看護学雑誌 25巻1号 (1961年1月)

とびら

いのちとはなしあい 金子 光
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 先日新聞を読んでいたら一隅に,「戦後手にいれた大切な民主政治のもとになる“いのち”とはなし合い“ということを近ごろはあまり口にする人がいなくなつた」という記事がありました。なるほど,たしかにこの2つの大切なことを皆がお互いに守つているなら時々世間をにぎわすいくつかの不祥事件も起こらなくてすむものなのに,と,その記事に大いに共鳴しました。そして,すぐ私の頭にうかんできたことは,その不祥事件のうちの1つである「医療機関におけるストライキ」であります。

 ストライキ,すなわち実際上の職員の業務拒否であります。医療機関といえば,生命の不安にさらされている病人をあずかり,その病気をいやすことによつて生命の安全を守ろうとする目的をもつ施設でありますが,その施設の職員が,業務拒否をするということは,病人の”いのち"を大切にしていない事実を現わすものではないでしようか。職員達は更にこう言います。「いえ,職場には保安要員がのこされていますから大丈夫です」と。保安要員というのは何でしよう。工場や会社などがストライキをする際に,最低の業務をつづけうるための本当に最少の人員を職場にのこすことなのでしようが,ストライキをしている病院の中で,何人かの職員(主として病棟に勤務する看護職員)をストライキに参加させてもなお困らないほどの人員をもつ病院があるのでしようか。

口絵 続・写真解説看護技術・21

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血圧測定

 血圧とは心臓から搏出された血液が血管内で一定の圧力を示すその圧の事をいい,心臓の収縮期には高く弛緩期には低い値を示す。身体の変化によりこの血圧にも変動を来す。そのため病気の診断や予後の判定に血圧測定が行われる。

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 煙の商都大阪の空気をそのままに,活気にみちた看護学会は国際芸術祭でおなじみの大阪フェスティバル・ホールを主会場に,5,000人の看護婦さんを集めての27,28両日盛大に行なわれた。

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Ⅰ 病院ストはなぜ起こるにいたつたか

〈公務員ベースも上がつた〉

「公務員の給与が大幅に上がるんですつて」

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 前回は脳軟化症について簡単に説明し,2, 3の具体的症例を挙げておきましたが,その症例に見られた具体的事実を思い出しながら先を読んでいただきたいと思います。それでは発作直後の処置について勉強をつづけましよう。

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 近代社会の人間関係というものは民主主義の原理の上に立つているのであります。同じ人間関係でも封建的な人間関係は,主従という身分関係の上に立つて,自分のために都合のよいような人間関係を作るのです。しかし,人間がまだ個性にめざめない間はそういう主従の身分関係でも満足していたのですが一度人間が個性にめざめると,どんなに恩恵が厚くとも,自己を無視された生活には耐えられなくなります。カントは人間は人間を手段としてはならぬといいましたが,人間は自覚すると,自分を手段にされ人格の尊厳を傷つけられるような扱い方にはがまんできなくなります。われわれは,上下の人間関係も仲間の関係も,お互に相手を尊敬する人間関係をつくつて,楽しい職場をきづきあげたいものです。以下そうした意味から考えねばならぬ職場の人間関係について参考になることを実例的にのべてみました。

血液学最近の進歩 天木 一太
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 第二次世界戦争後の医学の進歩は全くすばらしいものですが,そのうちでも血液学における進歩は,最も目覚ましいものの一つです。血液は如何なるときでも,どんな患者からも容易に採血できて,検査に便である上に,最近のアイソトープや,免疫学や電気泳動や,化学や機械工学の進歩が応用せられたので,目覚ましいものになつたのでしよう。

一酸化炭素中毒 保刈 成男
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 一酸化炭素中毒については,冬の暖房について語られる際,きわめてしばしば言及されている。一見普通の状態の中で,死にまで至るこの一酸化炭素中毒は少しの注意でさけられるものであるが,案外われわれの周囲でもこの危険をうつかり見すごしている。そこで,原因や治療について解説していただく。

癩療養所の日記〔3〕 倉重 節子
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☆ 4月23日

 内科病棟勤務,第4日目

つくだにとおしんこ 川田 静男
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 ある療養所のある病棟で,患者と看護婦との懇談会がひらかれた時,患者側から,つくだにや納豆やおしんこが同じ皿に盛られると味がまずくなるから,皿を分けてほしい,という注文が出た。その時副主任の看護婦が「それは患者さんのぜい沢じやないかしら,私たちの食事だつてそうなのよ,別に気にしないで食べているわ」と答えた。

