特集 「喪失」に直面する人へのケア
ケアを提供する人へのケア—対人援助職にも起こる喪失と悲嘆
米虫 圭子
1
1京都産業大学学生相談室
pp.370-375
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201437
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対人援助職にもケアが必要だ
どうしてケアする人のケアが必要なのでしょう? 対人援助者はよりよいケアを提供するために、常に相手のニーズに応えようとしています。特に、在宅や地域でケアが必要な方の暮らしに寄り添う訪問看護師などの援助者は、利用者の生活に直接的に関わり、本人とその家族を支援するチームの欠かせないメンバーとして、彼らのニーズに応えようと努めます。利用者が安心して生活を送ることができるのを見ることで、専門職としてのやりがいや達成感を得ることができます。
援助は、そのように報われる側面もあるのですが、同時に、非常にストレスフルな仕事でもあります。一昔前には、プロフェッショナルであれば、職務によって受ける精神的な負担は自分で乗り越えるのが当然であると考えられていたのですが、近年、病気で亡くなりゆく人や悲嘆の中にある人と接する援助者の「悲嘆」が、バーンアウトを引き起こすストレス要因の1つとなることが注目され、離職につながっているという報告が多く見られるようになりました。
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