徹底分析シリーズ 知っておきたい 鍼治療
鍼治療を臨床に取り入れているペインクリニック専門医からの提言—国内外の鍼灸教育システムにかかわった経験からみえること
高橋 秀則
1,2
Hidenori TAKAHASHI
1,2
1袖ヶ浦さつき台病院 麻酔科
2帝京大学附属池袋クリニック 疼痛緩和内科
pp.1024-1028
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201495
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鍼灸というと,腰痛や肩こりに対して行われるという印象が今でも一般的なため,難治性疼痛を扱っているという自負のある(?)ペインクリニシャンの大部分からは相手にされないのが現状であろう。彼らのほとんどは,鍼灸治療を経皮的神経電気刺激transcutaneous electrical nerve stimulation(TENS)のようなものととらえ,経穴や経絡などは非科学的として歯牙にもかけない。文献検索をしても鍼灸がペインクリニックの世界でそれほど魅力的な治療手段には思われないので,研究熱心なペインクリニシャンほど,そのような意を強くもつかもしれない。
筆者は,約20年前からペインクリニックの臨床に鍼治療を取り入れている。独善的な治療に陥らないように,さまざまな鍼の現状も見てきたつもりである。その経験から言えることは,鍼治療が疼痛治療に有益かは「使いよう」であり,まだまだ研究の余地もある。
本稿では,強いエビデンスになりにくい鍼治療に対する私見を述べる。
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