提言
介護概念の大転換?―社会福祉士及び介護福祉士法の改正法案を看護と法の観点から考える
西田 幸典
1
1横浜創英短期大学看護学科成人看護領域
pp.504-507
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101908
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はじめに
2011(平成23)年4月5日、第177回国会に、政府(厚生労働省所掌)から「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(以下、「本法律案」という*1)が提出された。本法律案は、「高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される『地域包括ケアシステム』の実現に向けた取組を進める」ものとして位置づけられている*2。その具体的内容として、6つの柱、①医療と介護の連携の強化等、②介護人材の確保とサービスの質の向上、③高齢者の住まいの整備等、④認知症対策の推進、⑤保険者による主体的な取組の推進、⑥保険料の上昇の緩和が掲げられている。
本稿では、2つめの柱(介護人材の確保とサービスの質の向上)の一項目である「介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等によるたんの吸引等の実施を可能とする」点に着目し、本法律案によって介護概念がどのように転換されようとしているのかについて問題を提起したい。なお、この項目に関する規定は、本法律案5条に示されている。
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