臨床眼科 66巻2号 (2012年2月)

特集 疾患メカニズムの新しい理解と治療の展開

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はじめに

 眼科におけるサイトメガロウイルス感染症は,日和見感染症としてのサイトメガロウイルス網膜炎が代表的である。一方で近年,免疫健常者に発症する前部ぶどう膜炎や角膜内皮炎のなかにサイトメガロウイルスによると考えられるものが一定の割合で存在することが明らかになり,眼科におけるサイトメガロウイルス感染症の重要性が増してきている。本稿ではこれらのサイトメガロウイルス網膜炎とサイトメガロウイルス前眼部感染症(サイトメガロウイルス関連前部ぶどう膜炎・角膜内皮炎)について述べる。

視神経炎 中馬 秀樹
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はじめに

 これまで視神経炎といえば,脱随性視神経炎がその代表とされてきた。その理由は,欧米やわが国における特発性視神経炎治療トライアルにおいて,臨床的特徴や,多発性硬化症への移行の割合,予測因子が判明したことが大きい1,2)

 しかし,日本では「ちょっと違うんじゃないか」と思わせる特発性視神経炎が少なからず存在していた。多発性硬化症においても,わが国では欧米に多い再発寛解型に加え,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:以下,NMO)と呼ばれるものが多いことがわかっていた。NMOは,文字どおり視神経炎と脊髄炎を生じるもので,視力予後や神経予後が不良なものもあり,その最も劇症型はDevic病と呼ばれていた。特発性視神経炎と思われていたもののなかに,脊髄症状はなくステロイド治療に反応しない例や,ほぼ両眼同時に失明に至る重症例,あたかも「Devic病の視神経炎のみのもの」と思わざるをえないようなもの,あるいはあとから重症な神経障害を生じてくるものなど,さまざまな「ちょっと違う」特発性視神経炎があり,診療に混乱をきたしていた。

 そういったなかで,近年,NMOに特異的な自己抗体であるアクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体が発見された3)。その後の臨床例がわが国でも蓄積されることによって,抗AQP4抗体陽性症例では視神経脊髄炎のみでなく,視神経炎のみ発症するものがあった。それらは前述の「ちょっと違う」特発性視神経炎の特徴によく似たものがあり,われわれ眼科医は「これだったんだ」と膝を打ったのである。

 ところが,抗AQP4抗体陽性視神経炎のなかには予後のよいものもあり,臨床的特徴,適切な治療法など,まだはっきりしていない点も多い。本特集では,まずよくわかってきたNMOの臨床的な特徴を述べ,その後抗AQP4抗体陽性視神経炎の自験例から臨床的な特徴を探りたい。

眼内リンパ腫 後藤 浩
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はじめに

 眼科領域で扱われるリンパ腫には,眼付属器に発生するリンパ腫と眼内に発生するリンパ腫がある。前者の多くが比較的予後の良好なMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫であるのに対し,後者のほとんどは悪性度の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma:DLBL)に相当し,しばしば中枢神経系にもリンパ腫を生じて予後不良な転帰をたどる可能性のある疾患である。

 わが国には眼内リンパ腫の発生頻度に関する疫学調査は存在しないが,2002年に行われた全国の大学附属病院を対象としたぶどう膜炎に関する調査結果によると,眼内リンパ腫は全ぶどう膜炎症例の1%を占めていた1)。一方,わが国の原発性脳腫瘍のなかに占める悪性リンパ腫の割合は,1993年の調査では1.9%,2003年では2.9%,2009年では3.1%とされ2),近年は眼内リンパ腫も同様に増加傾向にあることは間違いないと考えられる。

 リンパ組織の存在しない眼内あるいは中枢神経系になぜリンパ腫が発生するのか,その発症のメカニズムは謎であるが,病態に関してこれまでに明らかにされてきた点と,最近の本症に対する治療の考え方について概説する。

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はじめに

 加齢黄斑変性をはじめとする重篤な視力障害に至る網膜疾患で共通の進行期病態は血管新生である。近年の細胞生物学的研究の進歩は,血管新生の責任分子が血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:以下,VEGF)であることを明らかにしたため,VEGFを分子標的とした治療戦略の確立に向けて複数の新薬が開発された。VEGF分子に結合してその生物活性を阻害する方法は複数あるため,これが現存のVEGF阻害薬の多様性につながっている。

