LiSA 26巻10号 (2019年10月)

異国交流インタビュー

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数年前,ある国内学術集会で一般演題を発表する外国人を発見。好奇心に任せて話してかけてみた。淀みない流暢な日本語での返答にも驚いたが,最新の麻酔事情から日本のゲームやドラマのことまでカバーする守備範囲の広さにも脱帽した。そんな金 亨泰先生は,今や日本人よりも頻繁に日本の学術集会に登場し,講演者・インストラクターとしての評判も上々だ。日韓を往来する中で日本の麻酔はどう見えるのか。インストラクター業務で来日中の彼に聞いてみた。

症例カンファレンス

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回,各施設のPLANをお楽しみに!

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先天性心疾患をもつ患者の多くが成人まで生存し1),心房中隔欠損(ASD)や動脈管開存(PDA)など,単純な先天性心疾患をもつ患者ならば天寿を全うすることができる時代になった。これらの患者が非心臓手術を受ける数も年々増加している2)。オペが決定されれば,非先天性心疾患の患者と比べ,術後合併症の発生率がオッズ比(OR)1.44と高い2)ため,予後がよいハイボリュームセンターへの転院が第一選択になる3)

 しかし,日本はハイボリュームセンターがまだ確立していないこともあり,地域に転送先がない,いわば最後の砦に相応する病院では,こうした患者を緊急に受け入れる可能性が十分にある。

 そうした時に,どう対応するのか。今回の症例カンファレンスでは,Fontan循環を有する成人先天性心疾患を有する患者をテーマに,3施設の麻酔科医師に果敢に挑んでいただいた。

徹底分析シリーズ 知っておきたい 鍼治療

巻頭言 大畑 めぐみ

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本徹底分析シリーズでは,医師が鍼治療を行うようになることを期待しているわけでは決してない。企画者である筆者が未来に期待するのは,医師と鍼灸師の連携が強くなること,そして鍼灸の保険適応となる疾患が増えること,の二つである。

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鍼灸の歴史は長らく伝説の祖述に甘んじてきたが,20世紀の後半から人文科学と呼べる段階へ突入した。それは1960年代後半から始まった中国の考古学的な発見1〜3)および文献学や医古文の成熟4,5),1970年代後半から盛んとなった日本の国宝・重要文化財を基軸とする現存史料の書誌研究6,7)と影印公開(コメント1)によってもたらされた一大変革であった。さらに2010年以降は,古医籍のデジタル・アーカイブス化が進展し,漢韓籍とその和刻本はもちろん,著名医家の自筆本から通俗書の版本に至る国内の現存書が,インターネット上でしかもフルカラーで閲覧できるようになってきた(メモ1)。まさしく「大公開時代」の幕開けである。

 一次史料を利用しやすくなったとはいえ,鍼灸の歴史は「竜頭蛇尾(古代>現代)」かつ「西高東低(中国>日本)」で叙述されるのが常である。世界に類例のないユニークな医術の歴史となれば,その起源に最も関心が高まるのは当然だから仕方がない8〜14)。しかし,古代中国(出土文物・伝世古典)の研究成果に紙数のほとんどを費やしてしまえば,現代の日本鍼灸の直接の淵源となる近世(流派勃興と「腹診」「打鍼」「管鍼」の創意,など)から近代(法整備と「小児鍼」普及の関連性,古典復興すなわち経絡治療・太極療法の誕生,など)を詳述する余裕は残されていないのである。

 とはいえ,鍼の臨床応用を前提とする麻酔科専門誌の特集となれば,古代への憧憬より概説としても機能する“生きた”歴史のほうが望ましいであろう。そのためには,古代の中国と現代の日本を紐帯する近世から近代の歴史(戦国〜昭和前期)を中核に据えるのが最適と考える。

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伝統医学分野の国際標準化は1980年代に世界保健機関(WHO)で始まり,今世紀に入ってからは国際標準化機構(ISO)でも規格開発が始まった。補完代替医療complementary and alternative medicine(CAM)の一翼として漢方,鍼灸が注目され,鍼をはじめとする機器や生薬・製剤の安全性と品質を担保する規格が作られることは,臨床家や患者の利益に直結する。しかし二千年に及ぶ歴史をもつ伝統医学の標準策定は単純ではなく,また同分野での覇権を目指す諸国の動きもあり,標準化をめぐる動きは国際政治と同種の緊張を孕んでいる。

