胃と腸 25巻1号 (1990年1月)

今月の主題 上部消化管X線検査の現状の反省と将来―検査モデルを求めて

序説

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 私の栖から病院まで距離にして300~400メートルにすぎない.その途上約100メートルの間桜の木が5~6メートル間隔で数十本植えられている.春ともなれば少しピンクがかった白い花が枝一杯に見事に咲きそろう.4月になると“あそこの桜はどうですか”と毎年のように問われる.昨年も同じ質問を受けた.そこで,はて!!と考えてみると,いつごろから芽が膨らみ,赤味がさし,ちらほら花が開き,3分から5分やがて満開となり,朝な夕な花びらを踏んで往復していたのかあまり正確に気付かない.繪心,詩心のないやぼな人間と言われればそれまでであるが,問われて初めて意識の中に入り込み,関心を持てばそれ以降はいつも意識的観察が始まる.昨年も5分咲きごろまで全く気付いていなかった.恐らく花の下を歩きながら何か考え事をしているせいだと自分を納得させている.しかし花の下を歩行中,実際には花は視角に人っており,網膜に投影され,視神経に刺激を与えているにもかかわらず,より高次元の中枢への刺激がblockされ“見えれども見えず”であるようである.ヒトの視覚にはそんなむだと言うか不注意さが結構ありそうである.

 1枚のX線写真の読影にしても漠然と眺めていれば細かい情報は意識に投影されてこない.内視鏡検査中その視角に入っている粘膜情報はすべて視野に入っているわけであるが,実際にはごく小範囲の部分のみが認識されているにすぎない.したがって観察時には視野の隅から隅まで意識的に診ていかなければならない.

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要旨 食道の早期癌をep癌とmm癌だけに限定し,切除材料で,まず単発病変と多発病変に分け,各々の部位と大きさから,X線診断と内視鏡診断とを比較検討した.そして,X線診断の立場から,ep癌とmm癌のX線診断能,診断限界を検討した.単発のep癌16病変,mm癌21病変でみると,初回にX線検査を受けた例では,Ⅰ型とⅡa型(隆起型)の診断は良かった.しかし,Ⅱb型とⅡc型(平坦型と陥凹型)の診断は良くなかった.ep癌はすべて見逃したが,mm癌の中には診断できた例もあった.ep癌とmm癌のX線所見の差は辺縁の異常所見の程度にあることがわかった.以上から,mm癌はX線検査で十分に発見できると思う.部位からみると,Ph-Ceの診断はX線検査でも内視鏡検査でも困難で,いま大きな課題である.

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要旨 最近3年間に唐津胃研究所,福岡成人病センター,福岡大学第1内科,福岡大学筑紫病院で診断され,診断過程の明らかな614個の胃癌につき検討した.614病変中,紹介例,集検例を除いたルーチン検査例は366病変であった.X線先行例中,少なくとも癌の存在がチェックされたものを対照群(C群)とし,見逃し群(A群)と比較した.同様に内視鏡先行例を見逃し群(a群)と対照群(b群)に分けて比較した.A群,a群ともに対照群に比較して早期癌,多発癌,20mm以下の癌が有意に多かった.X線見逃し群(A群)ではC領域が有意に多かった.見逃し率はX線検査先行例で10.2%,早期癌だけを対照とすると19.0%であった.内視鏡の見逃し例は1例0.8%であった.しかし,2年以内さかのぼった期間に見逃されていた“見逃し既往例”がX線先行例に15例,内視鏡先行例に19例みられた.臨床的には胃癌の確診が内視鏡と生検で確かめられた症例のみに行われることを考えると,内視鏡検査でもX線検査と同じくらいの見逃しが起こっていることが示唆された.また,C群の多発病変や小胃癌の頻度,病変部位の分布などはpanendoscopyで発見されたものの報告と同じであった.以上の事実から,初回X線検査の見逃しはpanendoscopyの見逃しと差はないと考えられ,その対策は自信を持ってX線検査に従事し,質の高い検査を目指すことにあると考えた.

