臨床検査 42巻2号 (1998年2月)

今月の主題 骨代謝マーカー

巻頭言

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 近年のDXA (二重エネルギーX線吸収法)をはじめとした骨塩定量機器の発展により,正確な骨密度の測定が可能となり,骨粗鬆症を含め代謝性骨疾患診療に重要な役割を果たしている.しかし,骨塩量はその時点における骨量を示す静的な数値であり,その時点における動的な情報(骨動態)を知ることはできない.この動的な情報を提供する方法の1つとして,近年骨代謝マーカーの発展には目覚ましいものがある.この動的な情報を提供する方法には,ほかに骨生検やcalcium kineticsがあるが,それらに比べ骨代謝マーカーは侵襲が小さい,測定が容易である,繰り返し測定できる,再現性が良いなどの利点を持つ.

 これまで,古典的な骨代謝マーカーとして臨床的に用いられてきたものに,血清アルカリホスファターゼ,血清酒石酸抵抗性酸ホスファターゼと尿中ヒドロキシプロリンがある.しかし,これらの古典的マーカーは骨への特異性が低い点が問題であった.副甲状腺機能亢進症のような骨代謝が非常に亢進した状態では,これら骨特異性が低いマーカーでも,骨代謝がほかの組織の代謝に比べより大きく亢進しているため,これらのほとんどが骨由来となり,骨代謝を反映することができる.しかし,骨粗鬆症など骨代謝の変化が微少な疾患では,骨特異性や感度の低いマーカーではその変化を捉えるのは困難であった.理想的な骨代謝マーカーは,骨組織に特異的であり,わずかな骨代謝回転をも検出することができるものである.

総説

骨代謝異常症の病理 中嶋 安彬
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 骨および関節の代謝性病変は複雑かつ多様なので,病理学的に把握するためには,①カルシウムやリンなどを中心とする物質(特に鉱質)代謝の側面,②膠原線維生成や,軟骨基質形成,鉱質沈着などによる骨質形成の側面,③骨芽細胞と破骨細胞とによる骨吸収と骨形成との均衡の側面,の3つに分けて考えるのがわかりやすいであろう.組織所見自体は非特異的な場合も多いので,正しい診断のためには臨床所見および検査所見や画像所見の総合的な解析が不可欠である.

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 硬くて変化しないようにみえる骨も,常に骨吸収と骨形成のサイクルを繰り返している.この骨代謝回転に異常をきたした骨代謝異常症の中でも,骨粗鬆症は現在最も社会的関心を集めている疾患である.本疾患の診断にあたっては,問診,理学検査はもちろんのこと,骨塩量の測定のみならずX線学的検査や血液,尿の生化学検査などにより,ほかの疾患を鑑別しながら骨粗鬆症の診断に至ることが重要である.

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 骨は常に吸収―形成を繰り返す再構築(リモデリング)を営んでおり,骨の恒常性は吸収と形成との平衡関係に依存している.骨リモデリングの状態を簡易に把握するために,さまざまな血中・尿中の骨代謝マーカーが用いられる.骨吸収には骨基質の分解を反映する種々のコラーゲン代謝産物,骨形成には骨芽細胞機能に関連した分子が主にマーカーとして用いられている.これらのマーカーによる骨リモデリング状態の評価が,各種の骨代謝異常症の診断,病態解析,治療方針決定,治療効果判定などに有用となる.

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 骨型アルカリホスファターゼは骨代謝マーカー,特に骨形成の指標として有用である.本酵索の分析法には,通常の電気泳動法では特に肝型と骨型の分別が困難なことから,試料に各種前処理を行うことで,骨型の分別が容易となる.しかし,多数の試料を同時に測定する場合は,本酵素に対する特異的なモノクローナル抗体を用いたイムノアッセイが汎用される.分析法の向上により,本酵素の生理的意義が解明されつつあることから,最近の本酵素に関する話題についても紹介する.

