LiSA 26巻12号 (2019年12月)

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今日も目の前の患者の安全を守りきって1日が終わった。

体もココロもヘトヘトで,お腹はペコペコ。

日が沈んだ今これから実験だなんて,考えただけでもおっくう。

多くの臨床麻酔科医の心の叫びと思われる。

オペ室,術前外来,術後回診,カテ室,鎮静,産科病棟。さらにはICU,緩和,ペインなどなど。院内を駆け巡る麻酔科医の毎日は多忙を極め,業務が片づいたらすぐにでも帰路につきたい。だから基礎研究なんて,自分には無縁……,

とする前に「結構,面白いぜ」という話を聞きたくて,日本で臨床をバリバリやりながらも一流の基礎研究を続けている麻酔科医に集まってもらい,思いの丈を語っていただいた。

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コントロール不良な精神疾患合併妊婦における周産期管理をどのように行うかが,今回のテーマである。本症例では,肥満妊婦の鎮静という難しい状況も想定した。誤嚥のリスクをどのように評価し,麻酔管理を行うのかについて3施設にPLANを述べていただいた。

 当然,可能であれば区域麻酔が第一選択となるが,全身麻酔が必要な場合には筋弛緩薬の選択はスキサメトニウムかロクロニウムか,どのように超音波装置を活用するのか。読者の施設ではどのような周産期管理を行うのか,ぜひともわれわれと一緒に考えていただきたい。

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回のこれまでとはちょっと違うカンファレンスをお楽しみに!

徹底分析シリーズ 穿刺に伴う合併症への緊急対応

巻頭言 森下 幸治
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麻酔・集中治療・救急にかかわる医師であれば,血管や体腔の穿刺を行う機会は多いと思います。これらの手技は患者の病状をよくするために行いますが,手技に伴って思わぬ合併症を引き起こし,患者を苦しめてしまうことさえあります。合併症に対する対応は,通常,先輩医師たちから教わるものですが,急に発生することが多く,その場に経験豊富な先輩が立ち会っていない可能性もあります。そのため,手技を行う医師は,患者と自分を守るために事前に十分な知識を得ておくことが重要です。

 本徹底分析シリーズは,さまざまな血管穿刺,体腔穿刺に関して,臨床経験が豊富で,多くの研修医たちを指導し,合併症の修羅場に対応してきた医師たちによって執筆されており,実践的な内容となっています。また,合併症を減らす新たな取り組みとして,中心静脈穿刺の認定制度や,安全に血管・体腔穿刺が行えるようになるために必要なトレーニングのあり方として最新の米国のトレーニングについても取り上げました。さらに医療安全の観点から,緊急穿刺で同意書が取得できない場合や,メディカルリスクマネージメントについても取り上げています。全体を通読していだくことで,今後の穿刺に伴う合併症対策・対応への理解が深まり,多くの患者を救うことになればこの上ない喜びです。

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穿刺に伴う合併症には,その被害が拡大しないように,できるだけ早期に異変に「気づく」ことが重要です。この「気づき」は常に無意識に生じてくるわけではありません。臨床現場で「気づく」ためには,「眼を向ける意識」や「リスク感受性」が必要となります。穿刺の合併症に対する早期の「気づき」に必要であろうヒントを以下に述べます。

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救急の現場では,患者に意識障害があり,家族の付き添いもなく,必要な処置に関する同意書を得ることができないという場面に遭遇することは珍しくありません。よりよい治療をするための処置だから,患者さんのためだから,救命救急の現場だから,「同意書がなくても許される」と単純に割り切ってよいものでしょうか。治療を優先するためであっても,仮にその医療行為で事故が発生した場合に,法律家からどのような評価を受けるか考えておくことも重要なことでしょう。

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近年,中心静脈穿刺はリアルタイム超音波ガイド下穿刺が標準手技となり,動脈損傷や気胸といった合併症は確実に減少していますが,それでもゼロにすることはできません(表1)1)。少し乱暴な言い方ですが,それらは,昔,誰もが経験していた合併症で,そのたびに対応を経験にもとづき学んできたものですが,今後はそのような経験をしなくても独り立ちしなければなりません。

 本稿が,そんな中心静脈穿刺に長けた読者にもお役に立つものとなれば幸いです。

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中心静脈穿刺(中心静脈カテーテル留置)は,危険手技である。失敗すれば合併症だけでなく,死亡事故も起こり得る1)。このため,しっかりとした技術が要求される。要は,うまくなければいけないということだ。しかし自称エキスパート(私も?)も問題である。うまいからといって人を殺さないとも限らないからだ。このため,何らかの制約,つまり認定制度が必要である。ではどうやって,うまいかうまくないかを判定するのだろう。また,誰がそれを判定するのだろう。このように,認定制度は単純なようで複雑な問題を孕んでいる。

 本稿では,以上の問題を明らかにし,さらに自説を展開したい(むしろそっちのほうが問題?)。

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“see one, do one, teach one”はもう古い!?

