訪問看護と介護 16巻7号 (2011年7月)

特集 2012年診療報酬・介護報酬同時改定に向けて

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2012(平成24)年4月に予定されている診療報酬・介護報酬同時改定まで1年を切りました。

6月現在、東日本大震災の復興支援優先のため、見送るべきだという議論も出ていますが、今秋頃からは個別検討項目の審議や基本方針の策定が行なわれる予定です。

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2012(平成24)年4月の診療報酬・介護報酬同時改定まで1年を切りました。

今秋からは個別検討項目の審議や基本方針の策定が行なわれる予定です。

東日本大震災の衝撃が続くなか、実際に在宅ケアに携わる医師、訪問看護師、訪問介護職、ケアマネジャーそれぞれの立場から、来る同時改定に向けた現場の期待や問題意識、そして震災からの復興への道すじをひらく訪問ケアの可能性まで、話題は縦横につながってゆきました。

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 診療報酬と介護報酬が同時に改定される2012年は、総合的に幅広い議論を経て、より医療と介護のバランスをとり、シームレスに提供できるよう見直す機会であり、大幅な改定が見込まれている。この同時改定に向けて、そのプロセスを踏まえ、今後のチェックポイントを整理して考えてみたい。

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 1992年4月に老人訪問看護制度から始まった訪問看護ステーションによる訪問看護は、19年目に入りました。2000年には介護保険制度下で「要介護者等への訪問看護」も行なうこととなり、医療保険と介護保険の双方に係る訪問看護制度となっています。報酬改定は医療保険が2年毎、介護保険が3年毎に行なわれており、訪問看護関係者にとっては2008年(医療)、2009年(介護)、2010年(医療)と連続改定にかかわってきました。

 2012年は介護保険と医療保険の同時改定であることから、介護保険の訪問看護から医療保険適用となる疾病や状態等の調整の機会になると考えます。24時間体制で医療ニーズのある在宅療養者を看取りまで支援すること、在宅医療の担い手として、他機関・多職種との連携、地域包括ケアにおける在宅看護の評価が重要と考えます。

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 超高齢社会を急速に迎えつつあるわが国において、政府は、医療と生活の両方の視点をもって専門的支援を提供する訪問看護に大きな期待を寄せ、訪問看護事業が制度化されて以来約20年にわたり、診療報酬および介護報酬改定のたびに、訪問看護管理療養費や同基本療養費など、訪問看護に対する評価そのものの増額や、さまざまな加算の新設などの形で、政策的支持を行なってきた。

 しかし、にもかかわらず訪問看護ステーションの設置数と利用者数は、今なお伸び悩んでいる。その理由として、小規模経営かつ利用者個々の居宅を主とするサービス提供形態であるという特性ゆえに、経営効率が悪いこと、訪問看護師1人にかかる責任や負担が大きく高い能力が求められる一方で処遇がなかなか改善されないこと、加えて訪問看護師の人材不足や地域で働く看護師の教育体制整備が不十分であることなどが指摘されている。

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「訪問看護」から「退院調整」へ“25年ぶり”の病院勤務

 昨年4月に9年間の訪問看護師生活をいったんやめて、急性期病院の退院調整看護師になった。振り返れば病院という医療施設に身をおくのは1994年以来―いや、私は1984年には看護専門学校の教員になっており、学生実習についていって臨床に触れてはいたが、病院の職員として働くのは“25年ぶり”なのだ。その間、病院という医療機関はおそろしいほどの変化を見せた。

 1996年に病気療養中だった私は、黒江ゆり子先生(現・岐阜県立看護大学教授)に誘われて『Mastering Documentation』(邦題『看護記録をマスターする』1998年、医学書院)の翻訳に参加したが、そのとき初めて原文中で頻繁に使われる「クリティカル・パスウエイ」という言葉を知った。はじめは何を意味しているかさえわからないまま、当時サンフランシスコ市立病院にいたナースにその言葉を問い合わせると「それは、こちらでも新しいシステムなの」ということだった。

