臨床検査 34巻5号 (1990年5月)

今月の主題 生殖

巻頭カラー

総説

生殖免疫 竹内 正七
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 卵性生殖から哺乳生殖へと生殖形態の進化において,母親の胎内で,異なるMHC抗原をもつ胎児を宿し,生育させるためには,免疫的拒絶反応から免れる必要があった.その解決として,胎児と母体との間に胎盤を形成したと考えられる.胎盤は同じ胎児組織であるが,母体に接しているのは絨毛細胞(トロボブラスト)で,生着に有利な免疫的特性をもっている.

 トロホブラストはMHC抗原が少ないので,免疫的拒絶反応を誘導しないばかりではなく,新しいMHC抗原を表現して,遮断抗体やサプレッサー細胞を誘導し,免疫的拒絶を起こりにくくしている.さらに,この免疫反応はトロホブラストの増殖因子を産生し,免疫的に胎盤形成を促進している可能性も示唆されている.

技術解説

精液検査 岩本 晃明
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 精液検査を行うにあたり次の点を強調した.①正常例でも精液検査に変動をみるので,妊孕能を評価するには3回の検査が望ましい.②採取方法について,3~4日間の禁欲期間をおき,射出液はすべて採取し,体温に近い温度のもとで2時間以内に検査すること,すなわち,同一条件下で検査することが大事である.③精子濃度,精子運動率の測定にMakler CountingChamberの使用は有効である.精子の質を評価するうえで運動能の解析は特に重要で,客観的なデータが得られる精子自動分析機に大いに期待したい.④従来の精子形態分類に,筆者の私案した"変形精子"を加えることにより,形態分類がより客観的で容易となる.

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 精巣における精子形成は,間脳―下垂体―精巣系と,精巣内のライディッヒ細胞,セルトリ細胞,精細胞の各相互作用によって調節されている.これらの機能を反映する諸ホルモンのうち,現在一般的に測定されているのは,性腺刺激ホルモンとテストステロン(T)である.インヒビンの測定はほどなく実用化されると思われる.性腺刺激ホルモンの測定法の主流は,現在,尿由来性腺刺激ホルモンを標準としたラジオイムノアッセイ(RIA)であるが,下垂体性腺刺激ホルモンを標準としたイムノラジオメトリックアッセイ(IRMA)法に変わろうとしている.テストステロンの測定はコンペテイティブRIA法が行われているが,特異性の向上と手技の簡便さを求めて改良がなされてきている.

睾丸の生検 藍沢 茂雄 , 加藤 弘之
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 睾丸の生検は,男子不妊症で無精子症・高度乏精子症および性腺機能不全症の診断,治療方針の決定と予後判定を目的にして行う.精子形成能の組織学的判定には,Johnsenのスコアカウント法を用いる.通常,100個の精細管のなかの精子や造精細胞を数え,その平均値を算出する.男性不妊症には,成熟抑制,造精細胞低形成,セルトリ細胞単独症,クラインフェルター症候群や他の性染色体異常,停留睾丸,放射線障害,流行性耳下腺炎性睾丸炎などがある.これらの形態学的特徴につき簡略に記述した.このうち,特に胚細胞腫瘍の発生頻度の高い停留睾丸で,しばしば認められる精細管内悪性胚細胞につき,触れた.

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 ヒトY染色体は,胎生期初期に未分化な性腺を睾丸側へ分化させる役割をもっていると考えられている.しかし,性分化の機構についてはいまだ不明な点も多い.

 Y染色体に関する研究は,組換えDNA技術の発達により,ヒトY染色体DNAが次々にクローン化されるに至って,急速な進歩を遂げた.Y染色体短腕遠位端のpseudoautosomal領域の近くに座位する睾丸決定因子の座位も,60kbほどの範囲に同定されている.

子宮頸管粘液の検査 平野 睦男
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 頸管粘液は,卵巣から分泌される卵胞ホルモンおよび黄体ホルモンの推移を反映して周期的変化を示すため,頸管粘液検査は基礎体温測定とともに,日常診療における簡便かつ有用な卵巣機能検査法である.一方,妊娠が成立するためには精子が頸管内を通過して上昇する必要があり,したがって頸管粘液の精子に対する適合性の検査は,不妊夫婦の診断・治療のためきわめて重要視されている.このような観点から,卵巣機能検査法の1つとしての頸管粘液検査法について述べ,さらに頸管粘液の精子に対する適合試験として,フーナー試験,ミラー・クルツロック試験およびクレーマー試験について述べる.