 この答には,いろいろな問題がふくまれている。一つはこの看護婦が,健康者の自分を標準にして病人を判断したことである。終日寝たぎりで食欲のない病人には,つくだにの汁に浸つたおしんこは,どうにも食べられないしろ物であるが,この看護婦は長年勤務していたのに,そのことに気付かなかつた。病人の状態を理解することはなかなか容易な仕事ではないのである。

職業的調整講座・2

じっくりと 古屋 かのえ
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1.勇気を出して言おう

 こういうことを書いたらいけないかな?と,一応は躊躇したのであるが,じつくりと考えたあげく,私も日本国民として法の範囲内においては立派に信仰,思想,言論,学問等を含めた精神活動の自由を認められているのである。言うべきことも言えないとなつたら,もう言論の自由どころか,民主主義からははるかに遠い世界になつてしまうのである。個人の何物にも侵されない自由な精神活動こそ,個人及び国家社会の発展の原動力ではないか。皆で考えるべき問題を含むと思うが故に,そしてこうした事件が一人私共の学院のみにあつたことではないと聞かされたが故に,あえて言わせていただこう。書かせていただこう,と勇気と責任とを以てこの拙い第二講を執筆した次第である。

 実は私共の学院の戴帽式の時,こんな一事件があつたのである。

ナースの作文

ある友へ—私はこう思う H M 子
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 貴女と一緒にこの病院に勤務してから,もう1カ月は過ぎました。臨床経験に豊富な貴女にくらべれば,看護学院を卒業してやつと1年の私は諸結核の療養という一点にしぼられたこの病院の勤務は,貴女以上の抵抗を感じないわけではありません。毎日を虚ろな胸を抱いてカタカタと息づいている多くの患者さんを前にして,一体この自分に何ができるというのだろう—。1カ月も過ぎて勤務の内容を覚えたとは云え今の私の日々は,あまりに「その場的」な「ながいものにまかれろ的」なものがあつて,そんな自分をはがゆいとも思います。

 若い看護婦は,確かに看護の大きな分野を占める技術面の経験を豊富にする為にも,このような療養所に勤務すべきではないだろうし,それにもまして,デリケートな結核患者さんを対象にして全的な人格を具えぬまま,また自己に疑問を持ち続けたまま臨床するということは表面,危険なことには違いありません。

 過日,責女は私を相手にして随分いろいろなことをいつていましたね。

○月○日 北川 幸子
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 私はこの頃ペンもインクも持たないやどがりの如き生活を送つていて,私の日記は鉛筆で包紙の裏などに書きとめたり,薬包紙の2,3枚に書いては,わずかに心の慰めにする毎日である。

 もつとも,職場に出れば如何にも書き物は多くそう云う不便はないのであるけれど,仕事中は僅かな暇も腰を落ちつけていられぬようになり,私用の作文を清書することが不可能なのである。自分でそう云う風に定めているのだが慌て者であり,幾らか精神の安定を欠く私は,常時多忙であり,自分の計画した仕事以外のことが私を追いまわす時が来ると,激しい頭痛と焦燥感のために一層疲れ,なすことすべてが粗雑と乱雑の交錯に陥る。

ナースの意見

女性が社会を幸福に S
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 看護学雑誌10月号の「社会が女性を不幸に」と題しての座談会の記事をよんで現在の自分,そして過去未来の姿を考える機会を持つたことを喜こんでいる。わが国においてもその全人口の大半を占める女性がなぜ不幸なのか,何がかく考え感ぜしめるのか。従来のわが国の国民性というものが実に女性を軽視してきたことは事実である。今そうした国民性を打破するために女性は闘つている。そして戦後地位は向上しあらゆる未開拓の地にも女性は手を伸ばした。

 そうした努力が理想的な形で実が結べない所に現実の悩みがある。大きくいえばそれは国家社会の制度というものが少数の質の良い芽に対して肥料を与えないどころかその存在さえも目に入らない,また見知らぬふりが好きだという国の大きな組織的欠陥があると思う。しかし我々は諦めることを恐れねばならないと思う。人間として自分の人生にパッションを感じて生きることは幸福だと思う。そうした人生にするためいかに小さいことでもそれぞれの目的を見出し,それに突進するにふさわしい知性と勇気を養うことがまず必要だと思う。ナースという仕事は献身的なものであるから犠牲的精神をもつてなすという教育よりも,一個の職業人としての自信と誇りが持てるまた持つことによつてそうした精神的ナイーブな動向は自然に生ずるのである。

