Japanese
English
特集 疾患メカニズムの新しい理解と治療の展開
眼内リンパ腫
Intraocular lymphoma
後藤 浩
1
Hiroshi Goto
1
1東京医科大学眼科学教室
pp.126-131
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104079
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はじめに
眼科領域で扱われるリンパ腫には,眼付属器に発生するリンパ腫と眼内に発生するリンパ腫がある。前者の多くが比較的予後の良好なMALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫であるのに対し,後者のほとんどは悪性度の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma:DLBL)に相当し,しばしば中枢神経系にもリンパ腫を生じて予後不良な転帰をたどる可能性のある疾患である。
わが国には眼内リンパ腫の発生頻度に関する疫学調査は存在しないが,2002年に行われた全国の大学附属病院を対象としたぶどう膜炎に関する調査結果によると,眼内リンパ腫は全ぶどう膜炎症例の1%を占めていた1)。一方,わが国の原発性脳腫瘍のなかに占める悪性リンパ腫の割合は,1993年の調査では1.9%,2003年では2.9%,2009年では3.1%とされ2),近年は眼内リンパ腫も同様に増加傾向にあることは間違いないと考えられる。
リンパ組織の存在しない眼内あるいは中枢神経系になぜリンパ腫が発生するのか,その発症のメカニズムは謎であるが,病態に関してこれまでに明らかにされてきた点と,最近の本症に対する治療の考え方について概説する。
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