LiSA 26巻1号 (2019年1月)

異職交流インタビュー

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選手が毎年入れ替わる学生スポーツで頂上を維持することは至難の技であるが,岩出雅之監督が率いる帝京大学ラグビー部は,全国大学選手権で9連覇中である。常勝軍団の秘訣は何か。

 2年前の日本臨床救急医学会での講演を拝聴し,岩出監督が「脱体育会系」の自立型組織への転換を図り結果を出してきたことを知った。まず指導者が変わらなければならないという話は,体育会的徒弟制の体質を残す医学界で医学生や研修医の教育に取り組む私にとって「目から鱗」であった。岩出監督の組織マネジメント論を広く全国の指導的立場の麻酔科医に伝えたい,若手麻酔科医にもチームの一員として自律的に成長することの意義を今一度考えてもらいたいという思いを胸に,ラグビーそのものを切り口に,「岩出流」の本質をさらに引き出そうと臨んだ。

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医学の進歩に伴う高齢化の到来という時代背景から,合併症を抱える高齢者の手術が増えている。きわめてリスクの高い高齢患者の手術施行件数が増加しており,症例報告なども上がっている。

 日常臨床で,リスクは高いが手術の施行に待ったなしの症例に出会うことは多い。麻酔をかけることが困難な症例に対する明確なガイドラインもなく,判断は個々の麻酔科医に任されることになる。「負け戦」となる明らかな根拠があれば,患者を守る観点からも手術を止めるべきだが,そういう症例は実はあまり多くない。

 提示症例のような判断に迷う麻酔管理をどう扱うかは,それこそ麻酔科医の腕の見せどころであり,各PLANは非常に価値のあるものとなっている。読者諸兄も自分ならばどうするかという視点で読み進めていただきたい。

 どんな時でもそうだが,大事なことは,主科との密なコミュニケーションと,患者との信頼関係の構築になるだろう。

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回,各施設のPLANをお楽しみに!

徹底分析シリーズ 輸血合併症を回避しよう

巻頭言 張 京浩
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医師であれば誰でも輸血を指示できる。手術麻酔を担当する麻酔科医であれば,毎日その可能性はある。しかし,麻酔科医に向かって「輸血療法に詳しい人?」と問いかけたら,何人の手が挙がるだろう。かくいう私も手を挙げにくい。一方,ある輸血の教科書の冒頭には,輸血学の専門家からの次のようなメッセージが掲げられていた。

「輸血同意書にサインした患者やその家族は,まさかそれを求めた主治医が輸血のことをあまり知らない,などとは思ってもいないであろう」

 そこで本徹底分析では,「回避すべき輸血療法の合併症」に焦点を絞り,なぜ合併症が起こるのか,何を避けなければならないのかを,研修医に尋ねられたときにもしっかり説明できるように深く学ぶことを企図した。多少複雑な事例も取り上げながら輸血療法の本質的な部分を論じ,麻酔科医の“輸血アレルギー”を多少なりとも軽減したいと考える。

 なお,この企画を検討した編集会議で,順天堂大学医学部附属練馬病院 麻酔科・ペインクリニックの岡田尚子先生から,輸血医学教育のためのe-learningが紹介された(http://amed-elearning.com)。輸血療法に興味のある読者は,ぜひ併せて活用されたい。

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【症例】

63歳の男性。血液型A(+)。翌日の膵臓がんの手術に備えてA(+)赤血球液(RBC)6単位をオーダーし,クロスマッチを依頼した。輸血部からクロスマッチの主試験ですべて凝集ありとの連絡があった。

