ナースの意見
女性が社会を幸福に
S
pp.76-77
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911250
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看護学雑誌10月号の「社会が女性を不幸に」と題しての座談会の記事をよんで現在の自分,そして過去未来の姿を考える機会を持つたことを喜こんでいる。わが国においてもその全人口の大半を占める女性がなぜ不幸なのか,何がかく考え感ぜしめるのか。従来のわが国の国民性というものが実に女性を軽視してきたことは事実である。今そうした国民性を打破するために女性は闘つている。そして戦後地位は向上しあらゆる未開拓の地にも女性は手を伸ばした。
そうした努力が理想的な形で実が結べない所に現実の悩みがある。大きくいえばそれは国家社会の制度というものが少数の質の良い芽に対して肥料を与えないどころかその存在さえも目に入らない,また見知らぬふりが好きだという国の大きな組織的欠陥があると思う。しかし我々は諦めることを恐れねばならないと思う。人間として自分の人生にパッションを感じて生きることは幸福だと思う。そうした人生にするためいかに小さいことでもそれぞれの目的を見出し,それに突進するにふさわしい知性と勇気を養うことがまず必要だと思う。ナースという仕事は献身的なものであるから犠牲的精神をもつてなすという教育よりも,一個の職業人としての自信と誇りが持てるまた持つことによつてそうした精神的ナイーブな動向は自然に生ずるのである。
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