 大腸癌を適応としながら眼内使用が未認可のまま世界的に広まった中和抗体製剤ベバシズマブのほかに,わが国では加齢黄斑変性を適応疾患として,ペガプタニブ,ラニビズマブが2008年,2009年と相次いで厚生労働省の認可を受け,さらに3剤目のアフリベルセプトの第3相ランダム化比較試験(randomized controlled trial:以下,RCT)が終盤を迎えている。基本構造だけをみてもペガプタニブはアプタマーという修飾RNA分子,ラニビズマブは中和抗体可変領域断片,アフリベルセプトは2つのVEGF受容体融合蛋白であり,そもそも創薬デザインから大きく異なっており(表1),これらの多様なVEGF阻害薬について,その薬剤特性の相違点を把握しておくことが必要である。最近になってRCTの良好な成績が次々に報告されているが,長期にわたる継続投与の安全性・有効性についてはいまだ明らかにされていない。

 加齢黄斑変性は慢性疾患であるため,抗VEGF療法はいつまで続けるべきか,ほかの治療法といかに組み合わせていくか,などといった至適な治療プロトコールを検討していくことは今後の重要な課題である。誌面の限られた本稿では,VEGFの生物活性,各VEGF阻害薬の特徴を概説したうえで,特に重要と思われる臨床試験を紹介する(表2)。

マイボーム腺機能不全 有田 玲子
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はじめに―いま注目されるマイボーム腺機能不全

 ドイツ人内科医師であるHeinrich Meibom(1638-1700)が発見したマイボーム腺は,その重要性を認識されながら,なかなかスポットライトのあたらない眼付属器だった。しかし近年,一般外来を訪れて不定愁訴を訴える高齢患者はかなりの割合でマイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:以下,MGD)が原因であると考えられており,著しくquality of lifeを低下させる要因となっている。矯正視力が(1.0)以上あっても,毎週外来を訪れて眼のつらさ,生活のつらさを訴える患者も少なくないが,現段階で特効薬といえる治療法はない。まさに患者泣かせ,眼科医泣かせの疾患といえる。

 このような状況のなかで,わが国だけでなく国際的にも定義,診断基準,分類,治療指針などについてのワーキンググループが発足し,現在最も注目される疾患の1つとなった1,2)。今回,筆者らが開発した非侵襲的マイボグラフィーによるMGD診断の有用性,MGDの疾患メカニズム,従来の治療法,今後期待される新しい治療法について解説する。

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 症例は66歳,女性。3日前からの右視力低下で近医を受診し,網膜剝離の診断を受け当科を紹介された。すでに3週間前から右眼の耳側視野が見づらかったということであった。視力は右(0.01),左(1.2)で,右眼底に下鼻側を除いて広範な胞状網膜剝離があり,上鼻側に原因裂孔があった。翌日に硝子体手術と水晶体再建術を行い,ガスで復位した。3週間後に視力は(0.3)となった。

 撮影はトプコン社製眼底カメラTRC-50LXを使用した。平行移動法により後極部から周辺部にかけてそれぞれの画像がパノラマとなり,かつ立体感が損なわれないよう,移動距離をもたせて撮影した。剝離の境界部においては眼底の凹凸が顕著であるため,剝離面と非剝離面での2ペアを撮影しパノラマ合成を行った。周辺部の立体撮影は眼底像が非常に暗くなってしまうので撮影に苦慮した。また,胞状網膜剝離という動的な病変をステレオ(立体写真)に収めるため迅速な撮影をするよう心掛けた。パノラマ作成時には,まず単体ステレオがペアごとに立体となっているかを確認した。次に2つのパノラマ写真をバランスを取りながらそれぞれ組み立て,最後にそれらがパノラマ立体の全体像となるよう工夫した。

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ファイトクラブにようこそ!

先月のRound 3に引き続き,術前に裂孔が検出できない裂孔原性網膜剝離に遭遇したときの治療戦略を考えていきます。この症例,あなたならどういうアプローチをして治しますか?