ホルモン検査―女性 玉田 太朗
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 女性の性機能に関するホルモン検査といっても,その範囲は非常に広い.本稿では,検査の臨床的な意義および適応を主として述べた.

 女性の性機能に関するホルモンは,小児期および閉経後の比較的変動が少ない時期と,毎月来る月経に象徴される変動の激しい性成熟期とでは,まったく様子が違ってくる.変動が少ない時期では随時の1回の測定で診断が可能であるが,性成熟期では測定の時期により,ホルモン値が大きく変わる可能性があり,これが内科などのホルモン検査との最大の違いである.したがって,まず思春期と性成熟期の正常変動を解説し,それに基づき異常者における検査の適応を考えた.

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 胎生初期の未分化な性腺を睾丸側へ分化誘導する遺伝子がTDFである.TDFは最近,Y染色体の遠位端に近く,偽常染色体領域の近位側境界より60kbの範囲内に同定された.続いて,性管の分化により内外性器の形態が決まるが,この段階は胎児睾丸からの2種のホルモンの分泌による.抗ミュラー管物質によるミュラー管の退化・消失と,テストステロンによるウォルフ管の分化・誘導により男性型の内外性器が完成するのである.

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 哺乳類の胚発生における性分化の基本型は雌である.Y染色体にある性決定因子が働くと,このプランが変更されて雄になる.マウスで発見されたH-Y抗原は,Y染色体に座位をもつ雄に特異的な組織適合性抗原である.その発現様式と進化上の保存性に基づいて,この抗原が性決定因子のつくる産物であるとする「H-Y抗原精巣形成支配仮説」が提唱されてから15年になった.抗原分子の異同,血清学的テスト,仮説のその後について解説した.

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 従来より,性機能調節は,視床下部-下垂体-性腺-性器を軸としてLHRH,ゴナドトロピン,ステロイドホルモンによるフィードバック機構によって説明されてきた.近年,脳・消化管ペプチドである神経ペプチドを含めた神経伝達物質(VIP,カテコールアミン,GABA,GnRH,オピオイドペプチド)や生理活性物質が,ゴナドトロピン,プロラクチン分泌に関与し,また,これらの物質が末梢組織にも存在し,性機能調節に関与していることがわかっている.

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 卵巣性インヒビンは分子量32000の糖蛋白ホルモンであり,α,βサブユニットがS-S結合した構造をもち,卵巣顆粒膜細胞から産生され,脳下垂体前葉からのFSH分泌を特異的に抑制する.また,黄体や胎盤からも分泌され,生殖生理学上重要な役割をもつ新しいホルモンである.

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 排卵に関する検査法として,排卵の有無の判定(基礎体温,超音波),排卵時期の予測(頸管粘液検査,腟スメア検査,基礎体温,血中・尿中エストロゲン測定,血中・尿中LH測定,経腟超音波),卵の質の判定(超音波,血中エストロゲン測定)について,それぞれの特徴を紹介した.また,黄体機能検査として,基礎体温,血中プロゲステロン測定,子宮内膜組織診,動的黄体機能検査法について述べ,その意義を紹介した.

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 全身性エリテマトーデス(SLE)に代表される膠原病患者には,健常人に比べて習慣流産の多いことが知られている.最近,このような習慣流産をくり返す患者血液中に,リン脂質に対する抗体(ループスアンチコアグラント,抗カルジオリピン抗体)が高頻度に検出されることが明らかとなってきた.また,このような患者は習慣流産以外に,動静脈血栓症,種々の神経症状ならびに血小板減少を認めることが多く,"抗リン脂質抗体症候群"とよぶことが提唱されている.

体外受精 飯塚 理八 , 神野 正雄
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 不妊治療で行われるヒト体外受精につき,その適応,方法,成績の概要を述べる.卵管因子不妊,男性因子不妊,免疫性不妊,子宮内膜症,原因不明不妊などのうち,体外受精以外では妊娠成立の見込みがないと判断されるものを適応とする.自然または過排卵誘発周期において,排卵直前の卵胞を穿刺・吸引して採卵し,体外受精・胚培養の後に,経頸管的に子宮内に胚移植するのが方法の要約である.卵胞期の管理は,血中ホルモン測定(特にE2,LH),超音波断層法による卵胞計測などが重要である.体外受精・胚培養は,良好な培養液,培養方法を用い,手技に熟達することが肝要である.最近の成績は,144周期に採卵を試み,133周期(92.4%)に卵を得,116周期(80.6%)で胚移植し,37例の妊娠(25.7%/採卵,31.9%/胚移植)を得ている.

