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THE Editorials
pp.1044-1047
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201500
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The New England Journal of Medicine
Article (Perspective):
Kim J, Farchione T, Potter A, et al. Esketamine for treatment-resistant depression - First FDA-approved antidepressant in a new class. N Engl J Med 2019;381:1-4.
■エスケタミン(esketamine)はどんな薬物?
ケタミンは静脈麻酔薬の中でも特異な薬物である。大脳皮質や視床を抑制する一方で,大脳辺縁系や網様体賦活系を活性化することから,解離性静脈麻酔薬と呼ばれている。鎮痛作用をもち,交感神経系刺激作用により血圧上昇や心拍数増加,気管支拡張などの作用をもつ。N-methyl-D-asparate(NMDA)受容体拮抗薬であるほか,ドパミン取り込み抑制作用ももつ。ニコチン性アセチルコリン受容体や,過分極賦活型チャネルへの作用もあるとされている。幻覚などを起こすことからパーティードラッグ「スペシャルK」などとも呼ばれている。日本では2007年に麻薬指定されている。
麻酔科医が静脈麻酔薬として使用するケタミン製剤はラセミ体である。一方,esketamineはケタミンのS(+)光学異性体である。esketamineは欧州で静脈麻酔薬として用いられるほか,米国では2019年に抗うつ薬として認可された。静注のほか,鼻腔スプレーとして投与できる。
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