連載 眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基本・26

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涙液の生理機能

 視覚にとっての涙液の重要性については論を俟たない。実際に私たちの眼に涙液がまったく存在しなくなると,角膜はたちどころに光学的にレンズの働きをなさなくなり,視力を失ってしまう。現に角膜上皮細胞の表面を走査顕微鏡で見るとかなり凸凹しており,このままではとても光をまっすぐに透過できそうもない。したがって,角膜上皮は表面に涙液を湛えることによって平滑なレンズの働きを担うことができる。

 しかし,涙液の働きはそればかりではない。眼瞼結膜と角膜との間の潤滑剤としての働きはもちろんのこと,さらに生化学的な成分を調べてみると実にたくさんの生理活性物質が存在することが明らかになってきた。そしてそれらの生理活性物質が角膜表面のさまざまな病態に深くかかわっていることが明らかになりつつある。

連載 つけよう! 神経眼科力・23

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甲状腺眼症とはどういうものなのか?

 甲状腺眼症はBasedow病の3徴の1つとして知られているが,甲状腺ホルモン(血中遊離T3,T4)が正常あるいは低下の状態であっても眼症は生じる。したがって,甲状腺眼症は甲状腺機能異常とは切り離した独立した眼科の疾患として捉える必要がある。

 先日,研修医に「甲状腺眼症って何ですか?」と質問すると「Basedow病のことです。」という答えが返ってきた。残念ながら答えは「No」である。Basedow病は,1840年ドイツの内科医Carl Adolf von Basedow氏が甲状腺腫,眼球突出,動悸を特徴とする病気を報告して以来,Basedow病という名が世界に知れ渡ったが,その後の免疫学的研究の結果,甲状腺眼症とは「甲状腺に関係した抗体が眼窩内の脂肪や外眼筋内に存在し,それが標的となって“炎症”が起こる病態」であることが明らかとなった。

連載 『眼科新書』現代語訳

その11 清水 弘一
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『眼科新書』巻之四・巻之五

 [前号の水晶液病篇第十では,#98. 水晶液突出までが掲載された。以下はその続きで,硝子液病篇第十一と巻之五 網膜病篇第十二の一部が扱われる。]

やさしい目で きびしい目で・146

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 眼科医になって早20数年,もともと基本的には内臓は健康であるが,整形外科的な問題に長年悩まされ続けていた。大学時代に行っていたスポーツ(バスケットボールとウインドサーフィン)の影響か,あるいは遺伝か(親戚一同腰痛もち),20歳代の頃から腰痛がひどく,年に1~2回は歩くことさえ困難な発作に見舞われてきた。発作が起こるとトイレにも這っていく状態で,すべての予定を1週間ほどキャンセルせざるをえなくなり,不便このうえない。原因検索のため整形外科に相談し,当然画像診断を行っても,腰椎4-5間がやや狭い,というだけで世の中の腰痛もち患者さんの御多分にもれず,「原因不明,対症治療しかない」ということで,発作時は安静,鎮痛薬(座薬がよろしい),湿布の三種の神器でお茶を濁してきた。

 約5年前に突然右足の付け根から小指の先までが,激痛としびれで椅子に座っても寝ても苦しい状態が2か月ほど治らず,死にそうな毎日が続いた。本来前向きな性格だけれど,このときばかりは痛みが一生とれないのでは?とものすごく不安になった。どうも坐骨神経痛であることは間違いないようだが,画像上ヘルニアはないので,「梨状筋症候群(坐骨神経が臀部の梨状筋を通るところで圧迫される)」のようだと自己診断した。姿勢が悪いため臀部の筋が緊張して起こるようだ。激痛に三種の神器がまったく効かないため,懇意の整形外科の先生に相談して「神経根ブロック」を数回やってもらって,やっと悪循環から脱出した。神経根ブロックってほんとに怖い……理論的には大丈夫とわかっていても,あの恥ずかしい姿勢と神経に薬が浸透していくいやーな感覚の中で「私って半身不随にならないかしら……」などと邪念が頭をよぎる。人の眼には平気で注射したり切ったりしているのに,他科のことになると俄然,弱気患者になる。