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要旨 1cm以下の胃癌95例102病変(陥凹型77病変,隆起型25病変)を対象とし,X線の立場で拾い上げの実際と限界を検討した.陥凹型は4mm以下では拾い上げができず,5mmが限界で,5mmの8病変のうち4病変(50%),6~10mmの65病変のうち37病変(56.9%)が拾い上げられた.瘢痕を伴う34病変(sm:17)は,28病変(82.4%)が拾い上げられたが,組織型や部位には関係がなかった.瘢痕を伴わない43病変(sm:3)は,13病変(30.2%)しか拾い上げられず,うち分化型が11病変を占め,胃角部と前庭部に多かった.いずれも周囲に隆起を伴うもので,主に圧迫法で拾い上げられ,二重造影法での拾い上げは少なかった.隆起型(sm:2)は6mmが限界で,13病変(52%)を拾い上げた.Ⅰ型5病変はすべて拾い上げたが,Ⅱa型20病変では大きさ9mm,隆起の高さ0.9mm以上の8病変(sm:2)を拾い上げ,部位より肉眼型に左右され,丈の低いものは拾い上げられなかった.

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要旨 当センターにおいて,X線検査→内視鏡検査という診断過程の中で発見された進行胃癌は306例あり,そのうち見逃し例は9例(X線7例,内視鏡2例)あった.また,約4,000人の同一集団の8年間の逐年検診で発見された胃癌46例のうち進行癌は6例あり,前回の検査で見逃されている(X線4例,X線・内視鏡1例,生検誤診1例).これらの見逃し例の検討から次のような結論を得た.①X線の見逃しは胃上部,前壁およびⅡc類似が多く,内視鏡の見逃しはlinitis plastica型癌が多い.②見直し診断では検査不良と読影不注意がほとんどを占める.胃上部および前壁撮影改善のために,高濃度バリウムの開発が急がれる.③逐年検診では,内視鏡の巧みな組み合わせが早期癌発見率を高め,進行癌の見逃しを少なくする.

アンケート調査

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 集計結果を報告する前に,このアンケート調査における設問の形式,およびその内容に適切さを欠く箇所があったことをお詫びします.考え抜いたつもりだったのですが,設問の中に非論理的な所が若干ありました.杜撰なアンケート調査との誹りは甘んじて受けます。また,これに関する一切の責任は,丸山が負うべきものです.次回は,この経験を生かして,論理的なものを作ります.

 このアンケート調査は,雑誌「胃と腸」の編集委員が属する施設(合計29施設,Table 1)のみに対してなされたものです.編集委員の中で,病理の医師が委員となっている施設については,その施設で実際に検査を行っている各科の先生方に御協力を頂きました.

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 望月 本日はお忙しいところをご出席いただきありがとうございました.

 今日は茫漠たるタイトルですが“上部消化管X線検査の現状の反省と将来”ということで,先生方に忌憚のない意見をお伺いしたいと思います.話をしているうちに,このタイトルの発案者の丸山先生の意見も出てくるかと思います.最初,丸山先生から口火を切っていただきましょうか.

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〔患者〕44歳,女性.

〔現病歴〕心窩部不快感があり,当科を受診.

〔胃X線所見〕胃体下部後壁に不整形の小陥凹を認める.陥凹の周囲に胃小区が不規則で境界のやや不鮮明な粘膜変化を認める(Fig.1).空気量の少ない二重造影像では粘膜ひだ集中が明らかになるが周囲の変化はよく読み取れない.ただ,口側からのひだが小陥凹からやや離れて中断している(Fig.2).圧追像は中央の陥凹変化だけが明瞭で周囲の変化はわからない(Fig.3).

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はじめに

 1988年7月1日から1989年6月30日までの1年間,スウェーデン,マルメ市のルンド大学付属マルメ総合病院の放射線科,内視鏡室に勤務する機会を得た.マルメ市はスウェーデン最南部スコーネ地方の西岸に位置し,対岸にはデンマークの首都コペンハーゲンが一望できる.スウェーデンでは3番目に大きい都市であるが,人口は23~24万程度で,町の所々に中世様式の建造物を残す落ち着いた町である.高齢化社会だけにどこへ行っても老人の姿が目につき,放射線科の待合室などはなおさらであった.1年という短い期間に外国での臨床が経験できたのに加えて,医師たちと交流して彼らの発想の違いがわかったのは大きな収穫であった.マルメの消化管検査の現状と,過去約10年間の上部消化管検査の変遷について,筆者が集めた若干のデータを基に報告する.