日本の卒前医学教育と同様に,米国においても4年間の医学部教育の間で,穿刺やその他のベッドサイド手技のトレーニングに医学生が費やす時間は決して十分であるとはいえない。さらに,末梢静脈ラインの確保や尿道カテーテルの挿入といった基本的な手技についての教育にも,あまり重点が置かれていない。その理由の一つとして,これらの基本手技を実際の診療現場で医師が自ら行う機会がほとんどなく,その習得が必須と考えられていないことが挙げられる。例えば,通常の採血にしても,米国では専門の採血チームが行うことがほとんどであるし,末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)の挿入なども特別にトレーニングを受けた専門の看護師などが医師から依頼を受けて行っている。

 それに対して,中心静脈ラインや胸腔ドレーンの挿入といった,主に救急室や集中治療室で行われるような侵襲度の高い手技のほとんどは医師によって行われる(米国ではnurse practitionerやphysician assistantもこれらの手技を医師の指導のもとで行うことがある)。特に大学病院などの教育病院で研修医がこれらの手技を行うことが日常的であるのは日本も米国も変わらない。以前は“see one, do one, teach one”という言葉に象徴されるように,実際の症例からそれらの手技を習得していくのが研修医にとっての主なトレーニング方法であった1)。筆者も初期研修医の頃は,中心静脈ラインや胸腔ドレーンの挿入,気管挿管といった手技の経験を同期の研修医たちと競い合っていた。しかしながら,このようなトレーニング方法は医療安全の面からは決して推奨されるものではない。その代わり,最近ではoff the job trainingがさまざまな方法で積極的に行われている。本稿では,米国施設において行われている穿刺手技のoff the job trainingについて紹介する。

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体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)の導入において,最も合併症を伴う手技がカニュレーションである。ECMOでは,25Fr程度のカニューレを血管内に留置する。その際には血管損傷や周囲の臓器損傷など,いくつもの合併症のリスクを伴い,かつ,それらの合併症は往々にして致死的である。

 本稿では,ECMO導入時のカニュレーションの基本手技を振り返るととともに,カニュレーションに伴う合併症について修学し,筆者の経験も踏まえ,その予防策と合併症発生時の解決策を紹介する。

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近年は中心静脈穿刺や動脈穿刺を行う際に超音波を使用して血管解剖を確認し,超音波ガイド下に穿刺をする機会が多くなり,合併症の頻度は減っていると思われる。しかし,治療介入を必要とする合併症を目にすることは依然としてあり,発生後に円滑に対処するためにも治療のオプションについては知っておくべきである。

 本稿では,血管穿刺に伴う合併症に対するinterventional radiology(IVR)に関して,その適応や手技の実際などを解説する。

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血管穿刺に伴うさまざまな合併症が知られており,中には不幸な転帰をたどる合併症もある。手技中,ライン留置後に気づいてリカバーできればいいが,重篤な状況に陥る可能性もある。手技に習熟していない研修医はもちろん,熟練の域に達した指導医であっても,その可能性はゼロではない。

 本稿では,血管穿刺に伴う合併症〔日常業務で多く行う中心静脈穿刺に少し重点をおいて(コラム)〕に対する注意点と外科治療について解説する。

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胸腔/腹腔穿刺は数ある手技の中でも比較的高頻度で行われている。外科医のみならず内科医や集中治療医にとっても馴染み深い手技であり,難易度も決して高くはないが,その合併症は多岐に渡る。不運にも合併症を起こしてしまい,肝を冷やしたり痛い目にあったりした読者もいるだろう。

 本稿では,胸腔/腹腔穿刺における合併症に焦点を当て,その対応について解説する。

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医療安全は医療リスク

いまや医療施設で「医療安全」を耳にしない日はない。病院は医療安全体制を確保せねばならず,医師に限らずすべての医療従事者は「医療安全講習」を受講する義務がある(医療機能評価機構基準)。医療安全はもはや神事。さあ一緒にご唱和を,「安全第一」。

 対するマスコミは,医療事故には鵜の目鷹の目で,察知するや一斉に書き立てる。刑事(業務上過失致死傷容疑)でも民事(損害賠償請求)でも,電波で,活字で,ネットで,盛大に人民裁判が繰り広げられる。事実関係不明なのに医療者はすでにクロだ。「また病院で医療ミス!!」これでは国民はおちおち病院にかかれまい。

こどものことをもっと知ろう 第9回

川崎病 石戸 博隆
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麻酔科医A:

今度,予定帝王切開になる35歳の女性が,昔川崎病だったんだって。本人はたぶん大丈夫だって言うんだけど,詳しい病歴は全然知らないみたいだし,本当のところ,どうなんだろう。

麻酔科医B:

心エコーじゃ大人の冠動脈は見えにくいし,妊婦さんで運動負荷もできないし,症状のない人に心筋シンチや冠動脈造影もナニだしねえ。

麻酔科医A:

