徹底分析シリーズ 輸血合併症を回避しよう
巻頭言
張 京浩
1
1帝京大学医学部 麻酔科学講座
pp.39
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201288
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- 文献概要
医師であれば誰でも輸血を指示できる。手術麻酔を担当する麻酔科医であれば,毎日その可能性はある。しかし,麻酔科医に向かって「輸血療法に詳しい人?」と問いかけたら,何人の手が挙がるだろう。かくいう私も手を挙げにくい。一方,ある輸血の教科書の冒頭には,輸血学の専門家からの次のようなメッセージが掲げられていた。
「輸血同意書にサインした患者やその家族は,まさかそれを求めた主治医が輸血のことをあまり知らない,などとは思ってもいないであろう」
そこで本徹底分析では,「回避すべき輸血療法の合併症」に焦点を絞り,なぜ合併症が起こるのか,何を避けなければならないのかを,研修医に尋ねられたときにもしっかり説明できるように深く学ぶことを企図した。多少複雑な事例も取り上げながら輸血療法の本質的な部分を論じ,麻酔科医の“輸血アレルギー”を多少なりとも軽減したいと考える。
なお,この企画を検討した編集会議で,順天堂大学医学部附属練馬病院 麻酔科・ペインクリニックの岡田尚子先生から,輸血医学教育のためのe-learningが紹介された(http://amed-elearning.com)*。輸血療法に興味のある読者は,ぜひ併せて活用されたい。
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