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要旨 国立がんセンター病院において胃切除の行われた胃癌症例のうち,国立がんセンター放射線診断部で撮影された直接胃X線写真により,1年以上の逆追跡が可能であった進行胃癌30例,早期胃癌46例を対象としてX線学的な胃癌の発育進展過程の検討を行った.X線学的にはBorrmann2型,3型,Ⅱc類似進行癌ともに,先行病変としてⅡcを認めるものが多かった.そのⅡcにはBorrmann2型,3型とⅡc類似進行癌の間に明瞭な相違はみられなかった.早期胃癌,進行胃癌の発育過程での形態変化をみると,隆起を主徴とするものは初期より隆起型として経過し,陥凹を主徴とするものは初期より陥凹型として経過するものがほとんどであった.かつ,経過の間に径の増大を示すものが多かった.

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要旨 患者は23歳の女性.主訴は右下腹部痛と発熱.現症として四肢に結節性紅斑,会陰部に皮膚硬結を認めた.検査で貧血と炎症所見を認めた.ツ反陽性で,胸写と上部消化管X線検査は正常.注腸検査でBauhin弁は開大し,回腸末端は拡張していた.盲腸から上行結腸(近位半分)の管腔は著明に狭窄し,その粘膜面には半球状の隆起がみられた.横行結腸にも2病巣が飛躍して存在し,各々潰瘍瘢痕と炎症性ポリープの肉眼所見を呈していた.大腸生検でLanghans型巨細胞を伴う非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められた.局所の腸液および生検材料の塗抹標本より,多数の非定型抗酸菌が検出された.病態は抗結核療法で改善した.原発性の腸管非定型抗酸菌症の報告は,国内外ともこれまで皆無で,new clinical entityと思われ,その最初の症例を報告した.

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要旨 78歳,男性.主訴は右上腹部痛.胃X線検査で胃のほぼ全域に中心陥凹を有する大小の隆起が多発し,あるものは牛眼像を呈した.胃内視鏡検査でも同様の所見で,中心陥凹に凝血の付着をみるものもあり,生検で悪性リンパ腫が疑われた.腹部CTは傍大動脈リンパ節の著明な腫大を示した.経過中,吐血のため胃を全摘.切除胃肉眼標本では胃の全域に大小の隆起が不規則に多発し,多くは中心陥凹を伴っていた.組織学的に,隆起は粘膜最表層を残して粘膜層から粘膜下層にdiffuseに増殖した腫瘍細胞から成り,後腹膜リンパ節原発と推測されるdiffuse large cell type悪性リンパ腫の胃転移と診断した.転移性胃腫瘍の診断は,本例のように牛眼像の多発を伴った場合には容易である.

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 第38回日本消化器内視鏡学会総会は11月22,23,24日の3日間にわたって,虎の門病院副院長福地創太郎先生を会長に,京王プラザホテル(東京都新宿区)で開催され,盛会裡に終了した.今回の総演題数は600題を超え,シンポジウム4題,パネルディスカッション4題,実技ワークショップ5題,更に特別講演,招待講演各2題,教育講演6題と多彩なプログラムであった.各会場は参会者で溢れ,連日活発な討議が行われた.以下,筆者らが回りえた範囲で若干の印象を述べてみたい.