カラーグラフ

腎臓病の病理・5

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 びまん性増殖性糸球体腎炎は,増殖する細胞の種類,増殖パターンによりメサンギウム増殖性腎炎,IgA腎症,管内増殖性腎炎,半月体形成性腎炎,膜性増殖性糸球体腎炎(次号にて解説)に分けられる.IgA腎症はIgA免疫複合体の沈着により引き起こされ,管内増殖性腎炎は溶レン菌感染の後に急性発症するものが代表的である.半月体形成性腎炎は,原発性にも,または他疾患に続発性にも起こるきわめて予後の悪いものである.いずれも形態的特徴によって分類されているが,メサンギウム増殖性腎炎は,単にメサンギウム細胞の増殖という非特異的所見を呈するのみで,特定の疾患には入らないものに対してつけられるheterogeneousな疾患群といえる.

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 Plasminogen activator(PA)はplasminogenをplasminに変えるfibrinonytic enzymeであり,これにはurokinaseおよび血管内皮細胞由来の組織pnasminogen activator(t-PA)がある.このうちt-PAは血液中では不安定であり,内皮細胞から放出されると即時型特異的阻害因子(PAI),非特異的阻害因子およびその他の阻害因子により速やかに不活化されると考えられている.1983年,Rijkenら1)は,ELISA(Enzyme linked immunosorbent assay)を用いてt-PAの抗原量を測定し,正常ヒトで6.6±2.9ng/mlであり,駆血や運動負荷により上昇(17±40ng/ml)したと報告した.またWimanら2)は,血漿の酸性化により非特異的阻害因子による不活化を克服したparabolicrate assayを用いてt-PA活性値の測定を行った.

 今回われわれは,モノクローナル抗体(SP-322)を用いたBioimmunoassay3)によりt-PA活性値を測定した.対象は20代から30代までの健康な成人男女10名.午前9時および午後4時に,一側の前腕は通常の駆血法を用い,また他側上腕は中間血圧で3分間のvenous occlusion(v. o.)の後,末梢血を採取した.

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 誘発電位は脳波と併用され,末梢および中枢神経系障害の診断と予後の判定に今日欠かすことのできない臨床検査の1つとなっている.

 さて,ここで取り上げる事象関連電位(Event―Related Potential;ERP)は,生体の情報処理に伴って発生する電位であるが,種々の実験パラダイムを工夫することにより,注意,認知といった大脳の高次神経活動に伴う陽性または陰性の電位を頭皮上から記録できるので,神経疾患のみならず,精神疾患にとっても今後特に発展が期待される臨床検査である.ERPの研究成果についてはすでに総説1~5)にまとめられているが,それらの臨床応用はまだ始まったばかりである.

カルニチン 山川 満
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 近年,外科領域における栄養管理において,脂肪乳剤は各種病態下で広く用いられるようになってきており,その代謝に重要な役割を果たすカルニチン(carnitine)の動態と意義が注目されている.そのような観点より,われわれの検討結果を中心に紹介したい1)

 脂肪乳剤の主成分であるトリグリセライドは,生体血液中ではリポ蛋白の形で存在し,リポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase)の作用により,遊離脂肪酸にまで水解される.その後,遊離脂肪酸はカルニチンと結合し,アシルカルニチンとしてミトコンドリア内に移送され,β-酸化を受けてエネルギー源となる2).したがって,カルニチンが組織中に不足すると脂肪乳剤の利用は障害される.カルニチンは筋,腎などの組織でリジン,メチオニンから前駆物質であるブチロベタインまで合成された後,肝へ運ばれて水酸化を受けてその生合成が完成する(β-hydroxytrimethyI aminobutyric acid).