 本稿では,伝統医学の中でも鍼灸分野の標準化の流れを概観するとともに,これまでWHO,ISOで作成された主な国際標準(規格)について解説する。

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現代医学的治療に抵抗性で臨床家を悩ませる慢性疼痛において,鍼灸治療は,長い伝統をもち一般に受け容れられていることから,一つの選択肢として期待されている。従来のevidence-based medicine(EBM)の手法で生物学的有効性のみを評価した場合,鍼灸の評価は必ずしも高くないが,慢性疼痛の治療では,心理的精神的側面に働きかける鍼灸治療の特性を考慮に入れるべきであり,そのような観点から鍼灸を再評価しようとする試みも存在する。

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今や,医師の90%以上が漢方を使ったことがあるといわれる時代,同じ根元をもつ鍼灸治療との併用は社会保険の経済効果,健康寿命の延伸としても有用です。

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鍼は,東アジアの伝統医学であるが,理論的に同様の背景をもつ漢方と比較して,方法論的には地域特有の資源を必要とせず,簡便かつ再現性が高いため,他地域に普及しやすい側面をもっていた。その治療根拠や理論に地域や人種を超えて普遍性を求める試みは,むしろ東アジアの外で蓄積され始めた。

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東京大学医学部附属病院(以下,当院)では現在,リハビリテーション部の中に鍼灸・物理療法部門があり,鍼灸師が常勤している。鍼灸・物理療法部門は鍼灸治療(自由診療)を中心に,指圧・按摩・マッサージ等の手技療法,温熱・電気療法等の物理療法を用いて,痛みの軽減を中心に拘縮予防,血行改善などの治療を行っている。特に鍼灸治療(自由診療)を大学病院内で行っている数少ない施設であり,スタッフは鍼灸・あん摩・マッサージ・指圧師の免許をもつ者が東洋医学的物理療法の臨床・研究・教育に従事している。

 本稿では,当院の鍼灸治療の歴史から,臨床の実際,医療の中における鍼灸の役割,今後の課題について紹介する。

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本稿では,医療鍼灸協会の設立趣意,目的,活動内容,今後の課題,将来像などについて述べる。これを機に一人でも多くの読者に本協会の活動をご理解いただき,さらにご協力もいただければ望外の幸いである。

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鍼灸というと,腰痛や肩こりに対して行われるという印象が今でも一般的なため,難治性疼痛を扱っているという自負のある(?)ペインクリニシャンの大部分からは相手にされないのが現状であろう。彼らのほとんどは,鍼灸治療を経皮的神経電気刺激transcutaneous electrical nerve stimulation(TENS)のようなものととらえ,経穴や経絡などは非科学的として歯牙にもかけない。文献検索をしても鍼灸がペインクリニックの世界でそれほど魅力的な治療手段には思われないので,研究熱心なペインクリニシャンほど,そのような意を強くもつかもしれない。

 筆者は,約20年前からペインクリニックの臨床に鍼治療を取り入れている。独善的な治療に陥らないように,さまざまな鍼の現状も見てきたつもりである。その経験から言えることは,鍼治療が疼痛治療に有益かは「使いよう」であり,まだまだ研究の余地もある。

 本稿では,強いエビデンスになりにくい鍼治療に対する私見を述べる。

徹底分析シリーズ 番外編 もっと知りたい鍼治療

日本鍼灸の段階論—前編 長野 仁
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中国大陸に発祥した鍼灸は,中国医薬に伴って朝鮮半島から日本列島へと伝播し,中国の中医学,韓国の東(韓)医学,日本の東洋(漢法)医学の一翼として,各国民の疾病治療と健康増進に役立ち続けている。

約2000年(後漢⇒現在)の経過と約2000キロ(北京⇔東京)の東漸(一部は西漸),すなわち各地域・各時代の気候風土・文化背景の影響を受けて,発祥当時の鍼灸(原理論)はすでに存在せず,各国なりに変容を遂げた姿で命脈を保っているわけである。

漢字で表記してしまえば「鍼」と「灸」だが,どの国の,どの時代の,どの立場の「鍼」もしくは「灸」なのかによって,鍼具も灸具も刺し方も据え方も著しく異なっているのはそのためである。