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 コラーゲンは骨の有機成分の大部分を占める蛋白である.骨吸収が起こると,骨のコラーゲンの分解産物が血清や尿中に現れる.それゆえ,これらは骨代謝のマーカーになる.なかでも,骨コラーゲンの架橋成分であるピリジノリンとデオキシピリジノリン,およびそれらを含むペプチドは,骨に特異的な代謝マーカーとして注目を集めている.

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 骨の代謝には,オステオン,パケットなどの微小構造の破壊と再構築を行うリモデリングと,骨全体の外形を変化させるモデリングとがある.成長期にはモデリングが,成長完了以後はリモデリングが主体である.骨形態計測では,局所におけるリモデリングの高低を評価する.代謝マーカーは骨格全体の吸収と形成を評価する.したがって,成長期では身長など骨のサイズの変化を,成長完了以後はリモデリングの状態を反映する.

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 高齢社会を迎えるわが国において,寝たきりにつながる骨折予防のため,閉経期からの骨粗鬆症の早期発見,早期治療が重要である.胸腰椎X線像や骨塩定量を基にした骨粗鬆症の診断基準が作成され,また骨代謝マーカーの利用は骨粗鬆症の病態を把握し,骨粗鬆症の薬物療法の効果・治療予後判定に有用である.

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 代謝性骨疾患では,骨形成と骨吸収の相対的または絶対的変化が生じているが,近年では種々の骨代謝マーカーの測定により,これら骨吸収・骨形成を非侵襲的に評価する方法が可能となっている.これらの検査法の中で,保険適用となっているものはオステオカルシンのみであり,一般臨床での使用には制約がある.しかし,骨代謝マーカーは骨代謝動態をリアルタイムに反映する指標となることから,今後各種代謝性骨疾患の病態把握,治療効果のモニタリングにおける有用性が期待される.

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1,はじめに

 骨粗鬆症は,実質的にあるいは相対的に骨形成が低下することによって骨量が低下し,骨折しやすい状態になっているものと理解される.骨の粗鬆化には個人差が大きいことが知られており,その発症機序の解明のために骨粗鬆症の遺伝的素因に関する研究が最近進んでいる.骨形成と骨吸収の遺伝的調節には多くのホルモンやサイトカインが関与し,これらの遺伝子および受容体遺伝子が骨粗鬆症関連遺伝子として候補に挙がっている.本稿では,骨粗鬆症関連遺伝子として最初に報告されたビタミンD受容体遺伝子多型を中心に,その基礎と臨床への応用について解説し,エストロゲン受容体遺伝子多型についても紹介する.

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1.はじめに

 骨組織は局所において,常に骨吸収(破骨細胞)と骨形成(骨芽細胞)による再形成を繰り返している.正常な骨では,再形成が行われる単位は骨組織全体からみると,ごく一部分を占めるのみである.骨芽細胞,破骨細胞の活性は副甲状腺ホルモン(PTH),副腎皮質ホルモン,エストロゲン,成長ホルモン(GH),ビタミンDなど全身因子ばかりでなく,多くの局所因子(サイトカイン)により調節されている.骨組織は骨髄と接して存在し,骨芽細胞は骨髄間質細胞に,破骨細胞は血液前駆細胞にそれぞれ由来することから,骨髄および骨組織局所で産生されるサイトカインが局所因子として骨細胞の増殖・分化の調節に重要な役割を果たしていると考えられている1~3)

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1.はじめに

 生体のカルシウム(Ca)代謝を大きく調節しているのは,副甲状腺ホルモン(PTH)と活性型ビタミンD (1,25D)の2大ホルモンである.このほかに哺乳類では,その生理的機能が明確ではないがカルシトニンがあり,これら3つが古典的なカルシウム調節ホルモンということができよう.これらのホルモンがどんな役割を果たしているかは数々の基礎的研究によって明らかにされているが,臨床的にも過剰症,欠乏症,受容体機能欠損症,受容体機能過剰症などから証明されている.最近は,これらのホルモンの作用機序や異常症の病態が受容体分子のレベルで明らかにされてきていること,ホルモン作用と密接に関係する局所因子の関与がわかってきていること,さらにいわゆる古典的カルシウム調節ホルモン以外のホルモン,特にエストロゲンについての研究が著しく進んだことなどが主な話題になっている.

