

その中心となっているのは、ナースケアステーション(東京都世田谷区)・片山智栄所長だ。初期チームのメンバーは今のところ、片山所長を中心とする4名の訪問看護スタッフと、ステーション外から作業療法士、連携する在宅療養支援診療所の総合内科医・精神科医である。すでに3事例の「初回アセスメント訪問」を行ない、近く「チーム員会議」を開催する予定だ(2012年12月5日現在)。

特集2 「成年後見制度」を知る!活用する!

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高齢者、なかでも認知症の方の「権利擁護」への取り組みが求められています。

認知症などで意思伝達や行動に障害が起こってくると、権利を自ら守ることができなくなるからです。

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 みなさんの身近に、虐待されたり、悪質商法の被害に遭ったり、家族に年金を使われていても、自ら「やめてほしい」「誰かに助けてほしい」と言えない認知症高齢者がいないでしょうか? 一方、ご家族が本人の代わりに定期預金を解約に行ったら、「後見人でなければできません」と金融機関に言われ、家族なら何でもできると思っていたのに驚いた、という話を聞いたことはありませんか?

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 筆者は司法書士として「後見人」に選任され、認知症をはじめとする高齢者の「身上監護」と「財産管理」を行なっています。財産管理については司法書士としての専門知識で対処できているのですが、身上監護については医療職・介護職・福祉職の支援を受けて後見活動をしています。

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 2005年ごろ、当時93歳の祖母に認知症の兆候が見られるようになり、私は1人で手探りの介護を続けてきました。そうしたなか、祖母の財産管理に端を発したトラブルに見舞われ、2008年5月から「成年後見制度」を利用しています。

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長編動画「毎日がアルツハイマー」の主役は関口宏子さん・82歳、アルツハイマー病と診断されている。その娘である関口監督は、2010年1月、29年暮らしたオーストラリアに息子を残して帰国する決意をした。父が亡くなって10年、1人暮らしをしてきた母と一緒に暮らすためだ。そして、その毎日をビデオカメラで撮影し始めた。その断片を紹介した動画はYouTubeで約40万ビュー。この2年間を1時間半に編集した本作のロードショーは立ち見も出るロングランで、時に劇場に“笑い”を巻き起こしてきた。どうしてアルツハイマーで笑えるの? 「500%介護する側の問題」と関口監督が断言するところの認知症介護の課題とは? 同じく認知症の父との“泣き笑い”の日々を小誌連載や書籍につづる、岡崎杏里が聞きました。

ほっとらいん ふろむ ほんごう

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 11月18日(日)、日本訪問看護財団主催、日本看護協会・全国訪問看護事業協会企画・協力による、「訪問看護サミット2012」が、住友不動産新宿グランドタワー(東京都新宿区)において開催された。参加者は、全国の訪問看護師ら820名。訪問看護制度は、1992年の老人保健法改正に端を発する。本サミットは訪問看護制度創設「20周年」を記念し、「新生『訪問看護』――新しい波にのって」と題して、拡がる訪問看護の可能性を展望した。

 同財団の清水嘉与子理事長は、開会の挨拶で11月16日に衆議院が解散されたことにも触れ、「先行きの見えない政治状態が続くが、どの党が与党になっても社会保障制度の政策に大きな違いはない。これからも施設から在宅へという流れ、訪問看護への期待は変わらない」と述べた。「創設20年を迎えた今、互いの英知を交換し、私たち自身で訪問看護を日本に広めるべく尽力しよう」と述べ、会場からは大きな拍手が起こった。

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 11月10日(土)、高崎看健康福祉大学にて、棚橋さつき会長(同大学保健医療学部看護学科准教授)のもと、第2回日本在宅看護学会学術集会が開催された。昨年12月の第1回学術集会を上回る300名以上の参加者が全国から集まった。

 大会長講演で棚橋氏は、自身の経験をユーモアを交えて紹介し、既成概念にとらわれない在宅看護を展開することの意義と重要性を語った。在宅看護に起こっている「変化」として、小さなステーションが増えたこと、また、リハ職を中心に、小さなステーション内にも多職種が入り交じるようになり、意思統一を図りづらくなったことをあげた。そうした現状のなか、群馬県看護協会立のステーション主催により、患者・家族と多職種の交流会を開催し、和気あいあいと互いの情報交換をしている様子が紹介された。

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 さる11月24日、東京・墨田区の国際ファッションセンターにて、緩和ケア訪問看護ステーション連絡会の主催による「在宅緩和ケア看護師教育プログラム開発記念講演会」が開催された。

 記念講演のテーマは「看護師の力を活かした在宅緩和ケア」。講師には米国・ハワイの代表的な在宅ホスピス組織「ホスピス・ハワイ」代表のケン・ゼリ氏が招かれた。ゼリ氏は看護師であり、全米ホスピス緩和ケア協会の理事も務めている。

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 訪問看護と介護を取り巻く話題を、タイムリーにかつ鋭く解説する連載「時事刻々」が、先月号で最終回を迎えました。13年にわたる連載を終えた石田昌宏さんに、「訪問看護」への思いや今後の予定を聞きました。

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はじめに

 非侵襲的人工呼吸療法(non-invasive positive pressure ventilation:NPPV)の早期導入によって、筋萎縮性側策硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)患者のQOLは飛躍的に向上する*1。NPPVの継続は、高二酸化炭素血症・低酸素血症を予防するだけでなく呼吸筋の休息となる。