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 神奈川県看護協会では、神奈川県より委託を受け、訪問看護推進に係る実態調査を実施している。平成21年度は、「ケアマネジャーの訪問看護サービスに対する意識調査―訪問看護サービス導入を選択判断する際の要素について」を実施した。その結果、ケアマネジャーと訪問看護師が連携をとるうえで必要な要素である「医療についての情報提供」や「会話の中での専門用語」は、ケアマネジャーとしての経験年数や基礎資格により差があることがわかり、ケアマネジャーは「訪問看護ステーションの体制整備」や「質の高いサービスの提供」「ケアマネジャーへの教育支援」についても望んでいることがわかった。ケアマネジャーが望む連携の在り方を知ることは、在宅療養者にとって最適なサービス提供、すなわちそれぞれの専門性を生かし統合されたケアの実現につながる。

東日本大震災の被災地から

原発被害の現場から 長谷川 詩織
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 3月11日(地震当日) 今までに経験したことのない揺れだった。私はそのとき外勤中で、周囲を見渡すと、電信柱や信号機、家屋も何かの冗談かと思うほど揺さぶられていた。

 事業所に電話をするもつながらない。「今のうちにガソリンを入れたほうがよい」と直感し、スタンドへと車を走らせた。のちのちの状況を考えると、この判断は賢明だった。

訪問ほっとらいん

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 本年3月11日に発生した東日本大震災および原子力発電所の損傷により被災された方々に心からお見舞いを申し上げ、さらに被災地で真剣に働かれている皆様に敬意を表します。

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「障害を抱えて退院した患者さんたちのその後は?」

作業療法士で言語聴覚士の川本さんは、長年の病院勤務のあと、そんな疑問から、退院後の継続リハビリを目したデイサービスセンター「リハシップあい米ノ津」を立ち上げた。

以降、デイサービスに来られない方のためにリハを中核とする訪問看護ステーションを併設、多様なニーズに応じたデイサービスを複数展開、独自の“中規模多機能施設”へと発展させてきた。その熱意の源を聞いた。

連載 訪問看護 時事刻々・148

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 今国会で介護保険法改正案が議論されている。政局による不透明感があるが、順調に行けば来年春からは新制度がスタートする。ちょうど介護報酬・診療報酬の改定も同時なので、来年度は大きな変化の下でのスタートになるのだろう。

 訪問看護に関し、大きなテーマのひとつが介護職員等によるたんの吸引等の法制化。医療とは何か、看護とは何かという本質的な問題をはらむので、衆議院でも大いに議論になった。参考人として国会に招かれた日本訪問看護振興財団の佐藤美穂子常務理事は「安全性確保に何が大切か」との質問に対し、「登録基準で整っているだけではだめで、療養者に応じて訪問看護計画や評価確認の仕組みも作る必要がある」と明確に答えた。たしかに今の法律案では、研修を受けるなどの事前の対応への仕組みはある。しかし安全に行なわれているかどうかの評価の仕組みはない。医師や看護職にも共通するが、資格さえあれば十分な技術をもっているとの前提に立った仕組みで本当に安全が保てるのだろうか。一度資格をとったら死ぬまで有効という今の資格制度の本質的な問題につながる。せめて、事業所や病院・施設ごとに技術評価をするべきだ。

連載 在宅ケア もっとやさしく,もっと自由に!・22

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 研究者や、CNSコースで学ぶ方たちが、訪問看護ステーションにインタビューに訪れることが多くなりました。都合がつく限り応じるようにしているのは、これまでの実践を語ることで、その中にあるエッセンスが抽出され、論文としてまとめられて、後輩たちに伝えられるなら、これほど嬉しいことはないと思うからです。

 時に、「インタビュアの看護観は?」「実践の場でインタビュアは悩んでいるのかな?」と感じることもあります。この方たちが、経験豊富な訪問看護師(私!)にインタビューすることで、新しい境地が開けることを見越して、教員が差し向けているのではないか……などと想像しています。