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1.カルシウムと骨代謝

 生体において骨は,支持組織としての形態の保持および器官の保護などの重要な役割を果たしているが,それに加え,生命活動にきわめて重要なカルシウムの貯蔵庫として,カルシウム代謝の維持にも不可欠なものである.つまり,骨は血中のカルシウムの変動に対応しており,これによって,血中カルシウム濃度は常に恒常的に維持されている.

 骨は,その表面で常に骨吸収(骨破壊と骨塩溶出)と骨形成を繰り返すリモデリング(骨代謝)を行い,そのバランスが調節されている.しかし,加齢に伴う生体機能の変化などによってそのバランスは変動する.成長期においては,骨形成が促進しバランスは骨形成のほうに傾いているが,骨格形成が完了する成人になるほど,骨吸収量と骨形成量のバランスが保たれる.一方,高齢になると骨吸収量が骨形成量を上回って,バランスが骨吸収のほうに傾いてくる.

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1.はじめに

 腎性骨異栄養症(ROD)は末期腎疾患の骨合併症を指す.末期腎不全ではカルシウム(Ca),リン(P),ビタミンD,副甲状腺ホルモン(PTH)などの代謝異常のほか,アルミニウムなどの金属や骨リモデリングに関与する局所因子であるサイトカイン〔インターロイキン-1,-4,-6,-11,腫瘍壊死因子(TNF),エンドセリンなど〕が関与し,RODをきたす1)

 RODは,骨組織所見から5型に分類される1).つまり,①線維性骨炎(50%),②骨軟化症(7%),③混合型(13%),④軽症型(3%),⑤低代謝回転型(27%)に分類される.

今月の表紙 血液・リンパ疾患の細胞形態シリーズ・2

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 急性骨髄性白血病(AML)のFAB分類によるM1は,芽球が90%以上を占める未分化型AMLである.芽球は,ミエロペルオキシダーゼ(MPO)染色で3%以上陽性であればよい.AMLの約20%を占める.

 Mlは芽球が多い最も典型的なAMLであり,診断も比較的容易と思われがちだが,診断一致率は意外と低い.Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG)の一致率(各施設と診断センター)は約50%でしかない.この原因は,第1に芽球判定の問題である.M2をM1と診断することが最も多くみられ,両者の鑑別は芽球比率(90%)によってほぼ機械的に行われるが,脱顆粒した前骨髄球や骨髄球などを芽球としてカウントしている可能性が高い.核クロマチン構造と同時に,原形質では明るいゴルジ野の有無などの観察が大事である.さらに,前骨髄球や骨髄球はMPO染色では原形質全体が強く染色されることが多いし,エステラーゼクロロアセテート染色では芽球が染色されることは少なく,前骨髄球やより成熟した好中球は原形質全体に強く染色されるので芽球との鑑別に有用である.次にM4をM1と診断していることが多い.M4の一部に成熟した単球成分が少なく,比較的多い前単球を芽球と判定していると思われる.このようなM4例の中には,非特異的エステラーゼが染色されないことがあり,より診断を難しくする.この場合には,メイ―グリュンワルト―ギムザ(May-Grünwald Giemsa;MG)染色で単球系細胞の特徴をよく観察することが大事だが,MPO染色も助けとなる.前単球はMPO陰性もしくは弱陽性である.単芽球が混在していると,エステラーゼ陰性なら骨髄芽球との鑑別がつかないことも少なくない.血清および尿中リゾチーム値測定も参考となる.

コーヒーブレイク

功の崇(たか)き 屋形 稔
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 あまり賞などに縁のない身であるが,平成9年秋に発表された保健文化賞というのには,わずか数名の受賞者の中に身近の人が2人も名を連ねていたので,祝意と関心を持たざるをえなくなった.