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【症例】

胎児心拍数モニタリングでsinusoidal patternを認めたため,妊娠37週5日に近医から総合周産期母子医療センターに母体搬送された(臨床メモ)。胎児心拍数モニタリングで遅発性一過性徐脈を頻回に認めたため,同日,緊急帝王切開で出生した。出生時,児は啼泣が弱く筋緊張低下を認めた。蘇生の初期処置を行い,啼泣は認めたが全身蒼白なため新生児集中治療室に入室した。ヘモグロビン(Hb)7.0g/dLの貧血を認め,赤血球製剤がオーダーされた。児の血液型は,A型・Rh(D)陽性と判定され,A型Rh(+)をオーダーしたが,血液製剤がなかなか届かない。輸血部に問い合わせると,クロスマッチ(主試験)でわずかに凝集が認められ,再検しているとのこと。血液検体に取り違えはないかと逆に聞かれた。そんなことはないと思うのだが…。

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今から40年近く昔の個人的なことで大変恐縮だが,予備校時代に大変尊敬していた生物のY先生が,メンデル遺伝の授業のときに「ABO血液型と性格が関係するなどというのは日本だけで話題にされることだ。ABO以外にも血液型は数百もある。そのすべてで性格が関連するというのか。まったくもって非科学的で嘆かわしい」と話していた。

 そうは言っても,最近でも若い研修医から「先生,血液型は何型ですか?」と聞かれることがあり,O型だと答えると「へー?意外」とか「やっぱり」とか言われる。そんなときには「じゃあ,S先生は何型?」とか,「K先生が几帳面なのはB型だから?」などと返答して話を合わせることにしている。仮に生物のY先生にならって,「血液型は赤血球抗原だけでも300ある。そのそれぞれについて調べて多変量解析して性格を分析したのなら,多少,科学的だけどね」などと言おうものなら,若い者との大事なコミュニケーションのきっかけを失いかねない。

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輸血療法は,単に欠乏した成分もしくは機能不全の成分の補充にとどまらず,広く細胞療法へと発展し,現代医療にとって不可欠な治療法となっている。しかしながら,輸血療法はヒト由来の血液を投与するがゆえに,感染血液を媒介とした感染症や免疫学的副作用を根源的に排除することは困難である。中でも血液型(ここでは主として赤血球を指す)の不適合による免疫反応は重篤な結果をまねくことが多く,時には死に至ることがある。

 本稿では,輸血における適合性とは何か,異型輸血と不適合輸血とは何かなど,日常臨床において誤解されやすい点について概説する。内容的には一部他稿と重複することがある。

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血小板は一般臨床医にとっては,ややなじみの薄い細胞と思われる。血小板は核をもたない微小な細胞で,直径約2μmの円盤または碁石状の形状を有しており,末梢血中には約15万〜35万/μLの血小板が循環している。血小板は止血機構に必要不可欠な細胞であり,血管損傷時にはすみやかに損傷部位に粘着し止血する。血小板減少は,貧血に次いで一般臨床医が日常最も遭遇する血液異常の一つであり,肝疾患などでは血小板数15万/μL未満への減少を肝線維化の指標としている。一般的には血小板数が10万/μL未満に減少した場合,血小板減少とすることが多い。

 本稿では,血小板減少の原因およびその対処法としての血小板輸血を中心とした治療法をわかりやすく概説する。

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日本赤十字社血液センターは,血液製剤の安全性の向上を目的としてさまざまな対策を実施している。これらにより,日本の輸血用血液製剤は,世界中で最も安全な血液製剤である。しかしながら,注射薬などと異なり,ヒトの血液を原料としていること,細胞成分であることなどの理由から,一定頻度で重篤な副作用を発症する。ここでは免疫学的な機序による溶血性副作用以外の代表的な重症副作用を述べる。

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麻酔科医は,目の前の患者の輸血開始のタイミングやその投与単位数を考えるとは思うが,自分が投与した輸血がどのように管理されて自分の手元に届いているかまで普段から考えている方は多くはないであろう。