連載 一器多用・第2回

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 実は、6年ほど前から、「育児」関係の講習や講演会をたびたび行なっています。テーマは「身体を痛めない抱っこと育児動作」です。

 しかし、私は育児の専門家ではありません。あくまでも医療・介護における介助技術が専門です。ではなぜ、専門外のことに継続的に取り組んでいるかというと……。ある共通点に気がついたからです。

連載 在宅ホスピスの現場から ターミナルケア実践からの12の学び・7

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 ある年のお正月を過ぎたころ、順子さんは、左肩と背部の痛みを継続して感じるようになりました。近医で検査を受けましたが、診断がつかずに時が過ぎ、5月の連休中には首の痛みが増し、呼吸の苦しさと発熱が生じ、総合病院に緊急入院となりました。

 検査の結果、肺腺がんおよび胃がんと診断され、放射線療法などがなされましたが、すでに全身状態が悪化し、積極的な治療は望めないと判断されました。そこで順子さんは、在宅緩和ケアを選びました。

連載 「介護」「看病」は“泣き笑い” ウチの場合はこうなんです!・第4回

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杏里 私は一家が共倒れになる前に介護サービスを利用して正解だったと思っているんだけど、世間体や他人が家に入ることへの抵抗感とか、いろんな不安を抱いていた母さんはどう思っているの?

母 介護サービスを受けることを迷っている人がいたら、「受け入れられることからでいいから、利用してみて!」って、アドバイスするくらい、今は介護サービスを利用してよかったと思ってる。

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 《看護ワンテーマBOOK》の一環として岸本裕充氏編著による『成果の上がる口腔ケア』が医学書院から上梓された。このシリーズでは1つのテーマを掘り下げているが、決して大上段に振りかぶったものでなく、実践に用いられる知識・技術が解説されている。口腔ケアをテーマとした本書は、歯科を専門としない看護師をはじめとする医療者向けに、上記の目的を十分に達しているものである。

読者の声

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看護の原点に感動した看護師の卵たち

眞鍋知子 群馬県・大学教員

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INFORMATION お知らせ

ニュース―看護と介護のこのひと月

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次号予告・編集後記 杉本 , 青木
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前号ニュース欄(p.518)にも載った、宮城県名取市の訪問看護師・遊佐郁さんの訃報。連載「在宅ホスピスの現場から」は、遊佐さんが生前に取り組まれた事例です。5月末に行なわれた遊佐さんの偲ぶ会と、同僚スタッフのみなさんのあの日の体験については9月号に掲載します。被災地からの声は、原発被害の福島から。宮城でも福島でも、地域に根ざした医療・福祉を行なってきた誰もが、その職能を超えて奔走し、被災の前線をまるで綱渡りでもするようにかいくぐっていた状況を知りました。名取の海岸で目の当たりにした津波の破壊力は凄まじいものでした。でも、そこで今も懸命に在宅医療・地域ケアに力を尽くされているみなさんの、人間の力の集積にも圧倒されたのでした。…杉本

 

現場人にとって、行政・立法の場は、とかく敬遠されがちな“お上”の世界。それも往々にして罵倒の対象でさえあるのが、洋の東西や時代を超えた事実です。ただ、ため息をつきながらでも、諦めずその時々の最善を尽くそうとする人がいます。「阪神の震災と今度の東日本との違い」として介護保険制度を座談会の席で指摘されたのは太田秀樹さん。この10年に皆さんが培われた在宅ケアの力が“どこででも”活用されるため、生のお声をまた感想としてお寄せいただければ嬉しいです。◎小社刊『看護研究』最新号(No.231)では「慢性の病いにおける他者への『言いにくさ』」に焦点を当てています。こちらもご一読をお薦めします。…青木

基本情報

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訪問看護と介護
16巻7号 (2011年7月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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