 第1日のメイン会場はシンポジウムⅢ“大腸癌の発生と増殖過程”で幕が開いた.最近,大腸癌の組織発生についてはde novo説が注目されているが,polypcancer sequence説との論争の大部分は組織診断基準の問題にすり替わってしまった感があった.しかし,工藤氏は腺腫成分を全く伴わないⅡc,Ⅱb型の微小癌から陥凹型進行癌までの連続性を実例をもって示し,大腸癌のde novo発生のルートを見事に解明した.このことは,大腸癌の組織発生に関する不毛な論争に1つの終止符を打ち,今後の課題がⅡc,Ⅱb型早期大腸癌の診断にあることを雄弁に物語るものであろう.しかし,実際はⅡc型やⅡb型早期癌を“morbus kudous”と椰揄したくなるほど,工藤氏以外の施設では症例報告のレベルにとどまっている.この状況は二十数年前,わが国で数多く発見された早期胃癌を癌として認めなかったり,日本の風土病として片づけようとした欧米の状況と酷似している.セッションの中で岡本氏が指摘したように,発赤や褪色所見を見た場合は,標本の取り扱い(実体顕微鏡下での切り出し)を含めて,きちっとした追試を行うべきなのであろう.また,最後に司会の武藤氏が追加されたが,最近の分子生物学の進歩を考えれば,この種のテーマが腫瘍遺伝子,増殖因子のレベルで語られる日も近いと思われる.微細な形態学的変化を機能の面から説明することにはまだ幾つもの困難性があろうが,将来に向けて問題点を整理しておくうえで,1つのインパクトが与えられたセッションであった.

初心者講座 胃X線検査のポイント―私の検査法

1.バリウムの量と濃度 石川 勉
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 胃のX線検査法には充盈法,二重造影法,圧迫法と粘膜レリーフ法があるが,通常の胃のルーチン検査では,まず立位正面充盈像の撮影から始め,次いで,正面,第1,第2,半立位や前壁などの二重造影像を撮影し,最後に圧迫撮影を行うという手順をとっている.しかし,最近の早期胃癌の中には5mm以下の微小癌や極めて浅いⅡc型胃癌など,検査時の透視ではその異常所見に気づきにくい症例も多数認められるようになってきている.このようなルーチン検査時の透視では,その異常に気づきにくい早期胃癌症例などに対しては詳細なX線写真の読影で診断することが必要になってきている.そして,このような微小・微細診断を行うためには胃小区レベルでの診断が行える二重造影写真の読影が重要である.

1.バリウムの量と濃度 芳野 純治
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 胃X線ルーチン検査法では病変を拾い上げると共に,その病変の質的診断までが可能な写真を撮影することが最も望ましい.そこまでできなければ,少なくとも病変を見落とさない方法で行うことが最低の条件である.しかし,あまり検査時間を長く取れないという制約や,むやみに撮影枚数を増やせばいいというものでもない.ルーチン検査はこういった条件の中で行われる.

1.バリウムの量と濃度 西俣 寛人
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 ルーチン検査では,いろいろの撮影法を組み合わせて,胃の全領域をX線像として描写しておく必要がある.現在のルーチン検査で最も信頼できて,短時間に誰でも簡単に撮影できる撮影法は二重造影法である.ルーチン検査では二重造影像の得られる領域はできるだけ広い範囲を描出しておくことが大切である.今回のテーマであるルーチン検査のバリウムの量と濃度はこの点を考慮に入れて述べる.

入門講座・1

小腸X線検査の実際 八尾 恒良
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はじめに

 小腸のX線検査は多くの人たちが敬遠する.その理由は,①面倒で時間が長くかかる,②正常と異常像の差がわからない,③病変が発見される頻度が少なく,むだなことが多い,などのようである.

 ①は確かに理由がある.特に二重造影像を撮影しようとすれば,ゾンデをTreitz靱帯近傍まで挿入しなければならないし,挿入した後も検査が終了するまでに時間がかかることも少なくない.しかし,検査に慣れるに従って所用時間は短縮するし,後述するように前処置によってもこれを短くすることができる.そして何よりも微細な病変を美麗に描出できたときの喜びは,苦労を忘れさせるものがある.

 また,“病変の描出”を目的とせず異常の有無や“疾患の診断”を目的とする場合には,そのほとんどは経口法で,さほど手をかけずに目的を達することができる.

 ②は筆者にも覚えがある.もう20年以上も昔,小腸のX線診断を志したとき,師匠の岡部治弥先生に“小腸のX線診断は本を読んで勉強しない奴でないとだめだ”と言われた.しかしめげずに例数を重ねているうちに,今では師匠以上に小腸の病変は沢山診断したという自負を持っている.乱暴な話ではあるが,筆者には今でも“primary fold”と“secondary fold”の区別もわからないし,fragmentationやflocculation,あるいはmoulage signなどの言葉も正確にはわかっていない.わかっていなくても臨床に必要な病変や病気の診断に不自由しないから不思議である.