連載小説

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 辻教務主任の一言は朝礼に集まつた学生たちをどきりとさせるような含みを持つていた。

 危険な過激な思想の持ち主を追放するという……いつたい誰を追放したいのだろう……そういつた不安と疑問に襲われた学生たちがひそひそと囁きを交わし合つた時,4列縦体の2回生をきつとにらんだ辻主任は

臨床検査とその介助

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 腎は尿を生成することによつて体液の恒常性維持に重要な役割を果している。

 腎の生理学は最近目ざましい進展を示しており,またクリアランス法の発達によつて腎機能検査も進歩し,糸球体と尿細管の機能を別々にかつ数量的に知ることも可能となつた。

 本文においては腎生理の要点を紹介し,次いで腎機能検査法の一般的知識と注意すべき点を述べることにする。

随想

のぞき見の看護 日比野 路子
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 保母教育の一端である看護学を担当し始めて,かれこれ10年を越える。そして病院実習に生徒達を送り出してから6年経つた。

 実習を伴わない看護学は,無意味だと口癖のようにいつていた私の願いがかなつた訳である。都内の病院の小児科にそれぞれ1週間の実習に行けるようになつた,生徒達には学院から白い実習衣までも買つてもらえた。名札を胸に,三角巾で頭をつつみ,キリリとした姿で実習している生徒達を見て,たくさんの収獲を得るようにと祈らずにはいられなかつた。そして,その収獲は,細かい文字で紙一杯に綴られた感想文として,提出されるのである。私は毎年,この感想文を読んでは,若い学生の純な,そして鋭い言葉に打たれてきた。そして今年もまた生徒の感想文を読みながら,この言葉を,私個人がただ読んでいるということに疑問を持つた。この若い保母学生たちの言葉を多くの看護婦の方々に読んでいただいたらどうだろうか?そして読んでもらうべきだと思いいたつた。若い学生達の目にうつった看護,そして医師や看護婦さんたち,病気の子供たち,病院の設備などについて,それをありのままに感じ,字にし言葉に綴つた感想文が,一つのよい刺激として,プレゼントできたら……と考えたのである。これらの言葉の中には,痛い言葉,不愉快な言葉も交つている。けれども私共が現実を直視したなら,その痛い,苦い言葉を飲み込まねばならないことを知る。

看護サービス・1

はじめに 永井 敏枝
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近代病院の使命として患者へのサービスということが大きく考えられるようになりました。その広いサービス面で私達看護婦が果さなければならない部面は非常に多いわけです。すなわち患者さんにとつては直接自分達の面倒をみてくれる看護婦に頼る気持や,看護婦さんから受ける行為や,感じとる感情が直接療養生活や病状にまでひびく結果ともなるものです。従つて看護婦は常によいサービスをするように心掛けることが大切であるわけです。では看護サービスとはどんなことでどのようなことに心掛けるのであるか,と考えてみますと,結局は私達が看護婦としての役割を忠実に,完全に実行すればいいわけです。その私達の役割とは何であるか今更いうまでもないことですが要約しますと次のことがあげられますでしよう。

 1)看護に関する知識があり,技術がすぐれている。

詩の話・14

表現のたのしさ 山田 岩三郎
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 原始の世界にあつて人間は,喜びや驚きに声を発し,手足をおどらせて自分の感情をあらわした。次第に人智が発達してくると,ことばが発生し,声が単なる声でなく,ことばという表象を意味して発せられ,手足を躍動させる動作にも表象の意味をもたせるようになる。こうして歌うということを知り,踊るということを覚えてゆく。ここにはつねに律動が必要となる。木の空洞をたたいたり,手もとの石と石とを叩き合せたりして,音のもつおもしろさを知るようにもなつてゆくのです。

 さらに原始社会がつくられるようになると,喜びや驚きのあらわれが,集団全体の共通のかたちでなされる。そうした時,円を組んで,歌い踊ることになる。世界いずれの国,どの民族にもこれは見られる。今日のスクエア・ダンスでも,盆踊りでも,みなそれらの継承のかたちであることは申すまでもない。

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かなぶんや呼吸とめはかる不整脈

大夕焼十勝平野の地平線

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ようやくに眠りつきたる患者にてガラス戸にいま朝日射し初む

 〔評〕深夜から朝への看護に漸く少康を得た患者の寝息がきこえてくるようである。

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友に捧ぐ

 光る,幸せをばらまいているスズランの花のようにあなたは優しいひかり星の祈りのような澄んだ目その目でいつもわたしを愛してくれたひと。

基本情報

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看護学雑誌
25巻1号 (1961年1月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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