前述したような差異,特に中国と日本の違い(段階論)がいつ頃から,どのように生じてきたのだろうか。

こどものことをもっと知ろう 第7回

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成人・小児を分け隔てなく診療する麻酔科医が読んでいるLiSAで,「小児の心機能について何を述べればよいか?」と考え,心臓のメインの機能である全身の血流を確保するポンプ作用における成人と小児の差異に注目することとしました。心血管系とそれを取り巻く臓器環境が成熟し,一定の形が構築された成人と比べ,小児では胎生期からの成長過程で,それらは大きく変化していきます。これらの“ライフステージに応じた変化”が,その差異を読み解くヒントとなりそうです。

“ライフステージに応じた変化”は,「胎内循環から胎外循環への生理学的変化」や「胎生期から始まる解剖学的異常」といった心血管系のみならず,全身を含んだ身体的・精神的成熟度を考慮する必要があります。具体的には心血管系の成長に伴う変化だけではなく,小児特有の視点で全身諸臓器の成熟,こどもの生活,こどもの嗜好性,こども自身の考え方など,「こども目線」でとらえていくとわかりやすいかもしれません。

 では,小児における全身の血流が確保された状態がどのようなものか,“ライフステージに応じた変化”を含めて考えていきます。

連載 判例ピックアップ 第28回

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●Summary

悪性高熱症はきわめてまれな病態であるが,発症後に急速に状態が悪化して死亡するなど,重篤な結果に至る症例も少なくはない。しばしば患者側はその結果に納得がいかず,医師・医療機関に対して損害賠償を請求し,最終的には医療訴訟として取り扱われてきた。今回は,悪性高熱症が関連する11件の事案1〜13)の概要を述べ,争点となりやすいポイントについて解説する。

連載

THE Editorials
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The New England Journal of Medicine

Article (Perspective):

Kim J, Farchione T, Potter A, et al. Esketamine for treatment-resistant depression - First FDA-approved antidepressant in a new class. N Engl J Med 2019;381:1-4.

■エスケタミン(esketamine)はどんな薬物?

ケタミンは静脈麻酔薬の中でも特異な薬物である。大脳皮質や視床を抑制する一方で,大脳辺縁系や網様体賦活系を活性化することから,解離性静脈麻酔薬と呼ばれている。鎮痛作用をもち,交感神経系刺激作用により血圧上昇や心拍数増加,気管支拡張などの作用をもつ。N-methyl-D-asparate(NMDA)受容体拮抗薬であるほか,ドパミン取り込み抑制作用ももつ。ニコチン性アセチルコリン受容体や,過分極賦活型チャネルへの作用もあるとされている。幻覚などを起こすことからパーティードラッグ「スペシャルK」などとも呼ばれている。日本では2007年に麻薬指定されている。

 麻酔科医が静脈麻酔薬として使用するケタミン製剤はラセミ体である。一方,esketamineはケタミンのS(+)光学異性体である。esketamineは欧州で静脈麻酔薬として用いられるほか,米国では2019年に抗うつ薬として認可された。静注のほか,鼻腔スプレーとして投与できる。

クラシック音楽談義 ゆるりと音楽の話をしませんか 第6回

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今月号からは,近世のオペラ界を席巻したカストラート(去勢された男声歌手)について紹介します。

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こんにちは!ワイン安部です。

最近,さまざまな国の生産者から,「今,韓国が伸びている」という声を聞きます。中国,香港,シンガポールとともに,韓国でもワインブームが起こっているらしく,世界のワイン市場において,韓国がそのほかの国とともに注目されているそうです。

今回は,そんな韓国料理とワインのマリアージュをご紹介します。

diary

茨城県水戸市 島田 憲佑
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茨城県の中央に位置する水戸市は人口約27万人の県庁所在地です。ドラマでおなじみの『水戸黄門』や日本三名園の一つである偕楽園などが有名で,古くから歴史ある土地として知られています。

 偕楽園の梅の花(写真1)が見頃となる2月下旬から3月にかけて,毎年多くの人で賑わいます。偕楽園に隣接した千波湖は,ランナーからも人気です。夏には,千波湖が会場となって花火大会も催されます。

Tomochen風独記

(57) 心臓麻酔—止血剤 山本 知裕
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ドイツ小児心臓センターDeutsches Kinderherzzentrum(DKHZ)における心臓麻酔について,人工心肺離脱まで紹介してきました。人工心肺離脱後に待ち構える課題は止血です。

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基本情報

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LiSA
26巻10号 (2019年10月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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