 お一方はわが臨床検査の大先達である河合忠先生であり,お一方は新潟県医師会に属する石田良平先生である.本賞の趣旨には,保健衛生および関連する福祉などの分野で,優れた業績を挙げた団体あるいは個人に対して贈られてきたとある.

シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Technology編

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はじめに

 Saikiら1)によりPCR法が報告されて以来,遺伝子増幅による測定技術は飛躍的な進歩を遂げている.高感度なPCR法を改良し,操作法の簡便化を図る方法も多数報告されており,ここで紹介するPCR-MPH(microtiter plate hybridization)法もPCRによる遺伝子増幅を基本とし,増幅産物の検出をプローブ固相化マイクロタイタープレート上の発色によって行うことにより,操作の簡便化を図っている.これによって,従来はアガロースゲルによる電気泳動で増幅産物を分離し,エチジウムブロミド染色で行っていた検出を,ELISA法と同じ迅速・簡便な方法に置き換えることができ,多数検体処理にも対応可能となった.

 PCR-MPH法による測定系を構築する際には,以下の3つのポイントに留意する必要がある.

Wiskott-Aldrich症候群 笹原 洋二
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はじめに

 Wiskott-Aldrich症候群(WAS)は,原発性免疫不全症の1つで,臨床的に出生時から血小板容積の減少を伴う血小板減少,免疫不全に伴う易感染性,および湿疹を3主徴とするX染色体連鎖性の症候群である.わが国では,厚生省研究班で現在までに73例(原発性免疫不全症の6.8%)が登録されている.近年,いくつかの原発性免疫不全症の原因遺伝子が同定されているが,1994年に主にポジショナルクローニングによりWASP(Wiskott-Aldrich syndrome protein)遺伝子が同定され,患者での変異が認められた1).本稿では,本疾患の臨床症状・検査所見とともに,原因遺伝子としてのWASP遺伝子変異の検索と,その病態との関連性について概説する.

トピックス

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1.β3アドレナリン受容体

 交感神経の興奮により神経終末端からノルアドレナリンが放出され,組織のアドレナリン受容体と結合することにより効果が発揮される.従来,哺乳動物には2種類のアドレナリン受容体,すなわちβ1アドレナリン受容体(β1AR),β2アドレナリン受容体(β2AR)の存在が確認されていた.β1ARの刺激は主として心収縮力の増強,心拍数の増加を,またβ2ARの刺激は主として気管支拡張,血管・子宮平滑筋弛緩をきたした.

 一方,哺乳動物には白色脂肪,褐色脂肪の2種類の脂肪組織が存在する.白色脂肪組織は皮下・内臓に広く分布し,肥満者ではここに大量の中性脂肪が貯蔵される.また褐色細胞組織は,ヒトでは新生児期を除いては同定が難しいが,寒冷時に熱産生器官として働く.これらの脂肪組織には,従来β1ARが単独もしくはβ2ARと共存して存在し,交感神経刺激により,貯蔵された中性脂肪が分解され,脂肪酸が酸化される.しかし,1984年Archらが褐色脂肪細胞の脂肪分解を促進する新しいアドレナリン受容体刺激薬を合成した1).この化合物は,従来のβ1あるいはβ2アドレナリン受容体刺激薬が持つ心拍数増加作用,気管支平滑筋弛緩作用を有さないことから,褐色脂肪細胞にはβ1,β2以外の第3のアドレナリン受容体が存在することが示唆された.そして,1989年ヒトβ3アドレナリン受容体(β3AR)がクローニングされ2),その後マウス3),ラット4)β3ARも相次いでクローニングされた.ヒトβ3ARは細胞膜7回貫通型受容体で,全長が408個のアミノ酸から成り(図1),脂肪組織のほか,腸管,胆嚢にも発現することが確認されている5~7)

輸入野菜と寄生虫疾患 嶋田 雅曉
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1.はじめに

 寄生虫の中間宿主としての魚や甲殻類,肉などの生食が直接的に寄生虫感染の原因になるのに対し,輸入野菜や果実は,寄生蠕虫の虫卵や幼虫,寄生原虫の嚢子などの感染段階にある寄生虫(表1)を運ぶ"運搬屋"としての役割を負う.