 ALSは進行性であるため、呼吸筋麻痺は着実に進行していく。この変化の時期を見過ごさず、状態に応じた圧設定を行なうなどの最適使用とケアがNPPVの継続につながる。今回、在宅で24時間NPPVを行なっているALS患者に対して、終夜睡眠ポリグラフィー検査を行なった。

 終夜睡眠ポリグラフィー検査とは、夜間の睡眠障害の診断に用いられる検査の1つで、睡眠中の脳波・呼吸・脈拍・酸素飽和度・胸壁運動・腹壁運動などを記録して睡眠時無呼吸・低呼吸の状態を把握することができる検査である。

 本症例では、携帯装置を利用しているため脳波の測定は行なっていないが、終夜睡眠ポリグラフィー検査の結果をもとにNPPVの圧設定を調整したところ、良好な結果が得られたため、以下に報告する。本症例に対する調査・報告においては書面にて本人・家族の同意を得た。

連載 これって、急変? なんとなく変への対処法・第13回【最終回】

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本日の目標

(1)「これって急変!?」と思ったときに「薬剤性」を疑える

(2)薬による急変? の「予防」に取り組める

(3)プロフェッショナルとしてチームに関われる

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・40

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 私たちの地元、新宿区では、一般市民に在宅療養を勧めるための、在宅療養シンポジウム「この街で健やかに暮らし、安心して逝くために」通称「この街シンポ」を、2007年から毎年開いています。2012年10月の会では、14年間の一人暮らしを支え、2012年3月に96歳で亡くなられた、信(のぶ)さんのことを振り返りました。

 信さんは、大きなお寺に一人暮らし。認知症・悪性貧血・心不全があり、亡くなる1年ほど前には乳がんも見つかりました。白十字訪問看護ステーション・白十字ヘルパーステーションで関わり、訪問診療も行なわれ、都内に住む娘さんご夫婦やご近所の見守りも助けとなりました。

連載 息子介護者の〈言い分〉 僕らが「支援」を必要とするワケしないワケ・第10回

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息子が1人で介護してるっていうのを聞けば、そういう目で見てくる人もいるのはわかってます。色眼鏡で見られるのが嫌なら言わなければいい。そういうつもりで、まわりには(介護していることを)積極的には言わないことにしました。

連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第18回

「家」の立ち上がり方 細馬 宏通
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 イワサワさん、洗濯物かたづけてください。

 そう言われてイワサワさんは洗濯物に近づいていく。冬、外は寒く、晴天日はなかなかやってこない。9人の入居者のいるグループホームで、洗濯物は山のようで、居間の一角に上着と下着とが、それぞれ衣紋かけにぶら下げられてずらりと部屋干しされている。

連載 一器多用・第20回

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 「まったく足が動かない方を抱え上げるのが大変で、楽に抱え上げる方法が知りたい」。ある特別養護老人ホームでの研修会で、基礎的な講義のあと、真っ先に出た質問です。実際に利用者さんの居室に行き、移乗動作をアドバイスすることになりました。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第22回

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杏里 今回は久々のゲスト登場です。ドキュメンタリー映画『毎日がアルツハイマー』(関口祐加監督、p.1103)について、同世代の介護仲間であるともちゃんと語り合います。

ともちゃん よろしくお願いします。家庭の事情により孫の私が認知症の祖母をかれこれ8年間1人で介護しています。ドキュメンタリー映画が大好きで、これまでかなり観てきたけど、この映画は他人(ひと)事とは思えなかったな……。

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 じゃんけんロボットが超高速のあと出しで、人間相手に勝ち続けているという。実にわかりやすいロボットだが、本書は、これとは対極の「ひとりでは何もできないロボット」の開発ストーリー本である。

 著者は1960年生まれの岡田美智男氏(豊橋科学技術大学教授)。堅苦しいのかなと警戒気味だったが、理科系の几帳面な発想ではなく、文科系のいい加減さがつかみどころのないハードルを越えていく。なかなかにおもしろい。

読者の声

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医療的ケア特集で考えた看護の役割

濱崎友子 東京・訪問看護師

10年目の愚痴を……

匿名希望 訪問看護師

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今月の5冊

ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 多淵
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特集1で森医師は、「初期」から認知症の方にアプローチすることで、その疾病観が変わる可能性(変える必要性)を指摘しています。その先には、認知症のケア・理解の深まりだけでなく、その質的転換もが見え隠れしています。巻頭インタビューの関口監督は「認知症の力を借りて」とさらり。認知症介護に伴う苦労の根源は、圧倒的に介護する側にあるとも。見方あるいは見せ方で世界や未来が変わる可能性の示唆は、映画監督ならではの説得力を感じます。介護する側、それを支える側の現前の課題を楽観視はできませんが、希望も感じる新年1号になりました。特集1でみなが口を揃える「訪問」の意義深さを改めて感じています。…杉本

ホームレスワールドカップというのがあります。ホームレスの人が選手として参加する5人制サッカーの世界大会。2003年より毎年開催されており、 2012年現在、73か国累計5万人が参加しています。先日、日本代表「野武士ジャパン」の方と話す機会がありました。大会出場にあたり参加を募ったところ、希望者は16人。一方、メキシコでは1万5000人もの参加希望者がいたそうです。これを聞いて、まだ日本にはサッカー文化が根づいていない、と痛感しました。本号の石田昌宏氏のインタビューにあった“国民みんなが看護師になること”。これは、看護が文化になることと同義ではないでしょうか。看護を文化に。壮大な夢ですが、一歩ずつ皆さんとともに歩んでいければ。本年も、よろしくお願いします。…多淵

基本情報

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訪問看護と介護
18巻1号 (2013年1月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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