ナースの作文
○月○日
北川 幸子
1
1津市県立高茶屋病院
pp.75
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911249
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私はこの頃ペンもインクも持たないやどがりの如き生活を送つていて,私の日記は鉛筆で包紙の裏などに書きとめたり,薬包紙の2,3枚に書いては,わずかに心の慰めにする毎日である。
もつとも,職場に出れば如何にも書き物は多くそう云う不便はないのであるけれど,仕事中は僅かな暇も腰を落ちつけていられぬようになり,私用の作文を清書することが不可能なのである。自分でそう云う風に定めているのだが慌て者であり,幾らか精神の安定を欠く私は,常時多忙であり,自分の計画した仕事以外のことが私を追いまわす時が来ると,激しい頭痛と焦燥感のために一層疲れ,なすことすべてが粗雑と乱雑の交錯に陥る。
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