 そこで結論から先に言えば,現在のところ輸入野菜が寄生虫を国内に運び込み寄生虫感染症を"増加"させたことを示す具体的なデータはほとんど見あたらない.しかし最近米国では,輸入果実によると考えられる寄生虫病の集団発生の報告があり,日本でも過去にさかのぼれば,やはり輸入野菜が原因と疑われる症例の報告がある.当分,日本への野菜・果実の輸入は増加することはあっても減少することはないので,寄生虫感染の動向は今後注意深く見守っていく必要がある.

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1.はじめに

 ヒトの成長(年齢をχ)に伴って検査値Yが変動する基本的なモデルは次のようになる.

 Y=f (χ)+∈,∈~ℜ(0,σ2(χ))  (1)ここでf (χ)は加齢による平均値の変動曲線,∈は個体差のばらつきで平均0の確率分布ℜに従い,かつその分散σ2(χ)は年齢によって変化する.小児基準値設定の問題は,統計学的には固体差の分布ℜの100pthパーセンタイル,yp(χ)を推定する問題にほかならない.臨床的基準範囲の下限と上限はそれぞれ,2.5パーセンタイルと97.5パーセンタイルで定義される.しかし,①誤差分布ℜが未知で正規分布しない項目が多い,②加齢に伴う変動を表現する関数f (χ)が未知,③個体差の分散σ2(χ)も年齢によって変動する,などの問題点からその推定は見かけほど簡単ではない.

質疑応答 輸血

Rh系血液型の遺伝 大久保 康人 , H生
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 Q Rh (-)の父親から,2人の娘が1人はきわめて弱い(+),1人はDUと判定されたとして相談を受けました.このことに関して,①Rh式血液型の遺伝形式,②出産,輸血に際しての対処の仕方について,技師はどこまで説明してよいのでしょうか,お教えください.

質疑応答 臨床生理

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 Q 温度眼振検査を注水法で行っていましたが,今度air caloric testに変更することになりました.そこで,air caloric testの刺激条件および検査での注意点を教えてください.

学会だより 第44回日本臨床病理学会総会

変貌を始めた検査医学 木村 聡
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はじめに

 今年で44回を数える日本臨床病理学会総会は,1997年10月30日から3日間,神戸市ポートピアホテルを中心に盛大に開催された.復興した神戸の街は穏やかな秋の日ざしに包まれ,学問にふさわしい3日間であった.310の口演とポスターが137題,69社の展示に招待企業が5社,それに科学技術振興事業団を加え,公称で約2,700人の参加者が集まった.総会長は兵庫医科大学の松岡瑛教授が務められ,港町にふさわしくアジア・シンポジウムなど国際色豊かな学会となった.

学会だより 第36回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会

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 第36回日本臨床細胞学会秋期大会学術集会が1997年11月2日・3日の両日,横浜みなとみらい地区の"パシフィコ横浜"において神奈川県立がんセンター婦人科部長である岡島弘幸会長のもとで開催された.

 日本臨床細胞学会は医師会員4,285名,技師会員5,017名(1997年10月1日現在)からなる大きな学会に発展し,約3,000名が参加し盛況であった.会長講演は,学会創立当初から会の運営に携わってこられた岡島弘幸先生にふさわしい"日本臨床細胞学会のあゆみ"と題したテーマであり,学会創立当時のご苦労や国際細胞学会との関係,細胞検査士教育の歴史,細胞診の普及に伴う問題点,さらに今後の動向と幅広く,第2・3世代のわれわれ会員にも歴史的背景がわかりやすい内容であった.

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■テレビコマーシャルの強い印象が私を参加に導いた

 私が青年海外協力隊に初めて興味を持ったのは,高校生の時だった.テレビで見た協力隊公募のコマーシャルがとても印象に残っている.青い海と肌の黒い人々.そして,その中で真っ黒に日焼けして笑っている隊員の姿を覚えている.その姿を見て羨ましく思った.言葉も文化も気候も違うなかで,現地の人々とそのなかの1人となって働く姿に憧れた.

