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Anesthesiology
Editorial:
Fleisher LA. Preoperative cardiac evaluation before noncardiac surgery:Reverend Bayes's risk indices and optimal variables. Anesthesiology 2018;129:867-8.
Article:
Glance LG, Faden E, Dutton RP, et al. Impact of the choice of risk model for identifying low-risk patients using the 2014 American College of Cardiology/American Heart Association Perioperative Guidelines. Anesthesiology 2018;129:889-900.
■臨床ガイドラインのもつ意味と非心臓手術のリスク評価の流れ
日常臨床でガイドラインは,decision-makingや,治療方針を決定するために広く用いられている。だが,ガイドラインは絶対的に守らなければならないものではない。「旅行ガイド」と同じく,その道筋のいくつかを示したものである。強い推奨もあれば弱い推奨もあり,エビデンスのレベルもさまざまである。
非心臓手術における心臓リスクの評価として,古典的であり,最も有名なのは1977年に発表されたGoldman Cardiac Risk Indexである。これは,41歳以上の患者1001人を対象に,術後の生命を脅かしたり致命的となる心臓合併症と,さまざまな術前要因について前向きに検討して作成されたものである。しかし,そのスコア付けには手間がかかったことを覚えている。その後に出たRevised Cardiac Risk Index (RCRI) は,単施設の患者4135人のデータから作成されたものであるが,わずか六つの危険因子からなり,計算も容易で,非心臓手術の心臓リスクの層別化に現在も広く用いられている。最近用いられているAmerican College of Surgeons-National Surgical Quality Improvement Project (ACS NSQIP) risk calculatorは,約400施設,140万人ものデータを電子的に取り込んで作成されたものである。心臓リスクだけでなく,他の合併症リスクについても20の危険因子から層別化できる。National Surgical Quality Improvement Program Myocardial Infarction or Cardiac Arrest (NSQIP-MICA) calculatorも同様に,大量の患者データを電子的に取り込んで,心筋梗塞や心停止のリスクを層別化できる。
こうしたcalculatorは,予測精度(感度,特異度,陽性あるいは陰性的中率),使用の容易さや,予測される合併症の範囲などが異なっている。これらのcalculatorをどのように利用してガイドラインをつくり上げるかは重要な課題である。
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