徹底分析シリーズ 番外編 もっと知りたい鍼治療
日本鍼灸の段階論—前編
長野 仁
1
1森ノ宮医療大学大学院
pp.1033-1040
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201497
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中国大陸に発祥した鍼灸は,中国医薬に伴って朝鮮半島から日本列島へと伝播し,中国の中医学,韓国の東(韓)医学,日本の東洋(漢法)医学の一翼として,各国民の疾病治療と健康増進に役立ち続けている。
約2000年(後漢⇒現在)の経過と約2000キロ(北京⇔東京)の東漸(一部は西漸),すなわち各地域・各時代の気候風土・文化背景の影響を受けて,発祥当時の鍼灸(原理論)はすでに存在せず,各国なりに変容を遂げた姿で命脈を保っているわけである。
漢字で表記してしまえば「鍼」と「灸」だが,どの国の,どの時代の,どの立場の「鍼」もしくは「灸」なのかによって,鍼具も灸具も刺し方も据え方も著しく異なっているのはそのためである。
前述したような差異,特に中国と日本の違い(段階論)がいつ頃から,どのように生じてきたのだろうか。
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