Japanese
English
連載 眼科医にもわかる生理活性物質と眼疾患の基本・26
―臨床編:各種眼疾患と生理活性物質とのかかわり―涙液
Tear fluid
中澤 満
1
Mitsuru Nakazawa
1
1弘前大学大学院医学研究科眼科学講座
pp.156-159
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104085
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
涙液の生理機能
視覚にとっての涙液の重要性については論を俟たない。実際に私たちの眼に涙液がまったく存在しなくなると,角膜はたちどころに光学的にレンズの働きをなさなくなり,視力を失ってしまう。現に角膜上皮細胞の表面を走査顕微鏡で見るとかなり凸凹しており,このままではとても光をまっすぐに透過できそうもない。したがって,角膜上皮は表面に涙液を湛えることによって平滑なレンズの働きを担うことができる。
しかし,涙液の働きはそればかりではない。眼瞼結膜と角膜との間の潤滑剤としての働きはもちろんのこと,さらに生化学的な成分を調べてみると実にたくさんの生理活性物質が存在することが明らかになってきた。そしてそれらの生理活性物質が角膜表面のさまざまな病態に深くかかわっていることが明らかになりつつある。
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.