乏精子症 守殿 貞夫
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 乏精子症という用語は男性不妊を表徴する代表的な病態とされ,その診断は精子濃度(精子数/ml)の低下を指標として行われている.この乏精子症,すなわち精子濃度の異常低値は,男性の授精能の低下を最もよく反映するものとして用いられてきた.しかし,乏精子症の診断基準(授精可能限界値)は時代や報告者によりまちまちで,10~60×106/mlと広範囲にわたっており1),近年もその基準に変化がみられる.このような変動は,授精能を精子濃度のみから規定しようとする点に起因するのであろうか.乏精子症についてこの点を含め,最近の新しい診断方法,ならびにやっと世界的に一定の見解に達したものと思われるその診断基準について述べる.

 精液所見を正しく評価するには,精液の採取法からして一定の約束が守られなければならない.検体が医師の指示どおり採取されているか,射出精液の前半(精子を多く含んでいる)を漏らさなかったか,禁欲期間が守られ,採取後検査まで20℃以上,体温以下に保たれていたか,などである.また,従来の乏精子症の診断基準は病院を受診した実子を有する多数例を対象とし,授精可能限界値を設定してそれ未満のものを乏精子症としてきた.しかし,過去に実子を有していても現在も授精能があるとは言いきれないことから,確実に授精能を有する男性とは配偶者が妊娠3か月目までの男性とされる.

生体磁気計測 小谷 誠
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 バイオマグネティズムに関する国際会議が平成元年8月に,1週間にわたりニューヨーク大学で開かれ,世界30か国ほどから500名程度の参加者があり,発表論文数も200件ほどだった.この会議の大きな特徴は,生体磁気計測装置面での著しい進歩だった.数十点で同時に計測が可能な37チャネルのDC・SQUID (超電導量子干渉素子)磁束計の開発が数社から発表されていた.ここでは,この国際会議を中心にして,生体磁気計測のトピックスについて述べる.

 心電図や脳波が計測できるのは,体内に電圧の発生源があるからである.体内で電圧が発生すれば電流が流れるので,当然この電流によって磁界が発生しているはずである.そのため,磁界の計測も試みられたが,あまりに微弱だったので計測できなかった.例えば,心臓からの磁界,すなわち心磁図は地磁気の1000万分の1に相当する10ピコ・テスラ(pT)程度であり,脳磁界になると1~10億分の1に相当する数百フェムト・テスラ(fT)程度である.これら微弱磁気信号が計測できるようになつたのは,20年ほど前に,超電導技術を応用したSQUID磁束計が開発されたからである.

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 造影法により冠動脈の解剖学的所見を得ることは,臨床診断上一般化している.しかし,冠狭窄など解剖学的異常と生理学的な冠血流動態は必ずしも一致しない.動物実験と異なり,臨床例で冠血流を連続測定する便利な手段はなかった.カテーテル先端型ドプラ流速計の開発により冠動脈血流速度の計測が可能になった.冠動脈造影と併用するこの装置の臨床応用について紹介し,実記録を示す.

 システムは,生体内に挿入する先端の外径が3French sizeのドプラカテーテル(Miller社MIKROTIP®doppner catheter Model DC101)と増幅装置(Velocimeter Model MDV20)からなる.ドプラカテーテル内腔には直径0.014インチのPTCA用ガイドワイヤーを通す.

短腸症候群 岩渕 眞
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 短腸症候群(short bowel syndrome;以下,本症と略)は,小腸広範切除後に起こる病態で,その術後の回復過程についてのPullan1)の論文はよく知られている.また,小腸広範切除の定義はいまだ明確ではないが,一応,残存小腸が75cm以下のものを意味することが多い2,3).しかし,高カロリー輸液法(以下,IVH)が開発されてからは,術後の急性期を安全に通過できるだけでなく,IVHでの長期管理,生存も可能となり,残存小腸ももっと短い症例の病態が論ぜられるようになってきた.そこで,本症についての今日の話題を,教室の症例を混じえ紹介したい.

 小児外科領域では,先天性小腸閉鎖症や腸回転異常に伴う腸軸捻症で本症になる可能性が高く,IVHを含めた術後の栄養管理は大変重要となる.いかなる栄養素の補給を必要とするか,輸液管理はいつまで必要か,成分栄養や低残渣食は有効か,そして残存小腸が何cmあったら将来,IVHから離脱できるかなど未解決な課題も多い.また,外科領域では将来,腸管移植が可能か否かも注目されるところである.