 老人病院で働き始めたころのことだった.協力隊の説明会が行われるというので,聞きに行った.そして,そこでアフリカから帰ったばかりの検査技師のかたにお会いした.お話を伺っているうちに,高校生のときの憧れが蘇ってきた.そして,自分を試してみたいという思いが強くなるのを感じた.その検査技師のかたは,とても親切に,私の相談に乗ってくださった.私には,一般病院での経験が少ないといったことも指摘してくださった.最低でも3年の経験が必要だとアドバイスもいただけた.

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 酵素標識免疫測定法(ELISA)の一種である蛍光-ELISA(f ELISA)法によるヒト血清中のL-アスパラギナーゼ特異IgE抗体(L-ASp IgE)測定の改良法およびf-ELISA法によるL-Asp特異IgG4抗体(L-Asp IgG 4)の測定法を開発した.基礎的検討の結果,良好な特異性,測定精度が示された.

 本法を用いてL-Aspの投与を受けた患者血清について.L-Asp IgEおよびL-Asp IgG 4の測定を試みたところ,アレルギー様症状を発現した患者血清22例中19例(86.4%)においてL-Asp IgE, L-Asp IgG 4両方あるいはどちらかに陽性が認められ,臨床応用の意義が認められた.

 L-Asp IgEおよびL-Asp IgG4の抗体量と臨床症状発現との関係については明らかにできなかった.

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 血液細胞の一部に特異的な酵素であるTdTの検出は,白血病疾患の細胞系統を分けるために必要であり,薬剤選択にも重要な役割を果たしている.証明法としては,免疫蛍光法を中心に行われているが,蛍光顕微鏡などの設備が必要で一部の施設でのみ行われている.そこで,一般の施設でも証明できる方法として,免疫細胞化学染色を応用してTdTを染色し証明する方法を開発し,従来法(蛍光抗体染色)とフローサイトメトリーを用いた証明法との比較検討を行った.その結果,免疫細胞化学染色法でも良好な結果が得られたため,その概要を説明する.

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 アクリジンオレンジ(AO)染色によるマラリアの診断法は,従来のギムザ染色法と比べて染色が迅速に行え,また,暗いバックにマラリア原虫が蛍光を発するため,原虫の検出がすばやくかつ容易である.ギムザ染色法では,熟練しないと四日熱マラリアや卵形マラリアの鑑別は難しいが,AO法では,蛍光観察のほかに,通常光を用いて感染赤血球の輪郭を観察することにより,ギムザ染色法に使われている種の鑑別基準を適用でき,結果的にこれらのマラリア原虫種の鑑別を容易に行うことができる.本報告では,同一のマラリアの原虫のAO染色像とギムザ染色像から,AO染色法による種の鑑別の実際について述べる.

編集者への手紙

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1.はじめに

 喫煙,飲酒,食生活,運動などの生活習慣が,健康に大きな影響を及ぼすことは広く知られている.健康増進のためには,まず一人ひとりの日常の生活習慣を見直し,場合によっては変えていく必要がある.しかし,あまり自覚症状のない喫煙者は,肺機能検査において閉塞性換気障害があると指摘されても,それが禁煙の動機づけになるとは限らない.一方,体力測定や健診(検診)などで,暦年齢は50歳代なのに成績は70歳代と言われると,たいていの受診者はショックを受け,生活習慣の改善を目指すようになる.

 今回,喫煙者における換気機能の検査結果を表すのに"肺年齢"という概念を導入してみた.

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1.目的

 呼吸機能検査は,被検者の努力に依存する検査のため,正確な値を得るには,検査目的の十分な周知と事前の練習が求められる.しかし,実際の検査現場においては時間的な制約から,被検者への説明がおろそかになっているのが実情である.そこで筆者らは,正しく検査を実施する目的で被検者オリエンテーション用のビデオテープを作製し,これを利用することから一定の成果が得られたので報告する.

基本情報

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臨床検査
42巻2号 (1998年2月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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