 要するに小腸のX線検査も胃透視と同じように,まず慣れることが大切で,慣れながら異常像と思った所見を勉強していけばよいと思う.なまじっか機能的異常像を勉強しすぎるとあまりいいことはなかろう.

 ③は昔と違って小腸病変はそれほど少ないことはない.特にCrohn病や小腸アニサキス症など,その疾病の臨床像を知っておれば,ふんだんに診断する機会があろう.上達のためにはとにかくやってみることだ.

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欧文目次

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 Personality profile and affective state of patients with inflammatory bowel disease: Robertson DAF, et al (Gut 30; 623-626, 1989)

 炎症性腸疾患(以下IBD)患者には,一種独特の性格が存在する,と内科医や外科医の多くは考えている.著者らは,この“IBD気質”とも言うべき性格が,病態に先行して存在しているものなのか,それとも病態の結果として生じたものなのか,更には,病態の再然とどのような関係にあるのかを知るために,面談とアンケートによる調査を行い,精神科学的判定基準をスコアー化し,分析を行った.調査対象は,確定診断された80名の慢性IBD患者と,確定診断前の22名のIBD患者(いずれも非手術例)で,40名の糖尿病患者を慢性疾患コントロール群とした.調査の結果,IBD患者は急性,慢性を問わず対照群に比べ,有意に高度の神経症気質と内向性を示し(p<0.05),更にこの傾向はIBD患者の中でも診断確定前の患者に強く見られた.また,抑うつ状態は,慢性IBD患者の活動期に見られたが,IBD群全体では一般的なものではなかった.内向性は,罹患期間が長期にわたるほど強まる傾向が見られた(r=0.51).一方,IBD患者の多くは,精神状態と病勢の変化の間に関連があることを認識しており,最も増悪を促進する因子として,日常生活におけるストレス性の強い出来事を挙げている.以上より,IBD気質は病態に先行して存在し,それに伴う消化管および免疫機能の障害が,IBDへの引き金になっていると結論づけている.

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 Early dinner reduces nocturnal gastric acidity: Duoroux PH, et al (Gut 30: 1063-1067, 1989)

 食事内容で胃内pHを上げる試みがかつてなされたが,いずれも食物は緩衝剤になると同時に酸分泌刺激剤となるため失敗している.著者らは同一の食事内容でも食事時間によって胃内酸度が異なるか否かを検討した.

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 No treatment of option for liver metastasis from colorectal adenocarcinoma: Michael Parmer, et al (Dis Colon Rectum 32: 698-701, 1989)

本年1年間に新しく約140,000人が大腸腺癌と診断され,その時点で既に20%に肝転移が認められ,その後更に50%が他臓器も含めて肝転移を示した.肝転移を持つ患者の生存率は腫瘍の肝内での拡がり,肝機能,患者の一般状態など,種々の予後決定因子に基づいて大きく変わる.それゆえこれらの因子は治療群と非治療群との明確な比較を困難にしている.

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 この本は「大腸癌の構造」という地味な書名で,このタイトルを見ただけでは著者の言わんとするところがよくわからないが,そのページを繰ってゆくと,そこには画期的な内容が盛られていることが理解されてくる.

 大腸癌のほとんどすべてはポリープ状の大腸腺腫を母地として発生するというのが今までのこの領域の常識であり,事実成書にもそのように書かれてあるものが圧倒的に多い.その常識を打ち破り単行本として初めて新説を世に問うたのがこの本であると言ってよいであろう.

編集後記 白壁 彦夫
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 早期胃癌の診断は,始めは3~4cm,次いで2cm→1cmである.このあたりのルーチンX線撮影と精査,および,診断学を監督し,講義する聖職者がいる.一方,2cm→1cm→0.5cmまでに10年もかかった道を,理論的に,確診,見逃しを吟味しながら,X線と内視鏡を併用しながら学んでいる研究者もいる.

 内視鏡診断は,見つかれば,それでドン・ピシャリである.学がなくても,診療には十分である.大~中の病変にはX線が楽に,小~微小は内視鏡のほうが楽に,見つかる,というのも言い古されたことである.

基本情報

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胃と腸
25巻1号 (1990年1月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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