ナースの作文
ある友へ—私はこう思う
H M 子
1
1東京都立府中病院
pp.34-35
発行日 1961年1月15日
Published Date 1961/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911234
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貴女と一緒にこの病院に勤務してから,もう1カ月は過ぎました。臨床経験に豊富な貴女にくらべれば,看護学院を卒業してやつと1年の私は諸結核の療養という一点にしぼられたこの病院の勤務は,貴女以上の抵抗を感じないわけではありません。毎日を虚ろな胸を抱いてカタカタと息づいている多くの患者さんを前にして,一体この自分に何ができるというのだろう—。1カ月も過ぎて勤務の内容を覚えたとは云え今の私の日々は,あまりに「その場的」な「ながいものにまかれろ的」なものがあつて,そんな自分をはがゆいとも思います。
若い看護婦は,確かに看護の大きな分野を占める技術面の経験を豊富にする為にも,このような療養所に勤務すべきではないだろうし,それにもまして,デリケートな結核患者さんを対象にして全的な人格を具えぬまま,また自己に疑問を持ち続けたまま臨床するということは表面,危険なことには違いありません。
過日,責女は私を相手にして随分いろいろなことをいつていましたね。
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