川崎病ってこどもの病気だと思いがちだけど,今の時代,けっこう大人もいるんだよなあ。

diary

秋田県湯沢市 鍋島 謙一
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秋田県の湯沢市は南部に位置しており,出羽の玄関口として栄えていました。江戸時代には,当時日本最大と謳われた「院内銀山」を内包していたことから,財源に恵まれ,「出羽の都」と称されていたようです。さらに鉱山を中心に酒造が盛んに行われ,現在も四つの蔵元があります。2020年東京五輪招致のレセプションでは,木村酒造(写真1)の「福小町」が猪瀬直樹元東京都知事の手に握られていました。また湯沢市の南,栗駒山の麓には秋田最古の温泉で武者小路実篤も愛したと言われる秋の宮温泉郷があります。

 当院は,秋田県内の八つの二次医療圏の一つ「湯沢・雄勝医療圏」を担っており,湯沢市および雄勝郡(「西馬音内盆踊り」で有名な羽後町や,東成瀬村)を圏域としています。常勤の麻酔科医1名,歯科麻酔科医1名(筆者)で日々の麻酔業務を行っています。手術室は,すべての部屋に花の名前がついており,歯科が使うのはタンポポです。ほかに,リンドウ,スズラン,シラユリ,ヒマワリ,ナデシコがあります。

髙橋トレーナーが解決!

オペ室でのびのびストレッチ 予告編
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1年目,先輩たちについていくのが精一杯。3年目,少しだけ余裕が生まれてきたけれど,その分ハードワーク。5年目,後輩を指導する立場になり,ストレスもたまりやすい。そして10年目にもなれば,麻酔科リーダーとして現場のマネジメントや他職種との関係性を築いていかなれけばならない。

そんな麻酔科医は,身心ともにいつもリフレッシュして,体調万全にしないとね。

そこで次号からストレッチの名手である髙橋トレーナーが麻酔科医のカラダの悩みに応えます!(※ストーリーの都合上脚色があり,登場人物のプロフィールは実際の状況とは異なります)

連載

THE Editorials
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Anesthesiology

Editorial:

Pandit JJ, Eriksson L. Reversing neuromuscular blockade:Not just the diaphragm, but carotid body function too. Anesthesiology 2019;131:453-5.

Article:

Broens SJL, Boon M, Martini CH, et al. Reversal of partial neuromuscular block and the ventilatory response to hypoxia:a randomized controlled trial in healthy volunteers. Anesthesiology 2019;131:467-76.

■筋弛緩薬の効果残存は術後合併症発生率を増加させる

現在,日本で最もよく用いられている脱分極性筋弛緩薬は中短時間作用型に分類されているロクロニウムである。ロクロニウム1mg/kgを投与した場合の平均作用持続時間は50分程度であるが,ときには2時間以上も作用する場合がある。挿管時だけに使用した場合でも,筋弛緩薬の拮抗は十分に行わなければならない。

 四連反応(TOF)比0.7〜0.8では,低酸素に対する頸動脈小体の感受性低下,オトガイ舌筋筋力低下による吸気時の上気道虚脱により,低換気や低酸素血症が起こる危険性がある。1回換気量や肺活量などは保たれるが,1秒率は低下する。オトガイ舌筋筋力低下により嚥下障害が起きたり,上部食道括約筋緊張の低下により誤嚥を起こす危険性もある。無気肺や肺炎の頻度も増加する。TOF比が0.9より大きいとき,十分な筋弛緩作用の回復がみられたと判断される。

クラシック音楽談義 ゆるりと音楽の話をしませんか 第8回

カストラートの出自 仲西 未佳
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前回は,ヨーロッパで17世紀から18世紀にかけて人気のあった去勢歌手,カストラートが誕生した経緯についてお話しました。いったい,どんな少年がカストラートになったのでしょうか。

Enjoy! ワイン

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こんにちは!ワイン安部です。

先日,知人宅でワイン会を行いました。

ワインを持ち寄り,ワリカンで楽しむ企画です。おつまみ,食事も持ち寄りです。

皆でシェアすれば,あこがれのあのワインも比較的安価で味わうことができますし,高価なワインは大勢で楽しむとよりおいしいというもの。

ご自宅に眠っている高級ワイン,なかなか抜栓の機会がないという方は,ワイン会がオススメです。

さて今回は,赤ワイン本番の寒い時期にぴったりの,「冬にオススメの赤ワイン」です。

Tomochen風独記

(59) K1病棟勤務 概要 山本 知裕
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ドイツ小児心臓センターDeutsches Kinderherzzentrum(DKHZ)における心臓手術について,複数回にわけて紹介してきました。心臓手術後の患者は,循環器ICU(K1)病棟へ送られて,術後管理が行われます。

Medical Books 自薦・他薦

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基本情報

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LiSA
26巻12号 (2019年12月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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