 本稿では,各病院での院内輸血部が担っている役割と血液製剤を取り巻く現状を簡単に説明したい。

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はじめにおことわり

LiSA 2018年2月号に掲載された「麻酔を支える自然科学(その1)」で,編集部は3名の読者の存在を確認したそうである。すっかり気をよくした編集嬢が「(その2)を12月25日までに書き上げるように」と御礼の申し上げようもない「ご依頼」をくださった。(その1)の末尾で「万一『次』がある場合は,アナログ式流量計の謎を考察してみたい」と書いたものの,1年近く経っても「謎」の解明は進んでいない。ここは潔く「流量計」の謎は水に「流し」,流体力学以上に忌み嫌われている数学の話でお茶を濁すことにしたい。言うまでもないが,(その1)同様,この文章を読んで得るものは限りなく0に近い(早速「極限」の概念登場である)。

AYBのresidencyブログ

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8月28日(火)

「区域麻酔のシリンジが変わるのは知っているよね?」

紹介

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2014年にドレーゲルジャパン社(以下,ドレーゲル社)から発売されたDräger Perseus A500は,タービン式の人工呼吸器を備えた画期的な麻酔器である。

 麻酔器に搭載される人工呼吸器の駆動方式は,主にピストン方式かベローズ方式である。ピストン方式の場合,送気される量は電気駆動のピストンが動いた距離で決まる。一方,上昇型ベローズ方式はガス駆動であり,駆動ガスがベローズを変位させることにより送気される。

 現在日本における麻酔器のシェアは(おおよその推測で)上昇型ベローズ方式6割弱,ピストン方式3割,下降型ベローズ方式1割強となっているが,Perseus A500は,これらとはまったく違う構造になっている。

連載

THE Editorials
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Anesthesiology

Editorial:

Fleisher LA. Preoperative cardiac evaluation before noncardiac surgery:Reverend Bayes's risk indices and optimal variables. Anesthesiology 2018;129:867-8.

Article:

Glance LG, Faden E, Dutton RP, et al. Impact of the choice of risk model for identifying low-risk patients using the 2014 American College of Cardiology/American Heart Association Perioperative Guidelines. Anesthesiology 2018;129:889-900.

■臨床ガイドラインのもつ意味と非心臓手術のリスク評価の流れ

日常臨床でガイドラインは,decision-makingや,治療方針を決定するために広く用いられている。だが,ガイドラインは絶対的に守らなければならないものではない。「旅行ガイド」と同じく,その道筋のいくつかを示したものである。強い推奨もあれば弱い推奨もあり,エビデンスのレベルもさまざまである。

 非心臓手術における心臓リスクの評価として,古典的であり,最も有名なのは1977年に発表されたGoldman Cardiac Risk Indexである。これは,41歳以上の患者1001人を対象に,術後の生命を脅かしたり致命的となる心臓合併症と,さまざまな術前要因について前向きに検討して作成されたものである。しかし,そのスコア付けには手間がかかったことを覚えている。その後に出たRevised Cardiac Risk Index (RCRI) は,単施設の患者4135人のデータから作成されたものであるが,わずか六つの危険因子からなり,計算も容易で,非心臓手術の心臓リスクの層別化に現在も広く用いられている。最近用いられているAmerican College of Surgeons-National Surgical Quality Improvement Project (ACS NSQIP) risk calculatorは,約400施設,140万人ものデータを電子的に取り込んで作成されたものである。心臓リスクだけでなく,他の合併症リスクについても20の危険因子から層別化できる。National Surgical Quality Improvement Program Myocardial Infarction or Cardiac Arrest (NSQIP-MICA) calculatorも同様に,大量の患者データを電子的に取り込んで,心筋梗塞や心停止のリスクを層別化できる。

 こうしたcalculatorは,予測精度(感度,特異度,陽性あるいは陰性的中率),使用の容易さや,予測される合併症の範囲などが異なっている。これらのcalculatorをどのように利用してガイドラインをつくり上げるかは重要な課題である。

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明けましておめでとうございます。ワイン安部です。2019年もよろしくお願いいたします。

日欧経済連携協定(EPA)が,2019年2月に発効されることになりました。10月の消費税増税までが,欧州産ワインを安く買うチャンスですよ!

さて今回は,シャンパーニュにまつわる専門用語の後半です。

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基本情報

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LiSA
26巻1号 (2019年1月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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