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要約 目的:両眼の汎ぶどう膜炎で発症し,その後強皮症と診断された症例の報告。症例:55歳女性が10日前からの左眼充血と疼痛で受診した。所見:矯正視力は右1.0,左0.5で,左眼に虹彩毛様体炎の所見と乳頭発赤があった。蛍光眼底造影で網膜血管の透過性亢進,光干渉断層計(OCT)で漿液性網膜剝離があった。2か月後に右眼に同様の病変が生じた。次第に手指皮膚の硬化とRaynaud現象が出現し,強皮症と診断された。副腎皮質ステロイドの局所投与で眼所見は10か月後に寛解した。結論:膠原病としての全身症状が顕在化する前に,これと原因的に関連する汎ぶどう膜炎が発症することを本症例は示している。

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要約 目的:開放性眼外傷の視力転帰に関係する要因の報告。対象と方法:過去10年間に初回手術を行った眼外傷84例84眼を対象とした。男性71例,女性13例で,ほぼ全例が受傷当日に受診していた。The Ocular Trauma Classification Group(1997)に従って,外傷の到達部位,角膜穿孔創の大きさ,網膜剝離の有無の各因子を評価した。結果:今回の症例群では,作業中の受傷,男性,50歳台が多かった。最終視力の不良化要因は,受傷または到達部位が眼球の後方にあること,初診時視力が不良であること,角膜創が大きいこと,網膜剝離の併発であった。結論:開放性眼外傷の視力予後の推定には,Ocular Trauma Classification Groupの分類が有用である。

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要約 目的:移植した羊膜に生じた広範囲のカルシウム沈着に対して強角膜移植を行った症例の報告。症例:71歳女性が左眼の視力低下で受診した。43年前にStevens-Johnson症候群と診断され,18年前に左眼に全層角膜移植術を受けた。所見:矯正視力は右手動弁,左0.01で,両眼に瘢痕性角結膜上皮症があり,右眼の状態がより重篤であった。左眼に移植された角膜には浮腫混濁があり,移植片機能不全であった。経過:左眼に全層角膜移植術,羊膜移植術,下方に輪部移植術を行った。15か月後に移植した羊膜片にカルシウムが沈着した。その4か月後に直径18mmの強角膜片を全層移植した。術後6か月間は0.1の視力を維持したが,最終的に水疱性角膜症になった。結論:眼球表面への羊膜移植ではカルシウム沈着がありうる。これが広範囲にあるときには,強角膜移植が選択肢の1つになる。

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要約 目的:エタンブトール視神経症3例の経過観察にThe 25-item National Eye Institute Visual Functioning Questionnaire(VFQ-25)を用いた報告。症例:症例は71歳男性1例と64歳女性2例で,いずれもMycobacterium avium complexによる肺感染症に対してエタンブトールを内服していた。2例で両眼の視力低下,1例で両眼の色覚異常が突発した。エタンブトール内服を中止し,7~15か月後に全例で視機能が回復した。結果:全例でVFQ-25の総スコアであるコンポ7とコンポ10の値が低下し,自覚症状の改善とともにこれらの値が上昇した。結論:エタンブトール視神経症3例の経過観察で,視力と限界フリッカ値とともに,自覚症状を定量化できるVFQ-25が有用であった。

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要約 目的:最初の黒内障発作から短期間で内頸動脈閉塞が生じた症例の報告。症例:64歳男性が8日前から2度の黒内障発作で受診した。高血圧と肥大型心筋症があった。所見:矯正視力は左右とも1.0で,眼底に著変はなかった。眼動脈ドプラ検査で右眼動脈血流の描出が困難で,頸動脈超音波検査で内膜中膜複合体に軽度の肥厚があった。磁気共鳴血管造影(MRA)で右内頸動脈の起始部は正常であったが,6週間後の脳血管造影で右内頸動脈の完全閉塞があった。経過中に視力と眼症状などに変化はなかった。初診から5か月後に浅頭動脈と中大動脈吻合術が行われ,黒内障発作は消失した。結論:黒内障発作が一過性であっても,眼動脈や頸動脈に異常があれば,内頸動脈閉塞に進行する可能性が大きい。