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 本誌Vol.31のNo.21)とNo.42)(1987)に,圧電ブザーをセンサーとしたいびき検出器と呼吸検出器の試作を発表し,日常の脳波検査や睡眠ポリグラフィでの有用性を報告した.今回はこれらの回路を1つにまとめて,被検者の背中が当たる部位の布団とベッドとの間にセンサーを配置して,呼吸曲線といびき,それに呼吸曲線にいびきを重畳させた3種類の出力を得ることができたので報告する.

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 心電図R-R間隔変動値を利用した自律神経機能診断法として,2つの新しい考え方をここに提唱した.1つは100心拍分のR-R間隔値の平均値を利用する方法,他の1つは100心拍R-R間隔値のトレンドグラフの形,ことに起立負荷テスト時のものと安静仰臥位時のものの比較方法を工夫したもので,患者の自律神経バランス機能も診断でき,予後や治療効果の判定にも利用できる.

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 RNAプローブを用いたドットプロット法により,子宮頸部におけるHPV感染の検出およびそのタイピングを行った.その結果,子宮頸癌,上皮内癌および異形成において高率にHPVを検出した.また,遺伝子増幅法として注目を集めているPCR法を用い,HPV 16,18の高感度検出を試み,RNAプローブ法にてHPV陰性と判定された検体でもPCR法を用いることによりHPV 16,18をさらに高率に検出することができた.

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 QUIDEL Allergy Screen Test (QAS)は,一度に9種類のアレルゲンに対する特異的IgE抗体を検出できる試薬である.今回,われわれは,当院耳鼻咽喉科を受診した38例を対象としてQAS,RAST,皮内反応を実施した.その結果,QASと皮内反応との一致率は若干低いものの,QASとアレルゲン特異的IgE測定のRASTとは高い一致率が得られた.これらのことから,QASはアレルギー検査のスクリーニングに十分有用であると考えられる.

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 米国Gen-Probe社で開発されたDNAプローブを用いるMycobcterium avium complexとMycobacterium tuberculosis complex迅速同定キットの感度と特異性を検討した.M.avium complexDNAプローブの特異性は100%,感度は99%であった.M.tuberculosis complex DNAプローブは特異性,感度とも100%であった.また,同定のために要求される菌量はM.avium complexキットでは106CFU/0.1ml, M.tuberculosis complexでは105CFU/0.1mlであった.

質疑応答 臨床化学

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 〔問〕 ICG Rmaxを測定するには,0.5mg/kgと5.0mg/kgの2回の負荷検査で算出できるとのことですが,①検査前の注意点,②検査方法の注意点,③算出方法,④正常参考値,⑤判定成績の意味するもの,などについてご教示ください.

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 〔問〕 総コレステロールについて,当センターでは130~250mg/dlを正常値とし,兵庫県下の8割強の検査センターで上限を250mg/dlとしています.しかし,220mg/dl以上は治療域だという意見もよく聞かれます.上限250mg/dlは高すぎるのでしょうか.また外国ではどうなのか,最近の文献も含めてご教示ください.

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 〔問〕 寒冷凝集素価の測定に患者自己血球とO型血球(成人)を併用したところ,両者で値に解離のみられる検体2例に遭遇しました.〔第1例〕54歳女性(内科)で,自己血球128倍に対し,O型血球で4倍ないし8倍.〔第2例〕53歳男性(総合外来科)で,自己血球8倍に対し,O型血球で64倍ないし128倍(採血から血清分離までは低温にさらされていない).1例,2例とも,37℃の加温で凝集は消失し,2例目の検体では抗P1抗体が検出されました.成書には,患者自己赤血球およびヒトO型赤血球のどちらを使用しても差し支えないと記載されていますが,今回のような解離の起こる頻度と,どちらの血球を使用するほうが望ましいのか,ご教示ください.

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 〔問〕 慢性関節リウマチの診断基準の1つに"リウマトイド因子陽性"の項目がありますが,リウマトイド因子は肝硬変や肝癌などでも高率に検出されるようです.この原因としては,クリアランスの問題なのか,それとも他の要因があるのか,ご教示ください.

質疑応答 その他

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 〔問〕 ブルースライドを作るのに,自作でできて安上りな方法と,美しく仕上げるコツをご教示ください.

基本情報

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臨床検査
34巻5号 (1990年5月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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