実践報告
地域に開かれたがん患者のエンパワメント活動―患者・家族、サバイバー、そして遺族への相談サロンの取り組みを通して
岩本 喜久子
1
,
工藤 悦子
1
,
山上 実紀
2
1札幌医科大学緩和医療学講座
2一橋大学大学院社会学研究科
pp.500-503
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101907
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はじめに
近年のがん罹患数増加に伴い、在宅医療や通院治療を選択する患者に対しては、病院という枠組みを超えた支援環境の構築が必要である。たとえば、外来化学療法を続けるがん患者は、身体的苦痛の緩和や生活の安定、自分のあり方に関する支援を求めており、それには患者や家族の潜在回復力に働きかけることが重要であると言及されている*1。がん対策基本法施行後、療養環境の整備が推進されているが、こうした総合的な患者や家族へのサポート体制は十分だとは言えない*2。がん治療の高度化や長期化に伴い長期的にがん体験者を支援していくシステムの確立が重要である。
本稿では、さまざまな療養環境にあるがん患者とその家族が長期的に主体性を発揮できる環境での支援を考えると同時に、がん患者やその家族が主体となるサポート環境とはどのようなものであるかを、相談サロンでの活動事例を通して検討した。
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