文庫の窓から

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豪放磊落,酒と詩を愛した張子和

 今,私たちが拠り所としている岡西為人の『中国醫書本草考』1)の金元時代の年表には,「1232年 李杲,『内外障辨惑論』成る,河南に避難」「1243年 張従正『儒門事親』」とある。李杲の生没年が1180~1251年,張従正の生没年が1156頃~1228年と考えられていることを考慮すれば,取り上げる順番を張従正―李杲にしなくてはならなかったが,あえて年表に挙げられた書名の順にご紹介している。

 さて,張従正という人物について。字は子和(慣例で「しか」とも読む),号は載人。今の河南省の出身で,代々医業を受け継ぐ家に生まれた。医学の師匠であった劉従益の息子・劉祁が書いた『帰潜志』という本には,張従正は詩を愛し,多くの書を読み,性格は豪放で,酒を嗜んだと伝えられているという。一時は太医院に勤めたが間もなく辞し,陳州の宛丘にて医家として暮らした。そのため,張宛丘という呼び名もある。麻知幾(徴君,九疇)や常仲明(用晦)と交流し,『儒門事親』も張子和が法や論を発し,麻知幾がそれを文にした書物とされている。

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欧文目次

べらどんな コダック
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 フィルムが売れなくなり破産したアメリカのコダック(Kodak)にはいろいろな思い出がある。

 蛍光眼底造影が発明されたのは1960年で,日本ではその5年後にはじまった。京都府立医科大学の谷道之教授がこれを最初に紹介されたと記憶している。

べらどんな 拍動流
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 電気に直流と交流があるように,管の中を流れる液体には定常流と拍動流とがある。英語ならsteady flowとpulsating flowになる。

 蛍光眼底造影が発明されてからもう50年になるが,網膜の血流に拍動があることを知ったのはそのおかげである。

ことば・ことば・ことば 蝶々
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 眼窩を構成する骨の中で,もっとも形が複雑で,トルコ鞍があったりして重要なのが蝶形骨ではと思います。英語だとsphenoid bone,ラテン語ではos sphenoidaleです。ところが外国では,「蝶」とは無関係らしいのです。

 辞書でsphenoidを引くと,ギリシャ語のsphen「くさび」から来ているそうです。ドイツ語で蝶形骨をKeilbeinと呼ぶのもこのためです。Keilは「くさび」そのものです。

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あとがき 鈴木 康之
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 『臨床眼科』2012年2月号をお送りします。本号では小特集として「疾患メカニズムの新しい理解と治療の展開」と題してサイトメガロウイルスぶどう膜炎,視神経炎,眼内リンパ腫,加齢黄斑変性,マイボーム腺機能不全の5つの病態が取り上げられており,それぞれ最新の知見をまとめていただいています。視神経炎における抗アクアポリン4抗体陽性例が比較的多くの症例でみられることは非常に驚くべきことで,最初にステロイドパルスを行うのはいいとして,それが無効ないしは効果が低かった場合に血漿交換療法に踏み切るべきなのかどうか,さらに行う場合はどの程度の頻度でどの程度の期間行うべきなのかということも,まだまだはっきりしていません。ぜひこの分野のさらなる知見の集積,治療の発展をお願いしたいと思います。また,加齢黄斑変性の抗VEGF療法についても確かに効くのだけれど一体いつまで続ければいいのかという問題があり,今後の治療法の発展に目が離せない分野です。

 小特集以外にも連載記事や貴重な症例報告など,いずれも読みごたえがあります。網膜剝離ファイトクラブも第4回に入り,ますます調子が出てきた感じです。実際に自分ならどうするかと考えながら読んでいくと興味が増し,より実践的な知識が得られると思います。ちなみに今回の症例は私はバックルを考えましたが,最初の栗山先生が硝子体手術を勧められており,オヤっと思ってそのまま興味深く読み進め,「EKC」には笑わせていただきました。今後のファイトクラブも楽しみです。

基本情報

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臨床眼科
66巻2号 (2012年2月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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